45 / 72
第一章
45.異変
先程のセストの言葉もあり、なんだか胸騒ぎを感じて私はジェラルドの部屋へと急ぐ様に向かった。
ジェラルドの部屋なら何度も来たことがあるので場所は分かっていた。
***
部屋の前に着くと私はトントンと部屋の扉を叩いた。
だけどいつまで経っても返事が戻って来ない。
「ジェラルド…、それにロランも…いるの……?」
私は扉に向かい声を掛けてみるが、やはり返答はない様だ。
(この部屋には居ないのかな…。でも…だったらどこに…?とりあえず入って確認だけはしてみよう…)
私はゆっくりと扉を開き、室内に足を踏み入れる。
室内は静まり返っていたがソファーに座るロランの姿を捉えることが出来て、私は慌ててロランの元へと近づいた。
「ロラン…!いるなら返事してよ……。ロラン…?」
私がロランに声を掛けても一切反応がない。
一瞬ドキッとして慌ててロランの手に触れると温かさを感じてほっとした。
ロランの顔の方に自分の顔を寄せると、口元からスースーと寝息が聞こえて来る。
(寝てる…?)
私の中に『どうして…?』という疑問が生まれたが、奥から荒い息遣いがしている事に気付き、奥にある寝台の方へと視線を向けた。
すると寝台の下に座り込み、苦しそうにしているジェラルドの姿を見つけて私は慌てて駆け寄った。
「ジェラルド…?……どうしたの…?」
「シャル……、来るな…っ…」
私が近づこうとすると、苦しそうな顔をするジェラルドに睨まれた。
「…だ…大丈夫?」
「僕も…ロランも…平気だ…。ロランは睡眠薬で眠っているだけだ…、じきに目覚める…」
ジェラルドは吐く息をはぁはぁ…と粗くさせ、顔色ものぼせた後みたいに赤く染まっている様に見える。
こんな状態を見てしまえば、これが平気とは到底思えない。
(一体…何があったの…?)
「睡眠薬って……あ…もしかしてセストが…?さっき廊下で会った時、変な事言ってたし…」
「……セスト…?ああ…、そう言うことか…」
私がセストと名前を出すと、ジェラルドは何かを察したのか悔しそうに表情を歪めた。
「あいつの罠にまた嵌るなんて…僕もまだまだだな…」
「それより…苦しそうだけど…まさか毒…!?」
私が手を伸ばそうとすると、ジェラルドの瞳は『触るな』と言っている様に思えて私は触れることなく手を戻した。
「毒と言われればそうなのかもしれないが…、生死に影響するものでは無いから……心配いらない…」
「誰か…呼んで来る?」
「いや…、いい。そのうち治まるはずだ…」
「治まるって……だけど苦しそうだよ…」
「恐らく…僕には強い媚薬を飲ませたのだろう…。先程いたメイドの中に、セストに以前仕えていた者の姿見が見えたからな…」
「……媚薬って…」
私が困惑した表情を見せると、ジェラルドは弱弱しく笑って見せた。
「シャルが出来ることは…何もない。だから、落ち着くまで…さっきいた部屋に戻って…。じゃないと…セストの思惑通りになってしまうから……きっと、シャルに酷い事をしてしまう…」
「……っ…」
こんな状態のジェラルドやロランを置いて、私だけ出て行くなんて…そんなこと出来ない!
ジェラルドは違うと言っているけど、もし後から効いて来る毒だったら…と思うと恐怖で震えてしまいそうになる。
誰も呼ばなくて良いというのであれば、落ち着くまでは何て言われようが私はここから動くつもりはなかった。
私はジェラルドの隣に座った。
「シャル…どういうつもりだ…」
「私、二人を見捨てる程…酷い人間じゃないからっ…」
(ジェラルドだって私が強情なことは知ってるはず…)
「……それ、この状態で言われても全然嬉しくない。僕を悪い人間にしたくなければ…今すぐ離れてくれ…。こんな状態でシャルが傍に居たら…理性が保てる気がしない…頼む…、離れて…」
ジェラルドと視線が合うと、欲望に満ち溢れた瞳であることに気付きゾクッと体が震えた。
「……その匂い…、シャルの匂い…堪らない……もう無理だ…」
「……ジェラルド…?……んんっ…!?」
ジェラルドは艶やかな表情を浮かべると強引に私の唇を奪った。
ジェラルドの部屋なら何度も来たことがあるので場所は分かっていた。
***
部屋の前に着くと私はトントンと部屋の扉を叩いた。
だけどいつまで経っても返事が戻って来ない。
「ジェラルド…、それにロランも…いるの……?」
私は扉に向かい声を掛けてみるが、やはり返答はない様だ。
(この部屋には居ないのかな…。でも…だったらどこに…?とりあえず入って確認だけはしてみよう…)
私はゆっくりと扉を開き、室内に足を踏み入れる。
室内は静まり返っていたがソファーに座るロランの姿を捉えることが出来て、私は慌ててロランの元へと近づいた。
「ロラン…!いるなら返事してよ……。ロラン…?」
私がロランに声を掛けても一切反応がない。
一瞬ドキッとして慌ててロランの手に触れると温かさを感じてほっとした。
ロランの顔の方に自分の顔を寄せると、口元からスースーと寝息が聞こえて来る。
(寝てる…?)
私の中に『どうして…?』という疑問が生まれたが、奥から荒い息遣いがしている事に気付き、奥にある寝台の方へと視線を向けた。
すると寝台の下に座り込み、苦しそうにしているジェラルドの姿を見つけて私は慌てて駆け寄った。
「ジェラルド…?……どうしたの…?」
「シャル……、来るな…っ…」
私が近づこうとすると、苦しそうな顔をするジェラルドに睨まれた。
「…だ…大丈夫?」
「僕も…ロランも…平気だ…。ロランは睡眠薬で眠っているだけだ…、じきに目覚める…」
ジェラルドは吐く息をはぁはぁ…と粗くさせ、顔色ものぼせた後みたいに赤く染まっている様に見える。
こんな状態を見てしまえば、これが平気とは到底思えない。
(一体…何があったの…?)
「睡眠薬って……あ…もしかしてセストが…?さっき廊下で会った時、変な事言ってたし…」
「……セスト…?ああ…、そう言うことか…」
私がセストと名前を出すと、ジェラルドは何かを察したのか悔しそうに表情を歪めた。
「あいつの罠にまた嵌るなんて…僕もまだまだだな…」
「それより…苦しそうだけど…まさか毒…!?」
私が手を伸ばそうとすると、ジェラルドの瞳は『触るな』と言っている様に思えて私は触れることなく手を戻した。
「毒と言われればそうなのかもしれないが…、生死に影響するものでは無いから……心配いらない…」
「誰か…呼んで来る?」
「いや…、いい。そのうち治まるはずだ…」
「治まるって……だけど苦しそうだよ…」
「恐らく…僕には強い媚薬を飲ませたのだろう…。先程いたメイドの中に、セストに以前仕えていた者の姿見が見えたからな…」
「……媚薬って…」
私が困惑した表情を見せると、ジェラルドは弱弱しく笑って見せた。
「シャルが出来ることは…何もない。だから、落ち着くまで…さっきいた部屋に戻って…。じゃないと…セストの思惑通りになってしまうから……きっと、シャルに酷い事をしてしまう…」
「……っ…」
こんな状態のジェラルドやロランを置いて、私だけ出て行くなんて…そんなこと出来ない!
ジェラルドは違うと言っているけど、もし後から効いて来る毒だったら…と思うと恐怖で震えてしまいそうになる。
誰も呼ばなくて良いというのであれば、落ち着くまでは何て言われようが私はここから動くつもりはなかった。
私はジェラルドの隣に座った。
「シャル…どういうつもりだ…」
「私、二人を見捨てる程…酷い人間じゃないからっ…」
(ジェラルドだって私が強情なことは知ってるはず…)
「……それ、この状態で言われても全然嬉しくない。僕を悪い人間にしたくなければ…今すぐ離れてくれ…。こんな状態でシャルが傍に居たら…理性が保てる気がしない…頼む…、離れて…」
ジェラルドと視線が合うと、欲望に満ち溢れた瞳であることに気付きゾクッと体が震えた。
「……その匂い…、シャルの匂い…堪らない……もう無理だ…」
「……ジェラルド…?……んんっ…!?」
ジェラルドは艶やかな表情を浮かべると強引に私の唇を奪った。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
後宮入りしたら、冷酷な幼なじみ皇太子に囲われて逃げられません
由香
恋愛
幼い頃、ただ一人だけ優しかった少年。
けれど彼は――皇太子になっていた。
家の都合で後宮に入れられた私は、二度と会うはずのなかった幼なじみと再会する。
冷酷無慈悲と噂される彼は、なぜか私にだけ異常に甘くて――
「他の男に触れるな。……昔から、お前は俺のものだろ」
囲われるように守られ、逃げ場を失う距離感。
けれど後宮は甘さだけじゃ生き残れない。
陰謀、嫉妬、命を狙う妃たち――
それでも彼は、私の手を離さない。
これは、後宮で“唯一の執着”に愛された少女の物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041