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31.ありがとう
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それから暫くしてハーラルトとの婚約が正式に決まった。
ハーラルトが王家の方で掛け合ってくれて、公に公表するのは暫くの間待ってもらえることになった。
もうここまで来たら、引き返す事なんて出来ない。
マティアスには分かってもらえるまで謝り続けるしかない。
それが今の私に出来る唯一の事だと思っていた。
私はマティアスに何度か話し合いの機会が欲しいと手紙を送った。
だけど今は少し距離を置きたいと言われ断れてしまった。
ただ時間だけが過ぎていく日々に私は悩んでいた。
マティアスとサラの婚約が白紙になったと知ったのはそんな時だった。
学園でも二人の事は噂になっていた。
放課後、私はいつもの様に帰りの準備をしていた。
ハーラルトは用事があるとかで今日は先に帰って行った。
「リリー、久しぶり。今少し話せないか?」
突然私のクラスにマティアスがやってきた。
久しぶりに見たマティアスはどこか少しやつれている様に見えた。
今話題の中心的存在でもあり、視線が一斉に私達に集められた。
「う…うん」
私は小さく頷いてマティアスと一緒に教室を出た。
そのままマティアスの一歩後を歩く様に付いて行く。
そして誰もいない教室の中に入った。
ずっと話さないといけないと思っていたけど、突然この機会がやって来た事に私は緊張していた。
心の準備はもう出来てるはずだったのに、いざその時になると焦ってしまう。
「リリーがずっと連絡くれていたのに、断り続けていてごめんな」
「ううん」
マティアスはすまなそうに謝って来たので、私は首を横に何度も振った。
「もう知ってると思うけど、サラとの婚約が白紙に戻ったんだ」
「うん、今日噂で知った…」
私が答えるとマティアスは小さく「そうか」と答えた。
「リリー…俺は今でもリリーの事が好きだ。もう一度俺との婚約を考えてはもらえないか…?」
マティアスは私の顔を真直ぐに見つめて真剣な表情で言った。
私は表情を曇らせながら掌をぎゅっと握りしめた。
もう曖昧にするの止めようって決めていた。
私がはっきりとしないと余計にマティアスの事を傷つけてしまう事も分かっていた。
だからちゃんと伝えなければならない。
「……ごめんなさい…私はもうマティアスの傍にはいられない…」
私は今にも泣きだしそうな顔で辛そうに答えた。
そんな私の顔をマティアスは暫くじっと見つめていた。
「分かってるよ。リリーの気持ちは…俺にはもう無いって事」
「ごめんなさいっ……」
泣かない様に我慢をしていていたけど、マティアスの顔を見ていると堪えることが出来ずに目からは涙が溢れていた。
「俺はリリーの事泣かせてばかりだな」
マティアスは自嘲する様に言うと私の事を優しく抱きしめてくれた。
「リリーを抱きしめるのは今日で最後にするから。俺の役目は本当にこれで最後だよ。これからは何かあったらハーラルト殿下にちゃんと頼れよ。リリーは一人で悩む癖があるから…心配だな」
「……っ……」
マティアスは優しい声で話しながら私の頭を優しく撫でてくれた。
そして私は感情が高まり過ぎて言葉に出すことが出来なくてただ何度も頷いた。
最後と聞くと寂しくて仕方ない気持ちになる。
マティアスとは幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた。
私にとってもマティアスの存在は大きかった。
だけど私はもうハーラルトと一緒に生きていく事を決めてしまった。
だからマティアスの傍にはもういられない。
分かってるはずなのに辛くて仕方なかった。
「リリーは本当に泣き虫だよな、昔から。可愛いけど、もう少し我慢できるようにならないとな」
マティアスはそういうと抱きしめる力を緩めて私から離れた。
「リリー、今までありがとう。俺はもう傍にはいられないけど、リリーを好きになって本当に良かったって思ってる。正直なところまだリリーの事完全に忘れられた訳じゃない、だけど…俺も自分の道を進める様に努力する。だからリリーも幸せになって…。俺の事を振ったんだ、リリーが幸せにならなかったら許さないからな」
マティアスは優しい口調でそう言った。
そこにいたマティアスは辛い顔や、悲しい顔では無く、前に進もうと決意した顔をしていた。
私はその顔を見て自分も泣いてなんていられないと思い自分の手で涙を拭った。
「うん、私絶対に幸せになる。だからマティアスも…頑張って。いつも私の傍に居てくれてありがとう。マティアスが居てくれたから今の私があるんだと思う。こんな結末になってしまったけど…私もマティアスと出会えて本当に良かった。……本当に…本当に…ありがとう…」
私は笑顔で「ありがとう」って伝えることが出来た。
マティアスはそんな私の笑顔を見て笑ってくれた。
そんな時だった。
「……私達の婚約が無くなった途端に、二人で密会?」
扉の方から声が響き、振り返るとそこにはサラの姿があった。
ハーラルトが王家の方で掛け合ってくれて、公に公表するのは暫くの間待ってもらえることになった。
もうここまで来たら、引き返す事なんて出来ない。
マティアスには分かってもらえるまで謝り続けるしかない。
それが今の私に出来る唯一の事だと思っていた。
私はマティアスに何度か話し合いの機会が欲しいと手紙を送った。
だけど今は少し距離を置きたいと言われ断れてしまった。
ただ時間だけが過ぎていく日々に私は悩んでいた。
マティアスとサラの婚約が白紙になったと知ったのはそんな時だった。
学園でも二人の事は噂になっていた。
放課後、私はいつもの様に帰りの準備をしていた。
ハーラルトは用事があるとかで今日は先に帰って行った。
「リリー、久しぶり。今少し話せないか?」
突然私のクラスにマティアスがやってきた。
久しぶりに見たマティアスはどこか少しやつれている様に見えた。
今話題の中心的存在でもあり、視線が一斉に私達に集められた。
「う…うん」
私は小さく頷いてマティアスと一緒に教室を出た。
そのままマティアスの一歩後を歩く様に付いて行く。
そして誰もいない教室の中に入った。
ずっと話さないといけないと思っていたけど、突然この機会がやって来た事に私は緊張していた。
心の準備はもう出来てるはずだったのに、いざその時になると焦ってしまう。
「リリーがずっと連絡くれていたのに、断り続けていてごめんな」
「ううん」
マティアスはすまなそうに謝って来たので、私は首を横に何度も振った。
「もう知ってると思うけど、サラとの婚約が白紙に戻ったんだ」
「うん、今日噂で知った…」
私が答えるとマティアスは小さく「そうか」と答えた。
「リリー…俺は今でもリリーの事が好きだ。もう一度俺との婚約を考えてはもらえないか…?」
マティアスは私の顔を真直ぐに見つめて真剣な表情で言った。
私は表情を曇らせながら掌をぎゅっと握りしめた。
もう曖昧にするの止めようって決めていた。
私がはっきりとしないと余計にマティアスの事を傷つけてしまう事も分かっていた。
だからちゃんと伝えなければならない。
「……ごめんなさい…私はもうマティアスの傍にはいられない…」
私は今にも泣きだしそうな顔で辛そうに答えた。
そんな私の顔をマティアスは暫くじっと見つめていた。
「分かってるよ。リリーの気持ちは…俺にはもう無いって事」
「ごめんなさいっ……」
泣かない様に我慢をしていていたけど、マティアスの顔を見ていると堪えることが出来ずに目からは涙が溢れていた。
「俺はリリーの事泣かせてばかりだな」
マティアスは自嘲する様に言うと私の事を優しく抱きしめてくれた。
「リリーを抱きしめるのは今日で最後にするから。俺の役目は本当にこれで最後だよ。これからは何かあったらハーラルト殿下にちゃんと頼れよ。リリーは一人で悩む癖があるから…心配だな」
「……っ……」
マティアスは優しい声で話しながら私の頭を優しく撫でてくれた。
そして私は感情が高まり過ぎて言葉に出すことが出来なくてただ何度も頷いた。
最後と聞くと寂しくて仕方ない気持ちになる。
マティアスとは幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた。
私にとってもマティアスの存在は大きかった。
だけど私はもうハーラルトと一緒に生きていく事を決めてしまった。
だからマティアスの傍にはもういられない。
分かってるはずなのに辛くて仕方なかった。
「リリーは本当に泣き虫だよな、昔から。可愛いけど、もう少し我慢できるようにならないとな」
マティアスはそういうと抱きしめる力を緩めて私から離れた。
「リリー、今までありがとう。俺はもう傍にはいられないけど、リリーを好きになって本当に良かったって思ってる。正直なところまだリリーの事完全に忘れられた訳じゃない、だけど…俺も自分の道を進める様に努力する。だからリリーも幸せになって…。俺の事を振ったんだ、リリーが幸せにならなかったら許さないからな」
マティアスは優しい口調でそう言った。
そこにいたマティアスは辛い顔や、悲しい顔では無く、前に進もうと決意した顔をしていた。
私はその顔を見て自分も泣いてなんていられないと思い自分の手で涙を拭った。
「うん、私絶対に幸せになる。だからマティアスも…頑張って。いつも私の傍に居てくれてありがとう。マティアスが居てくれたから今の私があるんだと思う。こんな結末になってしまったけど…私もマティアスと出会えて本当に良かった。……本当に…本当に…ありがとう…」
私は笑顔で「ありがとう」って伝えることが出来た。
マティアスはそんな私の笑顔を見て笑ってくれた。
そんな時だった。
「……私達の婚約が無くなった途端に、二人で密会?」
扉の方から声が響き、振り返るとそこにはサラの姿があった。
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