素直になれない令嬢は幼馴染の重すぎる愛から逃げられない?【R18】

Rila

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第一章

4.離れない手

昼休みになり、私とロランが教室を出ようとしていると「待って」と背後から声が響き、二人同時に振り返った。

「二人とも…僕を置いて行く気?…冷たいな…」
そこには困った顔をするジェラルドの姿があった。

「……今日は先約があるんじゃなかったのか?」
「ん…?勿論断ったよ…」
ロランの問いかけに、ジェラルドは当然の様にさらりと答えた。

(断ったって…アリエル王女の手料理の事…だよね?)

「でも…ジェラルドの為に早起きして作ってくれたんじゃなかったの?」
「あれ…シャルも知ってたの?……ああ、ロランから聞いたのか。アリエル王女には少し悪い事をしたけど、変に勘違いされると後々面倒だからね。それに手料理を食べられるなら…シャルが作った物を食べたいかな」
ジェラルドは私の方に視線を向けて、優しい口調で呟いた。
突然そんな事を言われてしまうと、ドキドキして胸の鼓動が速くなっていく。

(……どうしよう、すごく嬉しいっ…!アリエル王女の手料理を断って…私が作った物を食べたいって言ってくれた…)

「そう言えば…シャルがさ、さっきの休み時間…ジェラルドの為に手料理を作るとか言って、すごく張り切ってたぞ。良かったな」
「…え?本当に…?ふふっ…それは嬉しいな…。シャルは何を作ってくれるんだろうね…」
私が一人でドキドキしていると、ロランが全てをばらしてしまい、それを聞いたジェラルドはなんだかとても嬉しそうな口調で話していた。

「なっ…!ちょっと…ロラン!なんで言うのっ…」
「なんでって…良かっただろ?これで一つ悩みは解決したな…」
私はロランの事をむっと睨みつけると、ロランは何もなかったかの様にしれっとしていた。

(ロランの意地悪……!今ばらす事無いのにっ…)


「シャル…ごめんね。最近は中々傍に居てあげられなくて…。席の事も説得はしてみたんだけど…あの王女、意外と強情でね。あの場から離れる気はなさそうなんだ。だからね…僕も後ろの席へと変わってもらうことにしたよ」
「え…?」

「シャルの隣の席の者とは既に話は付けてあるから、明日にでも移動するよ。これでまたシャルの隣で授業が受けれるよ」
「わ…私、別に寂しくなんてなかったしっ…、そんな事しなくても良かったのに…」
私は慌てて言い返した。
自分の中ではむっとした顔つきで言っていたつもりだったのだが、感情が抑えられず嬉しそうな顔に変わっていた様だ。
それを見ていたロランは呆れた顔をし、ジェラルドは「そうか…」と呟き楽しそうに笑っていた。

(明日からまたジェラルドの隣で授業が受けられるんだ…すごく嬉しいっ!)

私が幸せを噛み締めていると、突然手に温かいものが触れて視線をそちらの方へと下ろした。
するとジェラルドに手を繋がれていることに気付き、バクバクと鼓動が激しくなる。

「な…何?」
「シャル、離そうとしないで…。……離してあげないけどね…」
私が慌てて繋がれた手を剥がそうとしていると、ジェラルドは更に繋いだ手をぎゅっと握り、解放してはくれなかった。

(こんな…人前で手を繋ぐとか……無理だからっ…)

「……手を繋いだくらいで、そんなに顔を赤く染めてしまうシャルは本当に可愛いな」
「お前…照れ過ぎだ…。そんな顔をこっちに見せるな…」
私は恥ずかしさからジェラルドの顔を見てられなくなり、困った末にロランの方を向くと嫌な顔をされた。

「シャル、可愛い顔は僕に見せてね?こっちを向いて?」
「……ひぁっ…、み、耳元で……喋らないでっ…!」
私は思わず変な声を出してしまい、慌ててジェラルドの方に視線を向けると、ジェラルドは満足そうな顔で私の事を見ていた。

「シャルは耳が弱いんだね、また可愛い所を見つけてしまったな…」
ジェラルドは笑っていたが、瞳の奥に潜む黒い何かを感じてゾクッと鳥肌が立った。
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