6 / 13
第6話 偽装カップル
しおりを挟む
「俺と付き合わない?」
そう言ったあと、少しだけ沈黙が流れる。ちょっと言葉が端的すぎたか。
羽依の体が小刻みに震え始める。
「……それって、告白じゃないよね。私を守るための偽装って意味だよね」
――賢い彼女は俺の言わんとしてることをすべて理解していた。
「うん。もちろん羽依が嫌じゃなければの話だけどね。」
――羽依がすすり泣き始めてしまった。
震える体を俺はそっと抱きしめて頭を撫でた。
とても、ただの同級生の距離感ではないが、今はこうするのが正解に思えた。
羽依も俺に身を委ねる。
やがて泣き声はすすり泣きから、声を抑えきれない号泣に変わっていった。
「――もうホント嫌なの! 学校大好きなのに行くの怖くなるの、なんで! なんでこんな目にあわなきゃいけないの!私のことなんて、もうほっといてよ! もうやだ……うわああ……」
羽依の嗚咽に俺も目尻が湿ってくる気がした。
(少しでも気が休まるのなら、いくらでも胸を貸すよ。)
口に出したら相当なイケメンだろうけど、そんなことは言えないので、心のなかでつぶやく。
――しばらくして羽依が泣き止み、ティッシュで涙を拭き鼻をかむ。
チーン
美少女も鼻をかむんだなと思ったのは内緒だ。でもそんな仕草も可愛いと思ってしまう。
「……なんで蒼真がそんなに泣いてるの……?」
「――なんか……悔しくて……」
ずっと近くにいたのに……俺、何にも気づけてなかった。自分が情けなかった。
羽依がちょっとだけくすっと笑っている。少しだけでもすっきりしたのかな。
「ごめんね。弱いところ見せすぎちゃったね……。こんなふうに迷惑かけて、嫌われちゃいそうだね……」
「悪いのは全部、無茶な告白してくる男たちのほうだよ。羽依はこれっぽっちも悪くない」
泣いた後の顔を見せまいとしているのか、ずっとうつむき加減で俺の顔を見ずにいる羽依。その体はずっと震えている。
「……蒼真のその提案、受けさせてほしい。でも蒼真にメリットがなさ過ぎる……もう、誰かに無理やり奪われるぐらいなら……私の初めてあげようか?」
――襲われることまで意識し始めたか……一瞬ドキッとはしたが、羽依から出る言葉があまりにも悲しすぎた。そんなこと絶対させないから……!
「……怒るよ?」
おでこに軽くチョップする。
「いだい……もうすでに怒ってる……」
また涙目の羽依に俺は思わず笑ってしまった。
「羽依、今日から偽装の恋人だ。バレないようにしないとね」
「……うん、ありがとう蒼真。でも……お返しできるものがあるとしたら……。そうだ、私が蒼真の勉強をみてあげようか?」
――!!
それはとてつもなくありがたい申し入れだ!
「それめっちゃありがたい! でも、羽依の負担にならない?」
「ううん、むしろずっと気になってたの。蒼真、授業中ぼーっとしてること多いからさ。もしかしたら、ちんぷんかんぷんなのかなって」
「うわっ恥ずかしっ! そんなふうに見られてた!? いや、大正解なんだけど」
「んふ、じゃあ決まりだね! 蒼真、びしびし行くからね!」
そういって、俺に掴んでる腕をさらにギュッと強く抱きしめる。その感触たるや、破壊力がすごすぎて心臓がバックンバックンに跳ねている。
学校でも一緒に勉強してたら、まるで本物のカップルみたいに見えるかも。
……まあ、これならお互い得しかないよね。ウィンウィンだ。
こうして俺に恋人(偽装)が出来た。
しかしまあ、偽装とはいえ、こうして一緒のご飯を食べたり、同じ布団で寝たりと、高校1年生のカップルとしては偽装と言えないぐらいの付き合いな気もするけど、そこは触れないでおこう。
さあ寝よう寝よう。緊張して眠れるか微妙だと思っていたが、色々ありすぎてもう眠くて仕方ない。羽依も同様で、うつらうつらし始めている。
「おやすみ羽依。明日もよろしくね」
「おやすみ蒼真。今日は本当にありがとう……」
――未明
ふと、頬にかすかな感触を感じた気がした。意識は覚醒すること無く朝を迎えるのだった。
そう言ったあと、少しだけ沈黙が流れる。ちょっと言葉が端的すぎたか。
羽依の体が小刻みに震え始める。
「……それって、告白じゃないよね。私を守るための偽装って意味だよね」
――賢い彼女は俺の言わんとしてることをすべて理解していた。
「うん。もちろん羽依が嫌じゃなければの話だけどね。」
――羽依がすすり泣き始めてしまった。
震える体を俺はそっと抱きしめて頭を撫でた。
とても、ただの同級生の距離感ではないが、今はこうするのが正解に思えた。
羽依も俺に身を委ねる。
やがて泣き声はすすり泣きから、声を抑えきれない号泣に変わっていった。
「――もうホント嫌なの! 学校大好きなのに行くの怖くなるの、なんで! なんでこんな目にあわなきゃいけないの!私のことなんて、もうほっといてよ! もうやだ……うわああ……」
羽依の嗚咽に俺も目尻が湿ってくる気がした。
(少しでも気が休まるのなら、いくらでも胸を貸すよ。)
口に出したら相当なイケメンだろうけど、そんなことは言えないので、心のなかでつぶやく。
――しばらくして羽依が泣き止み、ティッシュで涙を拭き鼻をかむ。
チーン
美少女も鼻をかむんだなと思ったのは内緒だ。でもそんな仕草も可愛いと思ってしまう。
「……なんで蒼真がそんなに泣いてるの……?」
「――なんか……悔しくて……」
ずっと近くにいたのに……俺、何にも気づけてなかった。自分が情けなかった。
羽依がちょっとだけくすっと笑っている。少しだけでもすっきりしたのかな。
「ごめんね。弱いところ見せすぎちゃったね……。こんなふうに迷惑かけて、嫌われちゃいそうだね……」
「悪いのは全部、無茶な告白してくる男たちのほうだよ。羽依はこれっぽっちも悪くない」
泣いた後の顔を見せまいとしているのか、ずっとうつむき加減で俺の顔を見ずにいる羽依。その体はずっと震えている。
「……蒼真のその提案、受けさせてほしい。でも蒼真にメリットがなさ過ぎる……もう、誰かに無理やり奪われるぐらいなら……私の初めてあげようか?」
――襲われることまで意識し始めたか……一瞬ドキッとはしたが、羽依から出る言葉があまりにも悲しすぎた。そんなこと絶対させないから……!
「……怒るよ?」
おでこに軽くチョップする。
「いだい……もうすでに怒ってる……」
また涙目の羽依に俺は思わず笑ってしまった。
「羽依、今日から偽装の恋人だ。バレないようにしないとね」
「……うん、ありがとう蒼真。でも……お返しできるものがあるとしたら……。そうだ、私が蒼真の勉強をみてあげようか?」
――!!
それはとてつもなくありがたい申し入れだ!
「それめっちゃありがたい! でも、羽依の負担にならない?」
「ううん、むしろずっと気になってたの。蒼真、授業中ぼーっとしてること多いからさ。もしかしたら、ちんぷんかんぷんなのかなって」
「うわっ恥ずかしっ! そんなふうに見られてた!? いや、大正解なんだけど」
「んふ、じゃあ決まりだね! 蒼真、びしびし行くからね!」
そういって、俺に掴んでる腕をさらにギュッと強く抱きしめる。その感触たるや、破壊力がすごすぎて心臓がバックンバックンに跳ねている。
学校でも一緒に勉強してたら、まるで本物のカップルみたいに見えるかも。
……まあ、これならお互い得しかないよね。ウィンウィンだ。
こうして俺に恋人(偽装)が出来た。
しかしまあ、偽装とはいえ、こうして一緒のご飯を食べたり、同じ布団で寝たりと、高校1年生のカップルとしては偽装と言えないぐらいの付き合いな気もするけど、そこは触れないでおこう。
さあ寝よう寝よう。緊張して眠れるか微妙だと思っていたが、色々ありすぎてもう眠くて仕方ない。羽依も同様で、うつらうつらし始めている。
「おやすみ羽依。明日もよろしくね」
「おやすみ蒼真。今日は本当にありがとう……」
――未明
ふと、頬にかすかな感触を感じた気がした。意識は覚醒すること無く朝を迎えるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について
沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。
クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
半世紀の契約
篠原皐月
恋愛
それぞれ個性的な妹達に振り回されつつ、五人姉妹の長女としての役割を自分なりに理解し、母親に代わって藤宮家を纏めている美子(よしこ)。一見、他人からは凡庸に見られがちな彼女は、自分の人生においての生きがいを、未だにはっきりと見い出せないまま日々を過ごしていたが、とある見合いの席で鼻持ちならない相手を袖にした結果、その男が彼女の家族とその後の人生に、大きく関わってくる事になる。
一見常識人でも、とてつもなく非凡な美子と、傲岸不遜で得体の知れない秀明の、二人の出会いから始まる物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる