素直になれない令嬢は幼馴染の重すぎる愛から逃げられない?【R18】

Rila

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第一章

45.異変

先程のセストの言葉もあり、なんだか胸騒ぎを感じて私はジェラルドの部屋へと急ぐ様に向かった。
ジェラルドの部屋なら何度も来たことがあるので場所は分かっていた。


***


部屋の前に着くと私はトントンと部屋の扉を叩いた。
だけどいつまで経っても返事が戻って来ない。

「ジェラルド…、それにロランも…いるの……?」
私は扉に向かい声を掛けてみるが、やはり返答はない様だ。

(この部屋には居ないのかな…。でも…だったらどこに…?とりあえず入って確認だけはしてみよう…)

私はゆっくりと扉を開き、室内に足を踏み入れる。
室内は静まり返っていたがソファーに座るロランの姿を捉えることが出来て、私は慌ててロランの元へと近づいた。

「ロラン…!いるなら返事してよ……。ロラン…?」
私がロランに声を掛けても一切反応がない。

一瞬ドキッとして慌ててロランの手に触れると温かさを感じてほっとした。
ロランの顔の方に自分の顔を寄せると、口元からスースーと寝息が聞こえて来る。

(寝てる…?)

私の中に『どうして…?』という疑問が生まれたが、奥から荒い息遣いがしている事に気付き、奥にある寝台の方へと視線を向けた。
すると寝台の下に座り込み、苦しそうにしているジェラルドの姿を見つけて私は慌てて駆け寄った。

「ジェラルド…?……どうしたの…?」
「シャル……、来るな…っ…」
私が近づこうとすると、苦しそうな顔をするジェラルドに睨まれた。

「…だ…大丈夫?」
「僕も…ロランも…平気だ…。ロランは睡眠薬で眠っているだけだ…、じきに目覚める…」
ジェラルドは吐く息をはぁはぁ…と粗くさせ、顔色ものぼせた後みたいに赤く染まっている様に見える。
こんな状態を見てしまえば、これが平気とは到底思えない。

(一体…何があったの…?)

「睡眠薬って……あ…もしかしてセストが…?さっき廊下で会った時、変な事言ってたし…」
「……セスト…?ああ…、そう言うことか…」
私がセストと名前を出すと、ジェラルドは何かを察したのか悔しそうに表情を歪めた。

「あいつの罠にまた嵌るなんて…僕もまだまだだな…」
「それより…苦しそうだけど…まさか毒…!?」
私が手を伸ばそうとすると、ジェラルドの瞳は『触るな』と言っている様に思えて私は触れることなく手を戻した。

「毒と言われればそうなのかもしれないが…、生死に影響するものでは無いから……心配いらない…」
「誰か…呼んで来る?」

「いや…、いい。そのうち治まるはずだ…」
「治まるって……だけど苦しそうだよ…」

「恐らく…僕には強い媚薬を飲ませたのだろう…。先程いたメイドの中に、セストに以前仕えていた者の姿見が見えたからな…」
「……媚薬って…」
私が困惑した表情を見せると、ジェラルドは弱弱しく笑って見せた。

「シャルが出来ることは…何もない。だから、落ち着くまで…さっきいた部屋に戻って…。じゃないと…セストの思惑通りになってしまうから……きっと、シャルに酷い事をしてしまう…」
「……っ…」

こんな状態のジェラルドやロランを置いて、私だけ出て行くなんて…そんなこと出来ない!
ジェラルドは違うと言っているけど、もし後から効いて来る毒だったら…と思うと恐怖で震えてしまいそうになる。
誰も呼ばなくて良いというのであれば、落ち着くまでは何て言われようが私はここから動くつもりはなかった。

私はジェラルドの隣に座った。

「シャル…どういうつもりだ…」
「私、二人を見捨てる程…酷い人間じゃないからっ…」

(ジェラルドだって私が強情なことは知ってるはず…)

「……それ、この状態で言われても全然嬉しくない。僕を悪い人間にしたくなければ…今すぐ離れてくれ…。こんな状態でシャルが傍に居たら…理性が保てる気がしない…頼む…、離れて…」
ジェラルドと視線が合うと、欲望に満ち溢れた瞳であることに気付きゾクッと体が震えた。

「……その匂い…、シャルの匂い…堪らない……もう無理だ…」
「……ジェラルド…?……んんっ…!?」
ジェラルドは艶やかな表情を浮かべると強引に私の唇を奪った。
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