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第一章
25.緊急事態
私達は同時に扉の方へと視線を向けた。
「ロラン…今、ノックの音…した…よね?」
「……そうだな」
私が戸惑った顔でロランに視線を向けると、ロランは私程は驚いた様子を見せていなかった。
たしかにロランは服を着ていて、私は上半身がはだけている状態だ。
だけどこんな状態になったのはロランの所為であり、私は助けを求めるような視線をロランに送り続けていた。
(どうしよう…、こんなところ誰かに見られたら…!)
「シャル…ロラン殿もみえてるとのことなので…少し話をしても構わないか?」
その声は父の声だった。
普段なら使用人に言づけて私を呼ぶはずなのに、今日は何故部屋の前までいるのだろう…。
私がジェラルドの件でショックを受けていると思って気を遣ってくれたのだろうか…。
(まずい…!まずいわっ…!)
「お父様、ごめんなさい。今無理ですっ!取り込み中ですっ…!」
私は扉に向かい声を張り上げて叫んだ。
「シャル…開けるぞ…?」
「だから無理だって……!」
どうやら私の声は廊下までは届いていない様だった。
父の声が響いてから暫くして、ガチャっと扉が開く音が聞こえた。
私が『終わった…』と思った瞬間、ロランは着ていた上着を脱いで私の背中からすっぽりと包む様にかけてくれると、突然抱きしめられた。
(……!?)
「ちょっと…ロランっ…こんな時に何考えてるの…っ…!」
「今の姿を見られたくないのなら…大人しくしてて…」
突然ロランに抱きしめられ私はドキドキしてしまった。
嫌な緊張も重なり、私の心臓は激しくバクバクと鳴り続けていた。
「……っ!」
「……ヴィーツェル公爵…こんな状態で申し訳ありません。シャルが突然泣き出してしまって…、今宥めていたんです…」
ロランは私を抱きしめながら頭を優しく撫で始めた。
私はロランの作戦に気付くとぎゅっと抱き着いた。
恐らく…くっついていれば私の服が乱れていることもばれないだろう。
「そ、そうだったのか…。タイミングが悪くなってしまい申し訳ない…」
「いえ、大丈夫です。シャルが落ち着きましたらそちらに伺いますので…、暫くお待ち頂いても構いませんか?」
私はこの緊張の中、一言も言葉を発する事が出来なかったが、ロランは落ち着いた口調で続けていた。
「ああ、もちろんだ!シャルの事…本当に感謝している…。それでは私はこれで失礼させてもらうよ…、突然入ってすまなかったね…」
「いえ、大丈夫です…」
父はあっさりとその場から出て行った。
それを確認するとロランは「もう大丈夫だぞ…」と呟いたのだが、私は抱き着いたまま離れなかった。
正確には動揺し過ぎて離れることを忘れていたのだと思う。
そんな私をみてロランはそのまま私の事を抱きしめ返してくれた。
「シャル…大丈夫か?まだお前の鼓動早いな…。落ち着くまでこうしているから、安心していい」
「……え…?あ……っ……!!」
私はロランの言葉で漸く我に返ると、恥ずかしくなりロランから勢いよく離れた。
「もう良いのか…?」
「……っ…良くないっ…!こんな事をしているのがバレたら…私恥ずかしくてこの屋敷で暮らせなくなるっ…。ロランの所為だよっ…!」
私はむっとした顔でロランを睨みつけた。
半分涙目になっていたかもしれない。
「そうなったら俺の屋敷に来ればいい。シャルならいつだって歓迎するよ…」
「……そういう…話じゃないっ…」
ロランは優しい顔で小さく笑っていた。
こんな事があったせいか、妙にロランにドキドキしてしまい、私の顔は赤く染まっていく。
「どうした…?今更照れてるのか…?可愛いな。……シャル、どうする?」
「…どうするって…、何が…?……っ!!」
ロランの視線は、私のはだけた服から出ている胸に向けられている事に気付くと、私は慌てて手で胸を隠した。
(お父様の出現で忘れていたけど…私こんな格好にさせられているんだった…!!)
「中途半端で終わったから体…辛くないか?」
「……だ、大丈夫…」
私は顔を真っ赤にしながら答えると、ロランに背を向けて乱れている服を直し始めた。
(なんで私…こんなに動揺しているの…)
「着替え…手伝おうか?」
「大丈……っ…!?」
突然背後が温かくなり、後ろからロランに抱きしめられていることに気付くと再び鼓動が速くなり始める。
「俺のせいでこうなったんだから…着替えくらい手伝わせて…」
「……っ…、耳元で喋らないでっ…」
ロランは絶対にわざとやっているとすぐに分かった。
そんな意地悪なロランが恨めしく思えたが、一々反応してしまう自分が悔しい。
「ロラン…今、ノックの音…した…よね?」
「……そうだな」
私が戸惑った顔でロランに視線を向けると、ロランは私程は驚いた様子を見せていなかった。
たしかにロランは服を着ていて、私は上半身がはだけている状態だ。
だけどこんな状態になったのはロランの所為であり、私は助けを求めるような視線をロランに送り続けていた。
(どうしよう…、こんなところ誰かに見られたら…!)
「シャル…ロラン殿もみえてるとのことなので…少し話をしても構わないか?」
その声は父の声だった。
普段なら使用人に言づけて私を呼ぶはずなのに、今日は何故部屋の前までいるのだろう…。
私がジェラルドの件でショックを受けていると思って気を遣ってくれたのだろうか…。
(まずい…!まずいわっ…!)
「お父様、ごめんなさい。今無理ですっ!取り込み中ですっ…!」
私は扉に向かい声を張り上げて叫んだ。
「シャル…開けるぞ…?」
「だから無理だって……!」
どうやら私の声は廊下までは届いていない様だった。
父の声が響いてから暫くして、ガチャっと扉が開く音が聞こえた。
私が『終わった…』と思った瞬間、ロランは着ていた上着を脱いで私の背中からすっぽりと包む様にかけてくれると、突然抱きしめられた。
(……!?)
「ちょっと…ロランっ…こんな時に何考えてるの…っ…!」
「今の姿を見られたくないのなら…大人しくしてて…」
突然ロランに抱きしめられ私はドキドキしてしまった。
嫌な緊張も重なり、私の心臓は激しくバクバクと鳴り続けていた。
「……っ!」
「……ヴィーツェル公爵…こんな状態で申し訳ありません。シャルが突然泣き出してしまって…、今宥めていたんです…」
ロランは私を抱きしめながら頭を優しく撫で始めた。
私はロランの作戦に気付くとぎゅっと抱き着いた。
恐らく…くっついていれば私の服が乱れていることもばれないだろう。
「そ、そうだったのか…。タイミングが悪くなってしまい申し訳ない…」
「いえ、大丈夫です。シャルが落ち着きましたらそちらに伺いますので…、暫くお待ち頂いても構いませんか?」
私はこの緊張の中、一言も言葉を発する事が出来なかったが、ロランは落ち着いた口調で続けていた。
「ああ、もちろんだ!シャルの事…本当に感謝している…。それでは私はこれで失礼させてもらうよ…、突然入ってすまなかったね…」
「いえ、大丈夫です…」
父はあっさりとその場から出て行った。
それを確認するとロランは「もう大丈夫だぞ…」と呟いたのだが、私は抱き着いたまま離れなかった。
正確には動揺し過ぎて離れることを忘れていたのだと思う。
そんな私をみてロランはそのまま私の事を抱きしめ返してくれた。
「シャル…大丈夫か?まだお前の鼓動早いな…。落ち着くまでこうしているから、安心していい」
「……え…?あ……っ……!!」
私はロランの言葉で漸く我に返ると、恥ずかしくなりロランから勢いよく離れた。
「もう良いのか…?」
「……っ…良くないっ…!こんな事をしているのがバレたら…私恥ずかしくてこの屋敷で暮らせなくなるっ…。ロランの所為だよっ…!」
私はむっとした顔でロランを睨みつけた。
半分涙目になっていたかもしれない。
「そうなったら俺の屋敷に来ればいい。シャルならいつだって歓迎するよ…」
「……そういう…話じゃないっ…」
ロランは優しい顔で小さく笑っていた。
こんな事があったせいか、妙にロランにドキドキしてしまい、私の顔は赤く染まっていく。
「どうした…?今更照れてるのか…?可愛いな。……シャル、どうする?」
「…どうするって…、何が…?……っ!!」
ロランの視線は、私のはだけた服から出ている胸に向けられている事に気付くと、私は慌てて手で胸を隠した。
(お父様の出現で忘れていたけど…私こんな格好にさせられているんだった…!!)
「中途半端で終わったから体…辛くないか?」
「……だ、大丈夫…」
私は顔を真っ赤にしながら答えると、ロランに背を向けて乱れている服を直し始めた。
(なんで私…こんなに動揺しているの…)
「着替え…手伝おうか?」
「大丈……っ…!?」
突然背後が温かくなり、後ろからロランに抱きしめられていることに気付くと再び鼓動が速くなり始める。
「俺のせいでこうなったんだから…着替えくらい手伝わせて…」
「……っ…、耳元で喋らないでっ…」
ロランは絶対にわざとやっているとすぐに分かった。
そんな意地悪なロランが恨めしく思えたが、一々反応してしまう自分が悔しい。
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