素直になれない令嬢は幼馴染の重すぎる愛から逃げられない?【R18】

Rila

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第一章

3.強敵なライバル

アリエルが編入してから一週間程が過ぎた。
私は未だに元の席には戻れず、後ろの方の席で授業を受けていた。

(もうあれから一週間かぁ…。私、いつまでこの席のままなんだろう…)

休み時間までアリエルはジェラルドにくっついている為、学園でジェラルドと話せる時間は殆ど無くなっていた。
楽しそうに二人で話す姿を私はただ恨めしそうな顔で眺めていた。

(説得してくれるって言ったのに…。ジェラルドの嘘つきっ!)


「シャル…そんな顔をするくらいなら、はっきり言ってやったらどうだ?」
休み時間になると私の席にロランがやって来て、不満そうな顔をする私に向けてそう呟いた。

「……相手は王女よ?無理だよ…。それにジェラルドも説得してくれるとか言ってたのに…あんなに楽しそうに話してさ…私の事なんてもう忘れてるのかも」
「王女ってのが厄介だとは思うけど、このまま行くと本当に拗れるぞ…?俺も協力してやるから…、一度ジェラルドと話してみろよ…」
ロランはいつもに増して私の事を気遣ってくれている様に思えた。
それ程までに私の不満は態度に出てしまっているのだろうか…。

「アリエル王女と仲良くしないでって言うの?……そんな事、言える訳ないっ…」
私は弱弱しい言葉呟くと、しゅんと体を縮こませた。

今までジェラルドの前では一切素直な気持ちを言えなかった私が、突然簡単に言える様になるなんて絶対にないだろう。
きっとジェラルドを前にしたら、いつもの様にドキドキして羞恥心に負けて、思っている事と真逆の言葉を言ってしまうに違いない。
それが分かっているから、私はジェラルドと会う事を自ら避けていた。
色々不満が重なり、きっとすごく酷い事を言ってしまいそうな気がしたから…。

「……だよな。それが簡単に言えるなら、こんな風にはなっていないか…。でもお前が何も言わないから、ジェラルドも平気だと勘違いしている可能性だってあるとは思うぞ。それに…あの王女…かなりやり手だぞ。最初はただの我儘王女の好奇心からジェラルドに近づいているのだと思っていたけど、巧妙な手を使ってジェラルドを傍から離さない様にしているみたいだ」
「巧妙な手って…?」

「休み時間ジェラルドをシャルの傍に行かせない様に、休み時間を丸々使う程の難しい質問をしたりな…。自分は王女で…他の者に頼むと気を遣わせてしまうから頼みづらいって理由で、ジェラルドに校内の案内をさせたりとか…色々だ。今日の昼はジェラルドの為に手作りの料理を作って来たらしいぞ…。ジェラルドの為だって強調するのも断りづらさを作っているとは思うけどな…」
「そ…そんなっ…。ジェラルドはその料理断らなかったの…?」

ロランの話を聞いて、最近どうしてジェラルドが私の傍に来なくなったのか理解出来た。
ジェラルドは一応王子である為、ある程度は周囲からの体裁を気にしているのだろう。

「なんでも朝、数時間早起きして作って来たらしいぞ。そんな事を言われたら断れるか…?」
「……なんて強引な人なのっ…!」
私はアリエルの背中を睨みつけた。
背中しか睨むことが出来ない自分が情けないとは思う…。

「私も…作ってみようかな…」
「は…?シャル…お前料理出来るのか?俺の知る限り、シャルが何かを作った所なんて見たこと無い気がするが…」
私が思い切った顔で呟くと、ロランは思い出す様に答え、その顔は『やめとけ』と言っている様に見えた。

「そ、そうだけどっ…。使用人達に教えてもらいながら作れば…出来る筈よ!だってあの王女様ですら出来たんだから…私にだって出来るわ…きっと…」
「……シャルって昔から、そういう変な所…妙にムキになるよな。でもシャルが作ったものだと知れば、ジェラルドは喜んで食べるんじゃないか…?ああ見えて…シャルの事…本当に…」
私は思い立つと机の中からノートを取り出した。
別の事を考えていた為、ロランの言葉はあまり私の耳には入って来なかった。

「ロラン…、何作ろうか一緒に考えよう」
「……なんで俺が一緒に考えなきゃならないんだよ。ジェラルドの為に作るんじゃなかったのか?」
私がペンを持ちながらロランに視線を向けると、ロランは面倒くさそうに答えていた。

「折角だし、ロランの分も作ってあげるから!」
「……別に、俺のはいいよ。お前…本気で作ろうとしているのか?」

「勿論、本気よ!…言葉では中々伝えられない分…料理に…あ…愛情を注ぐわっ…」
私は自分で言って恥ずかしそうに頬を染めていた。

「愛情を…ね。ジェラルドが…羨ましいよ…」
ロランはボソッと小さく呟いた。

「何か…言った?」
「いや、別に…。……で何を作るんだ?」

そんな話で盛り上がり始めた時に、次の授業を知らせる鐘の音が響いた。

「折角これからって時に…。ロラン、昼休みは作戦会議ねっ!」
「……わかったよ。じゃあ、また後でな…」
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