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第一章
11.負けたくない
そんな話をジェラルドとしていると、不意にロランと視線が合い私はドキッとした。
だけど視線が合ったのは一瞬で、すぐにロランの視線は婚約者であるルチアの方へと向けられ、暫くすると二人で教室から出て行った様だ。
私が少し落ち込んだ様な顔をしていると、ジェラルドの手が私の手の上へと重なった。
ジェラルドの温もりを感じると、私は自然とジェラルドの方へと視線を向けた。
「そんな切なさそうな顔をしないで…」
「……ジェラルドは…寂しくないの?」
私が問うと、ジェラルドは僅かに困った表情を見せた。
「僕だって寂しくないわけじゃない。長い間ずっと3人で一緒にいたのだから、急にそれがなくなると違和感を感じるからね…」
「…そう…だよね…」
ジェラルドの気持ちを聞いて、私と同じ感情を持っているのだと確認できると少しだけほっとした。
(やっぱり…ジェラルドも寂しいんだね…)
少ししんみりとした雰囲気になっていると、背後から「ジェラルド様」と呼ぶアリエルの明るい声が響いた。
私達が同時に後ろを振り向くと、笑顔で立っているアリエルの姿が目に入った。
「アリエル王女、おはよう…」
「おはようございます、……シャルロッテさんもおはよう…」
アリエルはジェラルドに向けて満面の笑みで挨拶をし、隣に私がいることに気付くと僅かに口端を上げて付け加える様に挨拶をしてきた。
「おはようございます…アリエル王女…」
明らかにアリエルは私に対して負の感情を持っている様に思えたが、気にしない様に挨拶を返した。
「ジェラルド様、今日の晩餐会…楽しみにしています…」
「ああ、そう言えば今日だったな…」
アリエルは嬉しそうな顔を終始続けている様だったが、ジェラルドは大して表情を変える様子は無かった。
(晩餐会…?何の話だろう…)
私が不思議そうな顔をしていると、ジェラルドと視線が合った。
「今日僕の兄上がアリエル王女をもてなす為に急遽晩餐会を開くことになったんだ。近々イエーリス国との同盟が結ばれる事になるから、アリエル王女は国賓と言う扱いになっているんだよ…」
「そう…なんだ」
私には難しい事は良くは分からないが、この国に取ってアリエルは大事な存在なのだと言う事は分かった。
「……ふふっ、この日の為に素敵なドレスを用意したのよ。今日はそれをやっとジェラルド様の前で披露できると思うと、今から楽しみで仕方が無いわ…」
「………」
ジェラルドはその言葉を聞いて困った顔を浮かべていた。
(私がいるのに…そんな事、今言わなくてもいいのに…!)
アリエルは私が婚約者だと言う事を忘れているのだろうか?
目の前にジェラルドの婚約者の私がいるのに、平然とそんな事を言うアリエルに少し腹が立った。
「アリエル王女、そういう話を彼女の前でするのは止めて欲しい…。変に不安にさせたくないからね…」
ジェラルドは私に優しい顔を見せ、その瞳は『心配しなくていい』と言っている様に見えた。
「ごめんなさい…、すっかり婚約者であるシャルロッテさんの事を忘れていたわ。シャルロッテさん、嫌な気持ちにさせてしまったかしら…?ごめんなさいね…」
アリエルはわざとらしく私の顔を見て申し訳なさそうな顔を見せると、軽く謝って来た。
「だ…大丈夫です。私…ジェラルドの事…信じてますからっ…!」
いつもなら私はここで強がって見せていたのかも知れないが、アリエルには負けたくないという気持ちが強かった様だ。
「…安心して、僕が好きなのはシャルだけだよ」
ジェラルドは私の言葉を聞いて少し驚いた顔を見せるも、直ぐに優しい表情に戻り、はっきりとそう答えた。
それを見ていたアリエルは悔しそうな顔で私の事を睨んできた。
「……っ…」
アリエルに睨まれぞくっとはしたが、ジェラルドにそんな事を言われて恥ずかしくなり私は頬を僅かに染めてしまった。
「ふふっ、シャルはこんな時にでも照れるの?」
ジェラルドはアリエルの存在に気にすることなく、私の赤くなった頬に触れて来る。
私はジェラルドがアリエルに見せつける為に、私を利用しているのだと気付くと、暫くの間恥ずかしくても耐えていた。
それから暫くするとアリエルの姿は消えていて、私は慌ててジェラルドの手を引き剥がした。
「少しやり過ぎたかな…?シャル、僕の気持ちわかってくれたみたいで嬉しいよ。だけど本当にあの王女様はしつこくて困っているんだ…、何度も僕にはシャルがいるって伝えているのに…一切聞く耳を持たなくてね…。シャルまで巻き込んでしまってごめんね…」
アリエルが少し強引なのは席の事で分かっていたが、今回の様なやり取りを見てしまうと更に不安を感じてしまう。
アリエルが簡単にジェラルドから手を引くとは到底思えなかったからだ。
「…そんな顔をしないで。僕は絶対にシャル以外を好きになったりはしないから…」
「……今日は…その言葉…信じてあげる…」
私が恥ずかしそうに答えると、ジェラルドはぷっと笑い出した。
「うん、信じてくれてありがとう…」
私はこの言葉を信じていた。
だけど視線が合ったのは一瞬で、すぐにロランの視線は婚約者であるルチアの方へと向けられ、暫くすると二人で教室から出て行った様だ。
私が少し落ち込んだ様な顔をしていると、ジェラルドの手が私の手の上へと重なった。
ジェラルドの温もりを感じると、私は自然とジェラルドの方へと視線を向けた。
「そんな切なさそうな顔をしないで…」
「……ジェラルドは…寂しくないの?」
私が問うと、ジェラルドは僅かに困った表情を見せた。
「僕だって寂しくないわけじゃない。長い間ずっと3人で一緒にいたのだから、急にそれがなくなると違和感を感じるからね…」
「…そう…だよね…」
ジェラルドの気持ちを聞いて、私と同じ感情を持っているのだと確認できると少しだけほっとした。
(やっぱり…ジェラルドも寂しいんだね…)
少ししんみりとした雰囲気になっていると、背後から「ジェラルド様」と呼ぶアリエルの明るい声が響いた。
私達が同時に後ろを振り向くと、笑顔で立っているアリエルの姿が目に入った。
「アリエル王女、おはよう…」
「おはようございます、……シャルロッテさんもおはよう…」
アリエルはジェラルドに向けて満面の笑みで挨拶をし、隣に私がいることに気付くと僅かに口端を上げて付け加える様に挨拶をしてきた。
「おはようございます…アリエル王女…」
明らかにアリエルは私に対して負の感情を持っている様に思えたが、気にしない様に挨拶を返した。
「ジェラルド様、今日の晩餐会…楽しみにしています…」
「ああ、そう言えば今日だったな…」
アリエルは嬉しそうな顔を終始続けている様だったが、ジェラルドは大して表情を変える様子は無かった。
(晩餐会…?何の話だろう…)
私が不思議そうな顔をしていると、ジェラルドと視線が合った。
「今日僕の兄上がアリエル王女をもてなす為に急遽晩餐会を開くことになったんだ。近々イエーリス国との同盟が結ばれる事になるから、アリエル王女は国賓と言う扱いになっているんだよ…」
「そう…なんだ」
私には難しい事は良くは分からないが、この国に取ってアリエルは大事な存在なのだと言う事は分かった。
「……ふふっ、この日の為に素敵なドレスを用意したのよ。今日はそれをやっとジェラルド様の前で披露できると思うと、今から楽しみで仕方が無いわ…」
「………」
ジェラルドはその言葉を聞いて困った顔を浮かべていた。
(私がいるのに…そんな事、今言わなくてもいいのに…!)
アリエルは私が婚約者だと言う事を忘れているのだろうか?
目の前にジェラルドの婚約者の私がいるのに、平然とそんな事を言うアリエルに少し腹が立った。
「アリエル王女、そういう話を彼女の前でするのは止めて欲しい…。変に不安にさせたくないからね…」
ジェラルドは私に優しい顔を見せ、その瞳は『心配しなくていい』と言っている様に見えた。
「ごめんなさい…、すっかり婚約者であるシャルロッテさんの事を忘れていたわ。シャルロッテさん、嫌な気持ちにさせてしまったかしら…?ごめんなさいね…」
アリエルはわざとらしく私の顔を見て申し訳なさそうな顔を見せると、軽く謝って来た。
「だ…大丈夫です。私…ジェラルドの事…信じてますからっ…!」
いつもなら私はここで強がって見せていたのかも知れないが、アリエルには負けたくないという気持ちが強かった様だ。
「…安心して、僕が好きなのはシャルだけだよ」
ジェラルドは私の言葉を聞いて少し驚いた顔を見せるも、直ぐに優しい表情に戻り、はっきりとそう答えた。
それを見ていたアリエルは悔しそうな顔で私の事を睨んできた。
「……っ…」
アリエルに睨まれぞくっとはしたが、ジェラルドにそんな事を言われて恥ずかしくなり私は頬を僅かに染めてしまった。
「ふふっ、シャルはこんな時にでも照れるの?」
ジェラルドはアリエルの存在に気にすることなく、私の赤くなった頬に触れて来る。
私はジェラルドがアリエルに見せつける為に、私を利用しているのだと気付くと、暫くの間恥ずかしくても耐えていた。
それから暫くするとアリエルの姿は消えていて、私は慌ててジェラルドの手を引き剥がした。
「少しやり過ぎたかな…?シャル、僕の気持ちわかってくれたみたいで嬉しいよ。だけど本当にあの王女様はしつこくて困っているんだ…、何度も僕にはシャルがいるって伝えているのに…一切聞く耳を持たなくてね…。シャルまで巻き込んでしまってごめんね…」
アリエルが少し強引なのは席の事で分かっていたが、今回の様なやり取りを見てしまうと更に不安を感じてしまう。
アリエルが簡単にジェラルドから手を引くとは到底思えなかったからだ。
「…そんな顔をしないで。僕は絶対にシャル以外を好きになったりはしないから…」
「……今日は…その言葉…信じてあげる…」
私が恥ずかしそうに答えると、ジェラルドはぷっと笑い出した。
「うん、信じてくれてありがとう…」
私はこの言葉を信じていた。
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