54 / 72
第一章
54.真相②
私が困惑していると、ジェラルドは自嘲する様に小さく笑った。
「本当は…、揺さぶるだけのつもりだったのにな…。だけど、シャルがロランに抱かれたと知った時、感情が抑えきれなくなった。思っていた以上にシャルが僕の心を占領していると分かったら、絶対に離したく無いと思ってしまったんだ。シャルがあの時…僕から離れようとしていても、多分強引に僕のものにしていたと思うよ…」
「……っ…」
ジェラルドは真直ぐに私の瞳を見つめていたが、その表情はどこか切なげに見えた。
私はその言葉に何も答える事が出来なかった。
「シャルがロランと婚約していても、僕は決してシャルの事は諦めないから……。愛しているよ、シャル。昔も今も…そしてこれからも、僕にはシャルだけだ」
ジェラルドは迷いの無い表情で静かに答えると、私の手を取り指にそっと唇を押し当てた。
私は慌てて手を引っ込めようとするも、ジェラルドの真直ぐな瞳を見てしまうと固まった様に動けなくなってしまう。
胸の奥が激しくドクドクと鳴り始め、泣きそうな顔でジェラルドの事を見つめていた。
「その顔はどういう意味なのかな?同情しているの…?それとも、ロランから奪い返して欲しい?」
「ち、違うっ…。自分でも…良く分からないっ……」
私が慌てて答えると、ジェラルドはふっと小さく笑った。
「少しは迷ってくれているんだね…。嬉しいよ。本当はもっとシャルを独占していたい所だけど、そういうわけにはいかないからね。それに悲しいけど今はロランの婚約者だからな…」
「……っ…!」
ジェラルドの言葉を聞いてハッと我に返り私はロランの方に視線を向けた。
だけどロランは未だにあの状態のまま微動だにしていない。
我に返るまで私はロランの存在を忘れてしまっていた。
そしてジェラルドの言葉を聞いていたら、自分の気持ちが良く分からなくなっていた。
「そんな顔しないで…。今日の事はロランには黙っておく?」
「え?」
「シャルを抱いたこと…。僕は正直に伝えても構わないけど、シャルが隠したいのなら誤魔化すよ」
「そんなっ……!」
隠すと言われて私は罪悪感でいっぱいになり咄嗟に声に出してしまうが、ロランには知られたく無いという思いもあり言葉が止まってしまう。
「でも、隠してもすぐにバレるとは思うけどな。シャルって嘘付くのが本当に下手だからね。それにロランは結構感が良いから…」
ジェラルドの言う通りだった。
きっと嘘を付いても直ぐにバレてしまうのだろう。
だったら素直に言ってしまった方が良いのかもしれない。
だけど素直に伝えればきっとロランを傷付けてしまうし、今までの関係も壊れて行くだろう。
私はぎゅっときつく掌を握りしめた。
これは自分が招いた結果なのだと思い知った。
「ロランにはちゃんと伝える…」
「シャルから言える…?」
「うん、私から言うから大丈夫」
私が弱弱しい声で答えると、暫くジェラルドは心配そうな顔で私の事を眺めていた。
だけどそれから暫くして、納得したのか「わかった」と呟いた。
「私、王宮を出たらちゃんと伝えるから…それまでは黙っていて欲しいの。これから会食もあるし」
「シャルはこんな状況で会食に出れるの?」
「え…?だって、断れないし……」
「体調が悪くなったという理由で帰ってくれても構わないよ。あとは僕がなんとかするから」
ジェラルドは心配そうに言ってくれたが、私は首を横に振った。
王宮に招待されたのに、途中で帰ってしまうのは失礼なことだ。
しかも相手は王族なのだから尚更だろう。
それにこれ以上ロランには迷惑を掛けたく無いとも思っていた。
「大丈夫。気を遣ってくれてありがとう…」
何かと気に掛けてくれるジェラルドに向けて、にこっと小さく笑って答えた。
そんな時だった。
椅子の方からくぐもった声が響いて来たので、不意に視線を向けるとロランが目を覚ました様だった。
私は慌ててジェラルドの掌の中から指を引き抜いた。
そんな私の姿を見ていたジェラルドはどこか不満そうな顔を浮かべていて、離れようとしている私の方に顔を近づけて来た。
「今はまだ、僕達だけの秘密だね」
そう耳元で囁かれ、私はビクッと体を跳ね上げてしまう。
こんな時でさえも意地悪な態度を取るジェラルドにむっとしてしまい、私は軽く睨みつけていた。
「本当は…、揺さぶるだけのつもりだったのにな…。だけど、シャルがロランに抱かれたと知った時、感情が抑えきれなくなった。思っていた以上にシャルが僕の心を占領していると分かったら、絶対に離したく無いと思ってしまったんだ。シャルがあの時…僕から離れようとしていても、多分強引に僕のものにしていたと思うよ…」
「……っ…」
ジェラルドは真直ぐに私の瞳を見つめていたが、その表情はどこか切なげに見えた。
私はその言葉に何も答える事が出来なかった。
「シャルがロランと婚約していても、僕は決してシャルの事は諦めないから……。愛しているよ、シャル。昔も今も…そしてこれからも、僕にはシャルだけだ」
ジェラルドは迷いの無い表情で静かに答えると、私の手を取り指にそっと唇を押し当てた。
私は慌てて手を引っ込めようとするも、ジェラルドの真直ぐな瞳を見てしまうと固まった様に動けなくなってしまう。
胸の奥が激しくドクドクと鳴り始め、泣きそうな顔でジェラルドの事を見つめていた。
「その顔はどういう意味なのかな?同情しているの…?それとも、ロランから奪い返して欲しい?」
「ち、違うっ…。自分でも…良く分からないっ……」
私が慌てて答えると、ジェラルドはふっと小さく笑った。
「少しは迷ってくれているんだね…。嬉しいよ。本当はもっとシャルを独占していたい所だけど、そういうわけにはいかないからね。それに悲しいけど今はロランの婚約者だからな…」
「……っ…!」
ジェラルドの言葉を聞いてハッと我に返り私はロランの方に視線を向けた。
だけどロランは未だにあの状態のまま微動だにしていない。
我に返るまで私はロランの存在を忘れてしまっていた。
そしてジェラルドの言葉を聞いていたら、自分の気持ちが良く分からなくなっていた。
「そんな顔しないで…。今日の事はロランには黙っておく?」
「え?」
「シャルを抱いたこと…。僕は正直に伝えても構わないけど、シャルが隠したいのなら誤魔化すよ」
「そんなっ……!」
隠すと言われて私は罪悪感でいっぱいになり咄嗟に声に出してしまうが、ロランには知られたく無いという思いもあり言葉が止まってしまう。
「でも、隠してもすぐにバレるとは思うけどな。シャルって嘘付くのが本当に下手だからね。それにロランは結構感が良いから…」
ジェラルドの言う通りだった。
きっと嘘を付いても直ぐにバレてしまうのだろう。
だったら素直に言ってしまった方が良いのかもしれない。
だけど素直に伝えればきっとロランを傷付けてしまうし、今までの関係も壊れて行くだろう。
私はぎゅっときつく掌を握りしめた。
これは自分が招いた結果なのだと思い知った。
「ロランにはちゃんと伝える…」
「シャルから言える…?」
「うん、私から言うから大丈夫」
私が弱弱しい声で答えると、暫くジェラルドは心配そうな顔で私の事を眺めていた。
だけどそれから暫くして、納得したのか「わかった」と呟いた。
「私、王宮を出たらちゃんと伝えるから…それまでは黙っていて欲しいの。これから会食もあるし」
「シャルはこんな状況で会食に出れるの?」
「え…?だって、断れないし……」
「体調が悪くなったという理由で帰ってくれても構わないよ。あとは僕がなんとかするから」
ジェラルドは心配そうに言ってくれたが、私は首を横に振った。
王宮に招待されたのに、途中で帰ってしまうのは失礼なことだ。
しかも相手は王族なのだから尚更だろう。
それにこれ以上ロランには迷惑を掛けたく無いとも思っていた。
「大丈夫。気を遣ってくれてありがとう…」
何かと気に掛けてくれるジェラルドに向けて、にこっと小さく笑って答えた。
そんな時だった。
椅子の方からくぐもった声が響いて来たので、不意に視線を向けるとロランが目を覚ました様だった。
私は慌ててジェラルドの掌の中から指を引き抜いた。
そんな私の姿を見ていたジェラルドはどこか不満そうな顔を浮かべていて、離れようとしている私の方に顔を近づけて来た。
「今はまだ、僕達だけの秘密だね」
そう耳元で囁かれ、私はビクッと体を跳ね上げてしまう。
こんな時でさえも意地悪な態度を取るジェラルドにむっとしてしまい、私は軽く睨みつけていた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
後宮入りしたら、冷酷な幼なじみ皇太子に囲われて逃げられません
由香
恋愛
幼い頃、ただ一人だけ優しかった少年。
けれど彼は――皇太子になっていた。
家の都合で後宮に入れられた私は、二度と会うはずのなかった幼なじみと再会する。
冷酷無慈悲と噂される彼は、なぜか私にだけ異常に甘くて――
「他の男に触れるな。……昔から、お前は俺のものだろ」
囲われるように守られ、逃げ場を失う距離感。
けれど後宮は甘さだけじゃ生き残れない。
陰謀、嫉妬、命を狙う妃たち――
それでも彼は、私の手を離さない。
これは、後宮で“唯一の執着”に愛された少女の物語。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041