青い石との奇妙な生活

結城時朗

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第一幕

変化

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元々明るい性格の史緒里。
怒られても、失敗してもクヨクヨせず、経験を活かそうとするポジティブ思考が、
ここ数週間のうちに、ネガティブ思考へと変化。
また、意識しないところで出るガラの悪い性格も相まってか、
史緒里の評判は落ちて行った。

自宅に帰る史緒里。「ただいま・・・」
いつもなら一人暮らしの部屋に寂しく木霊する言葉に打ち返しがあった。「おかえり」
その言葉に驚き、その場で少しの間固まる。
史緒里は恐る恐る歩みを進める。
そっとドアを開けると、ゆったりとした白いワンピースを着た女が立っていた。
「誰?」
「誰って私は・・・あなた」
振り向いた白い服の女は、史緒里そのものだった。
尻もちを付き、後退あとずさりをする
「来ないで!」と大声を上げながら、目を瞑る。
そっと目を開け、前を確認する。
白い服の女の姿は無くなっていた。
安心を感じた、史緒里は幻覚だと自分に言い聞かせるが、
玄関に置いている鏡を見た瞬間に現実だと思い知らされる。
「嘘・・・」
「嘘じゃないよ! 私はあなたで、あなたは私」
「来ないで!」
「なんで?」
白い服の女が近づいてくる。
史緒里の顔に手を伸ばそうとした時、顔を押さえ苦しみ始める女
手を伸ばす白い服の女は、史緒里そのものだったが
片方の手で押さえつけている顔は、
まるで爬虫類のように鱗状になっていた。
すると猛スピードで史緒里に近づき「あなたの体いただきます」

・・・・・・・・・

玄関で倒れている史緒里。
その場で目を覚まし、起き上がり、全身を確かめるが、何も変わっていない。
安心した史緒里は、玄関に置いてある鏡に目をやると、あの女同様に顔が鱗状になっていた。
恐る恐る自分の顔を触るが、見た目とは違い自分の肌の感触。
もう一度鏡を見ると、鱗状の肌のまま。
その鱗状は、手にまで広がっていた。
急いで全身を確認しようと寝室へ向かった。
寝室に置かれた姿見に背を向け着ていた衣服を脱ぎ産まれたままの姿になった。
「大丈夫!気のせい!夢!これは絶対に夢!」
そう自分に言い聞かせ、姿見の方向へ。
自分の姿を見た史緒里は、その場に座り込んだ。
その姿見に映された全身はまるで、【蛇】のように鱗で包まれていた。
「これから、この姿で生きて行くって事?   そんなの嫌だよ・・・」
泣き始める史緒里。
「ねぇ?聞こえる?」泣いている史緒里にどこからと声が聴こえてきた。
「私、あなたと一体化できた」
「誰?」部屋中見回すがその声の主はたらない。
何度も呼びかけるその声に、頭を抑える
史緒里が突き止めた声。
「まさか・・・」
枕元にあった石を観ると、拾った時より3倍ほど大きくなっている
そして何より違うのは、声が聞こえる度、発光している事だった。

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