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第4話 腹ペコ高校生
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カレーが出来上がり、120cm四方の座卓のテーブルに向かい合って並べられる。カレー特有のスパイスの芳醇な香り。人類の発明の中でも一際輝いているであろう料理だ。
この強烈な引力には、腹ペコ高校生は到底抗えない。
「「いただきまーす!」」
二人きれいに声がそろったところでカレーを食べる。さて雪代さんの反応は如何に。
「おいひーよぅ!」
大きな目をさらに大きくして、雪代さんが絶賛する。その表情を見るだけで満足度が伝わってくるようだ。続いて俺もカレーを食べる。
「うん、これはなかなか!」
一人で食べても美味しいが、二人で食べると美味しさがさらに増すような気がした。
三合炊けば、明日朝の分まで持つかなと思っていたが、二人で調子よく食べていたらすっきり無くなってしまった。
「食べすぎた~! こんなにお腹いっぱいに食べること無いかも」
よほど気に入ってくれたのか、しっかりおかわりもしてくれた雪代さん。その幸せそうな様子には、ほっこりしてしまう。もう放課後の時の怯えた表情はすっかり消え、いつもの明るく朗らかな雪代さんに戻っていた。
「食後のデザートは入らないかな? プリンあるけど」
俺が冷蔵庫から自家製プリンを取り出すと、雪代さんは目を輝かせた。
「プリン大好き! それは別腹だよ~」
「こんなのもあるけど使う?禁断のホイップクリーム。これをかけると……飛ぶよ」
「なん……だと! かける~!」
プリンにホイップクリームをデコレーションする。
「はい、デザート! さあお食べよ!」
お腹いっぱいのはずの雪代さん。プリンを眼の前にして目を輝かせ一口ぱくっと食べる。それはそれは幸せそうな表情に。
「このプリンすごく美味しいよう~。自家製なんてすごいね!」
すごい、これほど美味しそうに食べてくれる人は、なかなかいないんじゃないか?
最大の賛辞を表情で示してくれるのは、作った身としては嬉しすぎる。
誰かのために料理を作ることは今までもあったけど、眼の前で美味しそうに食べてくれるのは本当に嬉しいな。
――誰かのために作ったものを、自分で廃棄するほど虚しいものはないけど。
「あれ、藤崎くん、私なんか変なこと言っちゃった?」
雪代さんが俺の表情を見て、そんなことを言う。しまった、以前の嫌な記憶に囚われてしまったようだ。
「ごめん! なんでもないんだ。小骨が喉に引っかかった。」
「小骨って……、カレーの豚肉の骨?」
雪代さんがそう言ってケラケラ笑う。笑顔が可愛すぎて一緒にいるのが本当に幸せ。
食後のコーヒーを二人で飲む。プリンの甘さにはぴったりだ。ただ、さっきお店で飲んだコーヒーに比べると、やっぱり敵わないな。
「このコーヒーも美味しいよ。誰かが入れてくれるのは、やっぱり美味しいね」
雪代さんがそんな事をいってくれる。確かにそういうものかもしれないな。
「そう言ってくれると嬉しいよ。ありがとうね」
しばらく談笑した後に、雪代さんが少しため息をもらしつつ、
「なんか学校行くの、もうやだな……」などと口走る。
「――告白なんて本気ならさ、本当はなかなか出来ないし、された方も普通なら嬉しい気もするんだけどね。雪代さんの場合は確かに度を超えてるのかもね」
俺がそう言うと、少し悲しそうな表情になる雪代さん。
「本当に私のことをよく知って、好きになってくれて告白してくれるなら、そりゃ真剣に受け止めて考えるよ。でも、あの人達は違う」
雪代さんは見た目の美しさもさることながら、成績もトップクラスだ。才色兼備な彼女と付き合えるのはきっとステータスなんだろうな。
「学校に行きたくなくなるほどなんて、相当深刻だよね……」
「もうやだ……」
ああ、楽しい気分だったのが思い出して落ち込んじゃった。テーブルに突っ伏した雪代さんの頭を思わず撫でてしまう。
こっちを少し覗き見て、くすっと微笑む雪代さん。
「藤崎くん、――私のこと羽依って呼んでもらっても良い?」
「うん、じゃあ俺のことも名前で呼んでね」
そう言って、俺が撫でていた手をそっと握り返し、羽依は指を絡めてきた。
その瞬間、心臓がドクンと跳ねた。
「蒼真。蒼真なら触っても大丈夫なんだよね。嫌な感じが全然しない」
「俺は羽依に手を握られてめっちゃ動揺してるけどね!」
俺が顔を真っ赤にしてそう言うと、羽依はニマ―っと笑う。ちょっと悪そうな顔だ。
「んふ、男の人の照れって何か可愛いよね。男の人がみんな蒼真みたいだったら良かったのにね~」
「羽依には一度聞きたかったんだけどね、何で俺とは普通に話せるの? 最初は男として見られてないのかと思ったけど」
冗談ぽく言う俺の言葉に羽依は少し考えてる様子。
「なんでだろ? 理由は無くはないんだけどね。ただ、う~ん……直感? 蒼真は優しいし気遣ってくれるし、見た目も好きだし」
なんか大絶賛してくれる。見た目が好きってなに? 別に俺はイケメンでもないし、中学の時モテたこともない。美醜については感性は人それぞれだからね。ただ、こんなに可愛い子にそう言われて、悪い気がするはずがない。
きっと今の俺の顔は、この上ないぐらい真っ赤になってると思う。
だって羽依はものすごく悪戯な顔してるし。
からかわれてる?
この強烈な引力には、腹ペコ高校生は到底抗えない。
「「いただきまーす!」」
二人きれいに声がそろったところでカレーを食べる。さて雪代さんの反応は如何に。
「おいひーよぅ!」
大きな目をさらに大きくして、雪代さんが絶賛する。その表情を見るだけで満足度が伝わってくるようだ。続いて俺もカレーを食べる。
「うん、これはなかなか!」
一人で食べても美味しいが、二人で食べると美味しさがさらに増すような気がした。
三合炊けば、明日朝の分まで持つかなと思っていたが、二人で調子よく食べていたらすっきり無くなってしまった。
「食べすぎた~! こんなにお腹いっぱいに食べること無いかも」
よほど気に入ってくれたのか、しっかりおかわりもしてくれた雪代さん。その幸せそうな様子には、ほっこりしてしまう。もう放課後の時の怯えた表情はすっかり消え、いつもの明るく朗らかな雪代さんに戻っていた。
「食後のデザートは入らないかな? プリンあるけど」
俺が冷蔵庫から自家製プリンを取り出すと、雪代さんは目を輝かせた。
「プリン大好き! それは別腹だよ~」
「こんなのもあるけど使う?禁断のホイップクリーム。これをかけると……飛ぶよ」
「なん……だと! かける~!」
プリンにホイップクリームをデコレーションする。
「はい、デザート! さあお食べよ!」
お腹いっぱいのはずの雪代さん。プリンを眼の前にして目を輝かせ一口ぱくっと食べる。それはそれは幸せそうな表情に。
「このプリンすごく美味しいよう~。自家製なんてすごいね!」
すごい、これほど美味しそうに食べてくれる人は、なかなかいないんじゃないか?
最大の賛辞を表情で示してくれるのは、作った身としては嬉しすぎる。
誰かのために料理を作ることは今までもあったけど、眼の前で美味しそうに食べてくれるのは本当に嬉しいな。
――誰かのために作ったものを、自分で廃棄するほど虚しいものはないけど。
「あれ、藤崎くん、私なんか変なこと言っちゃった?」
雪代さんが俺の表情を見て、そんなことを言う。しまった、以前の嫌な記憶に囚われてしまったようだ。
「ごめん! なんでもないんだ。小骨が喉に引っかかった。」
「小骨って……、カレーの豚肉の骨?」
雪代さんがそう言ってケラケラ笑う。笑顔が可愛すぎて一緒にいるのが本当に幸せ。
食後のコーヒーを二人で飲む。プリンの甘さにはぴったりだ。ただ、さっきお店で飲んだコーヒーに比べると、やっぱり敵わないな。
「このコーヒーも美味しいよ。誰かが入れてくれるのは、やっぱり美味しいね」
雪代さんがそんな事をいってくれる。確かにそういうものかもしれないな。
「そう言ってくれると嬉しいよ。ありがとうね」
しばらく談笑した後に、雪代さんが少しため息をもらしつつ、
「なんか学校行くの、もうやだな……」などと口走る。
「――告白なんて本気ならさ、本当はなかなか出来ないし、された方も普通なら嬉しい気もするんだけどね。雪代さんの場合は確かに度を超えてるのかもね」
俺がそう言うと、少し悲しそうな表情になる雪代さん。
「本当に私のことをよく知って、好きになってくれて告白してくれるなら、そりゃ真剣に受け止めて考えるよ。でも、あの人達は違う」
雪代さんは見た目の美しさもさることながら、成績もトップクラスだ。才色兼備な彼女と付き合えるのはきっとステータスなんだろうな。
「学校に行きたくなくなるほどなんて、相当深刻だよね……」
「もうやだ……」
ああ、楽しい気分だったのが思い出して落ち込んじゃった。テーブルに突っ伏した雪代さんの頭を思わず撫でてしまう。
こっちを少し覗き見て、くすっと微笑む雪代さん。
「藤崎くん、――私のこと羽依って呼んでもらっても良い?」
「うん、じゃあ俺のことも名前で呼んでね」
そう言って、俺が撫でていた手をそっと握り返し、羽依は指を絡めてきた。
その瞬間、心臓がドクンと跳ねた。
「蒼真。蒼真なら触っても大丈夫なんだよね。嫌な感じが全然しない」
「俺は羽依に手を握られてめっちゃ動揺してるけどね!」
俺が顔を真っ赤にしてそう言うと、羽依はニマ―っと笑う。ちょっと悪そうな顔だ。
「んふ、男の人の照れって何か可愛いよね。男の人がみんな蒼真みたいだったら良かったのにね~」
「羽依には一度聞きたかったんだけどね、何で俺とは普通に話せるの? 最初は男として見られてないのかと思ったけど」
冗談ぽく言う俺の言葉に羽依は少し考えてる様子。
「なんでだろ? 理由は無くはないんだけどね。ただ、う~ん……直感? 蒼真は優しいし気遣ってくれるし、見た目も好きだし」
なんか大絶賛してくれる。見た目が好きってなに? 別に俺はイケメンでもないし、中学の時モテたこともない。美醜については感性は人それぞれだからね。ただ、こんなに可愛い子にそう言われて、悪い気がするはずがない。
きっと今の俺の顔は、この上ないぐらい真っ赤になってると思う。
だって羽依はものすごく悪戯な顔してるし。
からかわれてる?
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