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32.陰謀①
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「サラ……」
マティアスは私の事を隠す様に前に出た。
「ふふっ…どうしたの?そんな怖い顔をされて…?私がそちらの…元婚約者だったリリーさんに何かするとでも思っているのかしら?」
サラはマティアスの後ろにいる私を視線の端に入れると可笑しそうに笑った。
「違うのか…?」
「マティアス…酷いわね。そんな訳ないでしょ?それに私達はもう婚約者でも無くなったわ。だから貴方が誰とどうしようが私には関係ないこと……でしょ…?」
マティアスが聞くとサラは盛大にため息を漏らして困った様に話し始めた。
そんな時私はサラと視線が合ってしまった。
「あ、そうだわ。良かったら二人ともこれから家に来ない?」
「は…?何を言っているんだ?行くわけないだろう…」
「本当にごめんなさい。私は二人に謝りたいと思っているの、想い合ってる二人の邪魔をしたこと…今更だけど後悔してるわ。だから私に謝る機会をいただけませんか…?」
サラは神妙な面持ちで私の顔を真直ぐに見つめた。
信じられないけど、その表情は本当に反省している様に見えた。
「「………」」
困った私はマティアスの顔をみた。
マティアスも困惑しているようで私の顔を見つめた。
「お願いします…」
サラは頭まで下げた。
あのサラがここまでするなんて本気で反省しているのだろうか。
「……分かった。リリーも付き合ってもらえるか?」
マティアスが悩んだ末に答えると私の方に再び視線を向けた。
「はい…」
私は小さく頷いた。
そしてそのままサラの用意した馬車に乗り込んだ。
「私の最後のお願いを聞いてくださって本当に感謝するわ。リリーさん…貴女には以前教室で酷い事を言ってしまった事をずっと謝りたいと思っていたの…。本当にあの時はごめんなさい…」
サラは悲痛な表情で謝って来た。
突然そんな顔をされて私は戸惑ってしまう。
「いえ…あの時の事はもう気にしてませんので…」
私は焦る様に返答を返した。
サラの態度が一変する事に私は戸惑っていた。
人は短期間でこんなにも変わることが出来るのだろうか。
あからさまに態度が違うサラに対して少し疑念を持ち始めていたのかもしれない。
「リリーさんはお優しい方なのね。マティアスが惹かれるのが分かるわ。私には最初から勝ち目なんて無かったのね…」
「サラ…やめてくれ…。俺はもうリリーとは」
サラの言葉にマティアスは苦笑した。
そんな話をしているとサラの屋敷に着いた。
そしてサラに案内されるがままに、応接室へと案内された。
サラは準備があるからと一旦部屋を出て行った。
勢いで付いて来てしまったけど、私はここに来て良かったのだろうか。
そんなことを考えていた。
「リリー…ごめんな」
「どうしてマティアスが謝るの?」
マティアスは私の方に視線を向けると小さく謝った。
「こんな事にリリーを巻き込んでしまって。サラに嫌がらせをされてた事…俺、今まで知らなかったよ」
「1回だけだったし…それにハルが……ハーラルト殿下が助けてくれたから…」
私がそう答えるとマティアスは一瞬驚いた様な表情を見せ、小さく笑った。
「リリーは本当に殿下とは仲が良いんだな」
「……うん」
マティアスはどこか羨ましそうな顔で言った。
私はなんとなく気まずさを感じて視線を逸らしてしまった。
そんな時タイミング良くサラが戻って来た。
「お待たせしてしまいごめんなさい。準備が出来ましたの。お部屋に案内するわ」
サラは笑顔でそう言った。
私達は頷いて、部屋を移動した。
「本当は庭園でゆっくりお茶でもと思っていたのだけど、もう昼間ではないので…それはまたの機会に。今日はこちらの部屋よ…」
案内されて室内に入ると、テーブルの上には沢山の作り立ての焼き菓子が置かれていていい匂いがしていた。
「さぁ、そちらにお掛けになって。リリーさんはお菓子が好きって聞いたので、色々作ってもらったの。口に合えば良いのだけど…」
「どれも美味しそうです…。私の為にありがとうございます…」
サラはふふっと楽しそうに話した。
「それからこれはお菓子に会うハーブティーよ。私のお勧めなの。お菓子とも合うと思うわよ」
淹れたてのせいかハーブのいい香りがしていた。
「少しの時間だけど、楽しんでもらえると幸いよ。こんな事で許してもらえるとは思ってないけど…」
「いいえ、サラ様の心遣い有難く思います。それにこのお菓子どれも美味しそうで、見てるだけで楽しい気分になります」
サラが少し暗い表情をしていたので、私は気にしない様にと笑顔で答えた。
「リリーさんは本当に優しい方なのね…。ふふっ…ありがとう」
サラに笑顔が戻り、嬉しそうにそう言った。
サラが用意してくれたお菓子はどれも美味しかった。
ハーブティーもお菓子に合っていて飲みやすくて何杯か飲んでしまった。
「リリーさん…随分眠そうな顔をされてますけど…大丈夫?」
「あ…れ…、私食べ過ぎてしまったのかな…お腹いっぱいで…急に眠気が……」
サラの声が遠くから聞こえてくるような気がしていた。
ぼやけていく視界の中でマティアスの方に視線を向けると、どうやらマティアスも眠っている様に見えた。
「ふふっ……本当に馬鹿な人。こんなにも簡単に騙されるなんて…。暫くお休みになって?目覚めたら…絶望を味合わせてあげるわ…ふふっ……あははっ……あはははははっ!!!!」
サラは嘲る様に私の事を見下ろしていた。
そして深い眠りに落ちていく私を眺めながら侮蔑の視線を向けた。
サラの甲高い声が耳の奥で響いていた。
だけど睡魔には抗う事は出来ず、私はそのまま意識を手放した。
マティアスは私の事を隠す様に前に出た。
「ふふっ…どうしたの?そんな怖い顔をされて…?私がそちらの…元婚約者だったリリーさんに何かするとでも思っているのかしら?」
サラはマティアスの後ろにいる私を視線の端に入れると可笑しそうに笑った。
「違うのか…?」
「マティアス…酷いわね。そんな訳ないでしょ?それに私達はもう婚約者でも無くなったわ。だから貴方が誰とどうしようが私には関係ないこと……でしょ…?」
マティアスが聞くとサラは盛大にため息を漏らして困った様に話し始めた。
そんな時私はサラと視線が合ってしまった。
「あ、そうだわ。良かったら二人ともこれから家に来ない?」
「は…?何を言っているんだ?行くわけないだろう…」
「本当にごめんなさい。私は二人に謝りたいと思っているの、想い合ってる二人の邪魔をしたこと…今更だけど後悔してるわ。だから私に謝る機会をいただけませんか…?」
サラは神妙な面持ちで私の顔を真直ぐに見つめた。
信じられないけど、その表情は本当に反省している様に見えた。
「「………」」
困った私はマティアスの顔をみた。
マティアスも困惑しているようで私の顔を見つめた。
「お願いします…」
サラは頭まで下げた。
あのサラがここまでするなんて本気で反省しているのだろうか。
「……分かった。リリーも付き合ってもらえるか?」
マティアスが悩んだ末に答えると私の方に再び視線を向けた。
「はい…」
私は小さく頷いた。
そしてそのままサラの用意した馬車に乗り込んだ。
「私の最後のお願いを聞いてくださって本当に感謝するわ。リリーさん…貴女には以前教室で酷い事を言ってしまった事をずっと謝りたいと思っていたの…。本当にあの時はごめんなさい…」
サラは悲痛な表情で謝って来た。
突然そんな顔をされて私は戸惑ってしまう。
「いえ…あの時の事はもう気にしてませんので…」
私は焦る様に返答を返した。
サラの態度が一変する事に私は戸惑っていた。
人は短期間でこんなにも変わることが出来るのだろうか。
あからさまに態度が違うサラに対して少し疑念を持ち始めていたのかもしれない。
「リリーさんはお優しい方なのね。マティアスが惹かれるのが分かるわ。私には最初から勝ち目なんて無かったのね…」
「サラ…やめてくれ…。俺はもうリリーとは」
サラの言葉にマティアスは苦笑した。
そんな話をしているとサラの屋敷に着いた。
そしてサラに案内されるがままに、応接室へと案内された。
サラは準備があるからと一旦部屋を出て行った。
勢いで付いて来てしまったけど、私はここに来て良かったのだろうか。
そんなことを考えていた。
「リリー…ごめんな」
「どうしてマティアスが謝るの?」
マティアスは私の方に視線を向けると小さく謝った。
「こんな事にリリーを巻き込んでしまって。サラに嫌がらせをされてた事…俺、今まで知らなかったよ」
「1回だけだったし…それにハルが……ハーラルト殿下が助けてくれたから…」
私がそう答えるとマティアスは一瞬驚いた様な表情を見せ、小さく笑った。
「リリーは本当に殿下とは仲が良いんだな」
「……うん」
マティアスはどこか羨ましそうな顔で言った。
私はなんとなく気まずさを感じて視線を逸らしてしまった。
そんな時タイミング良くサラが戻って来た。
「お待たせしてしまいごめんなさい。準備が出来ましたの。お部屋に案内するわ」
サラは笑顔でそう言った。
私達は頷いて、部屋を移動した。
「本当は庭園でゆっくりお茶でもと思っていたのだけど、もう昼間ではないので…それはまたの機会に。今日はこちらの部屋よ…」
案内されて室内に入ると、テーブルの上には沢山の作り立ての焼き菓子が置かれていていい匂いがしていた。
「さぁ、そちらにお掛けになって。リリーさんはお菓子が好きって聞いたので、色々作ってもらったの。口に合えば良いのだけど…」
「どれも美味しそうです…。私の為にありがとうございます…」
サラはふふっと楽しそうに話した。
「それからこれはお菓子に会うハーブティーよ。私のお勧めなの。お菓子とも合うと思うわよ」
淹れたてのせいかハーブのいい香りがしていた。
「少しの時間だけど、楽しんでもらえると幸いよ。こんな事で許してもらえるとは思ってないけど…」
「いいえ、サラ様の心遣い有難く思います。それにこのお菓子どれも美味しそうで、見てるだけで楽しい気分になります」
サラが少し暗い表情をしていたので、私は気にしない様にと笑顔で答えた。
「リリーさんは本当に優しい方なのね…。ふふっ…ありがとう」
サラに笑顔が戻り、嬉しそうにそう言った。
サラが用意してくれたお菓子はどれも美味しかった。
ハーブティーもお菓子に合っていて飲みやすくて何杯か飲んでしまった。
「リリーさん…随分眠そうな顔をされてますけど…大丈夫?」
「あ…れ…、私食べ過ぎてしまったのかな…お腹いっぱいで…急に眠気が……」
サラの声が遠くから聞こえてくるような気がしていた。
ぼやけていく視界の中でマティアスの方に視線を向けると、どうやらマティアスも眠っている様に見えた。
「ふふっ……本当に馬鹿な人。こんなにも簡単に騙されるなんて…。暫くお休みになって?目覚めたら…絶望を味合わせてあげるわ…ふふっ……あははっ……あはははははっ!!!!」
サラは嘲る様に私の事を見下ろしていた。
そして深い眠りに落ちていく私を眺めながら侮蔑の視線を向けた。
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だけど睡魔には抗う事は出来ず、私はそのまま意識を手放した。
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