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第一章
19.知らなかった思い
あの日から暫くの間、学園を休学することになった。
そしてあれから毎日の様にロランが私の屋敷へと来てくれる。
ロランとは昔から何でも話せる仲だったので、自分の心の声を包み隠さず伝えることが出来るため、すごく気が楽だった。
私がジェラルドの不満を話しても、いつもの様に面倒くさがりながらも聞いてくれる。
言わば捌け口の様な場所を作ってくれる。
だから私はどん底まで落ち込まずにすんでいるのかもしれない。
そんなロランには本当に感謝している。
だけど、ロランには婚約者がいる。
私がロランとの時間を奪ってしまっていることに、罪悪感を感じていないわけでは無かった。
「ロラン…、毎日来てくれるのは嬉しいけど…無理しなくても大丈夫だよ?」
今日も来てくれたロランに、私は申し訳なさそうな顔でそう伝えた。
私のせいで、ロラン達の仲まで壊したくは無かった。
「別に俺は無理なんてしてないぞ?どうせ帰ってもやる事なんて無いしな…」
「…で、でも…婚約者さんに…悪いし…」
私が困った顔をすると、ロランは「その事なんだけど…」と話し始めた。
「お前は聞いているか分からないけど…、シャルを俺の婚約者にしようと両家が動いているみたいだ」
「……は…?」
思いがけない言葉を聞いて私は自分の耳を疑った。
「俺は…シャルさえ良ければ構わないと思ってる…」
「ロラン…何の話をしてるの…?そんなの…だめだよ…!だめに決まってるよ…!」
私は困った顔で必死に答えた。
(ロランには婚約者がいるのに…今度は私が奪う側になるなんて…そんなの絶対だめよ…!)
「どうしてだめか聞いてもいいか…?」
「どうしてって……、ロランには婚約者さんが既にいるでしょ?私…奪ってまでロランとは婚約なんて出来ないよ…」
私の話を聞いたロランは「ああ…」と呟くと、席を立ち私の方へと近づくと、隣に座り直した。
「それ……嘘なんだ。婚約者のフリをしてもらっていただけで…俺には婚約者なんて最初からいない。全部断っていたからな…」
「は…?そう…なの…?」
ロランの言葉を聞いて私は気が抜けた様な声を漏らした。
「あのさ…、こんな事を今言ったらお前を混乱させる事になるかもしれないけど…、俺…ずっとシャルの事が好きだったんだ…」
「……え?」
ロランは私の瞳を真直ぐに見つめながら答えた。
私は突然の言葉に驚き固まってしまった。
「俺は本気でシャルの事が好きだよ…、今でもその気持ちは変わってない。お前にはジェラルドがいたから…何度も諦めようとしたけど、無理だった。俺の気持ちを何も知らないお前は、いつも俺にジェラルドの相談をして来て…正直辛かったけど、それでもお前に頼られていると思うのがすごく嬉しくて…中々離れることが出来なかったんだ」
ロランは手を伸ばすと私の頬に触れて、切なそうな表情で話していた。
こんな表情のロランを見るのは初めてな気がして、私は戸惑っていた。
勿論、戸惑っていた理由はこれだけではない。
(ロランが…私の事を好き…?)
私はロランの気持ちには全く気付いていなかった。
だからこんな話を突然されて、かなり動揺していたし、信じられなかった。
「お前と過ごせる時間は残り1年だと分かっていたのに、気持ちだけが膨らんで…このままだとお前にもこの気持ちがバレて、気まずくなるのが怖かったんだ。今の様な良い関係のまま離れたかったからな…。だから…婚約者がいるなんて嘘を付いてシャルから離れようとしたんだよ。離れたらシャルへの気持ちも消えるかと思ったけど、寧ろ逆効果で気になって仕方なかったけどな…」
「……うそ…」
余りに驚きすぎて私の口から出た言葉はその二言だけだった。
「人の告白を嘘とか言うなよ。でも上手くシャルには俺の気持ちは隠せてたってことか…」
「…ごめん…、…っ…!?」
ロランは自嘲する様に小さく笑うと、私の額にそっと口付けた。
突然額にキスされ、私の顔は赤く染まっていく。
「俺…もうお前に遠慮するのは止めてもいいか?」
「…どういう…こと?」
ロランは私の事をじっと見つめると、私の唇にそっと口付けた。
触れるだけのキスだったけど、その感覚はいつまでも残っていて唇に熱が灯った様だった。
「シャル、俺ならシャルの事を不安にさせたりはしない…。だから俺の事を選んでくれないか…?」
そしてあれから毎日の様にロランが私の屋敷へと来てくれる。
ロランとは昔から何でも話せる仲だったので、自分の心の声を包み隠さず伝えることが出来るため、すごく気が楽だった。
私がジェラルドの不満を話しても、いつもの様に面倒くさがりながらも聞いてくれる。
言わば捌け口の様な場所を作ってくれる。
だから私はどん底まで落ち込まずにすんでいるのかもしれない。
そんなロランには本当に感謝している。
だけど、ロランには婚約者がいる。
私がロランとの時間を奪ってしまっていることに、罪悪感を感じていないわけでは無かった。
「ロラン…、毎日来てくれるのは嬉しいけど…無理しなくても大丈夫だよ?」
今日も来てくれたロランに、私は申し訳なさそうな顔でそう伝えた。
私のせいで、ロラン達の仲まで壊したくは無かった。
「別に俺は無理なんてしてないぞ?どうせ帰ってもやる事なんて無いしな…」
「…で、でも…婚約者さんに…悪いし…」
私が困った顔をすると、ロランは「その事なんだけど…」と話し始めた。
「お前は聞いているか分からないけど…、シャルを俺の婚約者にしようと両家が動いているみたいだ」
「……は…?」
思いがけない言葉を聞いて私は自分の耳を疑った。
「俺は…シャルさえ良ければ構わないと思ってる…」
「ロラン…何の話をしてるの…?そんなの…だめだよ…!だめに決まってるよ…!」
私は困った顔で必死に答えた。
(ロランには婚約者がいるのに…今度は私が奪う側になるなんて…そんなの絶対だめよ…!)
「どうしてだめか聞いてもいいか…?」
「どうしてって……、ロランには婚約者さんが既にいるでしょ?私…奪ってまでロランとは婚約なんて出来ないよ…」
私の話を聞いたロランは「ああ…」と呟くと、席を立ち私の方へと近づくと、隣に座り直した。
「それ……嘘なんだ。婚約者のフリをしてもらっていただけで…俺には婚約者なんて最初からいない。全部断っていたからな…」
「は…?そう…なの…?」
ロランの言葉を聞いて私は気が抜けた様な声を漏らした。
「あのさ…、こんな事を今言ったらお前を混乱させる事になるかもしれないけど…、俺…ずっとシャルの事が好きだったんだ…」
「……え?」
ロランは私の瞳を真直ぐに見つめながら答えた。
私は突然の言葉に驚き固まってしまった。
「俺は本気でシャルの事が好きだよ…、今でもその気持ちは変わってない。お前にはジェラルドがいたから…何度も諦めようとしたけど、無理だった。俺の気持ちを何も知らないお前は、いつも俺にジェラルドの相談をして来て…正直辛かったけど、それでもお前に頼られていると思うのがすごく嬉しくて…中々離れることが出来なかったんだ」
ロランは手を伸ばすと私の頬に触れて、切なそうな表情で話していた。
こんな表情のロランを見るのは初めてな気がして、私は戸惑っていた。
勿論、戸惑っていた理由はこれだけではない。
(ロランが…私の事を好き…?)
私はロランの気持ちには全く気付いていなかった。
だからこんな話を突然されて、かなり動揺していたし、信じられなかった。
「お前と過ごせる時間は残り1年だと分かっていたのに、気持ちだけが膨らんで…このままだとお前にもこの気持ちがバレて、気まずくなるのが怖かったんだ。今の様な良い関係のまま離れたかったからな…。だから…婚約者がいるなんて嘘を付いてシャルから離れようとしたんだよ。離れたらシャルへの気持ちも消えるかと思ったけど、寧ろ逆効果で気になって仕方なかったけどな…」
「……うそ…」
余りに驚きすぎて私の口から出た言葉はその二言だけだった。
「人の告白を嘘とか言うなよ。でも上手くシャルには俺の気持ちは隠せてたってことか…」
「…ごめん…、…っ…!?」
ロランは自嘲する様に小さく笑うと、私の額にそっと口付けた。
突然額にキスされ、私の顔は赤く染まっていく。
「俺…もうお前に遠慮するのは止めてもいいか?」
「…どういう…こと?」
ロランは私の事をじっと見つめると、私の唇にそっと口付けた。
触れるだけのキスだったけど、その感覚はいつまでも残っていて唇に熱が灯った様だった。
「シャル、俺ならシャルの事を不安にさせたりはしない…。だから俺の事を選んでくれないか…?」
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