夢に向かって翔け

結城時朗

文字の大きさ
上 下
11 / 25
第三章

言い合い

しおりを挟む
翌日、英二たちは2次選考の内容に取り掛かった。

内容は
・1次選考を通過した作品を通し、演じてもらいたい俳優のイメージ
・登場キャラクターのバックボーン
・敵キャラの宇宙人もしくは怪獣のデザイン

この3点が2次選考の内容だった。

1番時間がかかる宇宙人、怪獣のデザインから手をつけることに。

「やっぱり、キングオブモンスター的なのがいいかな?」
「特徴的にはそうかもしれないけど、元々人間だったけど、何らかの理由で怪獣になる。もしくは人間に擬態できるとかがいいんじゃない?」
「66年の蝶が原因のやつ?」
「でもいいし、吸血怪人みたいなのでもいいし、96年の出来のやつでも良いし」
設定を考え始める2人

《3時間後》
議論やアイデアの出し合いの末、設定を作り上げた。
設定は
・地球外生命体が地球に降下する。
・見た目は綺麗な宝石のように輝く石
・拾った女の人がどんどんと異型化していき、最後は宇宙怪人として地球上で活動し始める

イラストは、美波が担当することになった。
宝石の形から書き始める。
その次に身体を乗っ取られる女性のイメージ
そして、異型化した姿である宇宙怪人のデザインを描き出していった。

仕事がファッション関係故に衣装デザインのような感じである。
僅か半日でデザインを描きあげた美波。
英二は、登場キャラクターのバックボーンを考えていた。
携帯が鳴る。画面には彰一の文字。
「もしもし?  彰一?」
「おめでとう!  1次選考、通ったんだろ?」
「誰にも言ってないのに・・・」
「実はな、俺ん所の会社が、今回の公募の協賛企業なんだよ!」
「マジで?」
「誰が読むか分からない社報があってさ、そこにシナリオ公募話があってさ、ウチが協賛してるって知らなくてさ1次審査の結果が載ってて、読んでたらお前の名前あってびっくりしたわけ!」
「ありがとう!」
「今、2次審査の期間だろ?」
「そんなとこ」
「落ち着いたら飲みに行こうぜ!」
「うん!また連絡する!」
「じゃあ!」

電話を切ってすぐに、アラームがなる。
「美波、どう?」
「一応、今できたけど、満足行かないから微調整中。  そっちは?」
「まだ2人かな?」
「後4人か・・・」
「そんな中悪いんだけど、バイトの時間だから行くわ!」
「意外とかかるんだよね。  考えときゃ良かった」
「えっ?考えてなかったの?」
「考えてなかったというより、ざっくりとしか考えてなかった」
「とりあえず、バイト帰ってきたら考えてよ!」
「すみません」
「そういえば、明日は?バイト」
「休みで、明後日フルタイム」
「何がなんでも明日には完成させてよ!」
「うるさいな!  わかってるよ!」
「何それ!」
「前からだけど、偉そうすぎ!」
「はぁ?」
「人には人のタイミングがあるから。  お前みたいになんでもできる訳じゃないの!」
「なんでもできるって何!」
「自分で考えろ!」
そのまま家を出る英二。
その場で立ちすくむ美波。
次第に緊張が解けたのかしゃがみこむ。
「怒らせちゃった・・・」

ーーバイト先ーー
休憩している英二。
その間でも、パソコンに向かっている。
「後、3人・・・」
「宮澤さん、休憩終わりましたよ!」
「ごめん!」
「なんかあるんですか?パソコンに向かって」
「いや、別の仕事してたのよ!」
「大変ですね」
バックヤードから出ていく英二。

ーー美波の家ーー
体育座りで携帯を見ている。
LINEに(ごめんなさい)と打ち込まれているが、送信はしなかった。
そのまま顔を伏せる。

英二からメッセージが届く。
《今日は帰らない。  ホテルに泊まります》
打ち込んでいた《ごめんなさい》を送信する
《頭に血が上った状態で面と向かってもまた言い合うだけだし》
《気が向いたら明日のどこかで帰ります》
その文面に返信することなく、既読を付けて画面を閉じる。

美波は自室に行き、眠りについた。

 続
しおりを挟む

処理中です...