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第一章
60.一時の安らぎ
ロランに抱かれた後も私はベッドの上にいた。
向かい合うように横になり、ロランの背中に手を回してぎゅっと抱き着いていた。
(ずっとこうしていたいな……)
こうしている間が一番落ち着く様な気がする。
それは久しぶりに訪れた安らぎを感じられる時間だった。
今回の一件で確かに分かった事がある。
それはロランを誰よりも大切にしたいと思う気持ちだ。
私はロランの事が好き。
一番傍にいたいと思う相手はロランだし、これから先の人生を一緒に歩んでいきたいとも思っている。
ジェラルドの事は確かに好きだった。
あんなことが起こらなければ、この気持ちに気付かないまま、私はジェラルドと結ばれていたのかもしれない。
だけど、ロランに婚約者が出来たと聞かされた時から私の中で何かが変わり始めた気がする。
ロランとは幼い頃から一番距離が近くて、傍にいてくれるのが当たり前の様な存在だった。
私が困っている時には必ず手を差し伸べてくれる、そんな頼りになる存在だ。
近すぎた存在だったからこそ、そのありがたみを感じず、当たり前のことだと思い込んでいた。
だから突然ロランが私から離れて行った時は本気で動揺してしまった。
ジェラルドとの婚約がダメになった時にロランから突然告白をされて、最初は驚いて戸惑ってしまったけど、どこかで喜んでいた。
あんなに好きだと思っていたジェラルドの事を意外とあっさり諦めることが出来たのも、本当の私の心はロランに向いていたからなのかもしれない。
今となってはそんな気すらする。
「シャル、何を考えているんだ?」
私が一時の幸せを噛み締めていると、不意に頭上からロランの声が響き視線を向けた。
「いろいろ……」
「いろいろってなんだよ。教えてくれないのか?」
「今度は私がロランの事をいっぱい好きでいるから!私、もう迷ったりはしない。ロランの気持ちにちゃんと向き合う、だからこれからも……私の傍にいてくれたら、う…、嬉しいかも……」
私は恥ずかしそうに、今伝えられる気持ちを素直に言葉にした。
それは『離れないで』というメッセージを込めた言葉だった。
私の話を聞いていたロランは一瞬驚いた顔を見せるも、ふっと柔らかく微笑んだ。
「俺の台詞、とるなよ」
「え?」
「迷わないのは俺も一緒。シャルはもう誰にも渡さない、もちろんジェラルドにもな。だからこれから先もずっと俺の傍にいて。シャルが思う以上に、好きでいるからさ」
「何それ……、なんかずるい……」
ロランの言葉を聞いて、私の頬は更に熱を持ち赤く染まっていく。
ロランが伝えてくれる言葉は私に安心感を与えてくれる。
じわじわと心の中が温かくなってきて、嬉しくて表情が自然に緩んでいってしまいそうだ。
「ずるいってなんだよ。そう言うのなら俺の事が好きだって、毎日アピールでもしてくれるのか?」
「……するわ。ロランが傍にいてくれるなら、私いくらだってするからっ!嫌って言われても止めないから……」
私の心には迷いなんてものは無かった。
少しの恥ずかしさはあったが、ロランに気持ちが伝われば恥ずかしさなんてどうでもないことだ。
「それと、ジェラルドのこともちゃんとしなきゃって思ってるから、近いうちに話を付けて来る」
ロランと生きていく道を選んだ以上、ジェラルドのことはどうにかしなくてはならない。
本当は卒業までは仲良く三人一緒でいたいと思っていたが、こんな事になってしまった以上それは無理な話だろう。
私にとってもジェラルドは大切な幼馴染だから、ちゃんと解決しなければならないと思っている。
例えそれでジェラルドとの縁が切れたとしても。
「シャル、まさか一人で会いに行くなんて考えて無いよな?」
「これ以上、ロランには迷惑かけられないし……。私もうジェラルドとあんなことは絶対にしないから大丈夫」
私が強気に答えるとロランは盛大にため息を漏らした。
「シャルの事を迷惑だなんて思ったことはないし、それよりもシャルは無防備過ぎだ。あんなことがあったんだし、もっと警戒心を持つべきだ。悪いけど、その話は受け入れられないな」
「じゃあ、どうすれば……」
ロランの顔を見ていれば、言い返した所で無意味なことは分かっていた。
「本当なら俺が話を付けて来るって言いたい所だけど、俺もジェラルドの前だと痛い所を突かれて考えてしまうんだよな。だからさ、一緒に行かないか?今までずっと三人一緒だっただろ?シャルにとってもジェラルドは大切な人間ってことは分かってるし、三人で話し合いをした方が良いと思うんだ。もしそれで、俺が判断に迷いそうになったら助けて欲しい。もちろん、俺もシャルが困っていたら助けるからさ」
「たしかにそうね。私も三人で話を付けた方が良いと思う」
ロランの言う通りだった。
今までの事を考えれば個別に会えば恐らく上手く言いくるめられてしまうだろう。
だけどロランと一緒なら上手く行く気がした。
(ロランが傍にいてくれたら、きっと私もちゃんと伝えられる気がする……)
ジェラルドも本気で話せれば分かってくれるかもしれない。
この時は本気でそう思っていた。
向かい合うように横になり、ロランの背中に手を回してぎゅっと抱き着いていた。
(ずっとこうしていたいな……)
こうしている間が一番落ち着く様な気がする。
それは久しぶりに訪れた安らぎを感じられる時間だった。
今回の一件で確かに分かった事がある。
それはロランを誰よりも大切にしたいと思う気持ちだ。
私はロランの事が好き。
一番傍にいたいと思う相手はロランだし、これから先の人生を一緒に歩んでいきたいとも思っている。
ジェラルドの事は確かに好きだった。
あんなことが起こらなければ、この気持ちに気付かないまま、私はジェラルドと結ばれていたのかもしれない。
だけど、ロランに婚約者が出来たと聞かされた時から私の中で何かが変わり始めた気がする。
ロランとは幼い頃から一番距離が近くて、傍にいてくれるのが当たり前の様な存在だった。
私が困っている時には必ず手を差し伸べてくれる、そんな頼りになる存在だ。
近すぎた存在だったからこそ、そのありがたみを感じず、当たり前のことだと思い込んでいた。
だから突然ロランが私から離れて行った時は本気で動揺してしまった。
ジェラルドとの婚約がダメになった時にロランから突然告白をされて、最初は驚いて戸惑ってしまったけど、どこかで喜んでいた。
あんなに好きだと思っていたジェラルドの事を意外とあっさり諦めることが出来たのも、本当の私の心はロランに向いていたからなのかもしれない。
今となってはそんな気すらする。
「シャル、何を考えているんだ?」
私が一時の幸せを噛み締めていると、不意に頭上からロランの声が響き視線を向けた。
「いろいろ……」
「いろいろってなんだよ。教えてくれないのか?」
「今度は私がロランの事をいっぱい好きでいるから!私、もう迷ったりはしない。ロランの気持ちにちゃんと向き合う、だからこれからも……私の傍にいてくれたら、う…、嬉しいかも……」
私は恥ずかしそうに、今伝えられる気持ちを素直に言葉にした。
それは『離れないで』というメッセージを込めた言葉だった。
私の話を聞いていたロランは一瞬驚いた顔を見せるも、ふっと柔らかく微笑んだ。
「俺の台詞、とるなよ」
「え?」
「迷わないのは俺も一緒。シャルはもう誰にも渡さない、もちろんジェラルドにもな。だからこれから先もずっと俺の傍にいて。シャルが思う以上に、好きでいるからさ」
「何それ……、なんかずるい……」
ロランの言葉を聞いて、私の頬は更に熱を持ち赤く染まっていく。
ロランが伝えてくれる言葉は私に安心感を与えてくれる。
じわじわと心の中が温かくなってきて、嬉しくて表情が自然に緩んでいってしまいそうだ。
「ずるいってなんだよ。そう言うのなら俺の事が好きだって、毎日アピールでもしてくれるのか?」
「……するわ。ロランが傍にいてくれるなら、私いくらだってするからっ!嫌って言われても止めないから……」
私の心には迷いなんてものは無かった。
少しの恥ずかしさはあったが、ロランに気持ちが伝われば恥ずかしさなんてどうでもないことだ。
「それと、ジェラルドのこともちゃんとしなきゃって思ってるから、近いうちに話を付けて来る」
ロランと生きていく道を選んだ以上、ジェラルドのことはどうにかしなくてはならない。
本当は卒業までは仲良く三人一緒でいたいと思っていたが、こんな事になってしまった以上それは無理な話だろう。
私にとってもジェラルドは大切な幼馴染だから、ちゃんと解決しなければならないと思っている。
例えそれでジェラルドとの縁が切れたとしても。
「シャル、まさか一人で会いに行くなんて考えて無いよな?」
「これ以上、ロランには迷惑かけられないし……。私もうジェラルドとあんなことは絶対にしないから大丈夫」
私が強気に答えるとロランは盛大にため息を漏らした。
「シャルの事を迷惑だなんて思ったことはないし、それよりもシャルは無防備過ぎだ。あんなことがあったんだし、もっと警戒心を持つべきだ。悪いけど、その話は受け入れられないな」
「じゃあ、どうすれば……」
ロランの顔を見ていれば、言い返した所で無意味なことは分かっていた。
「本当なら俺が話を付けて来るって言いたい所だけど、俺もジェラルドの前だと痛い所を突かれて考えてしまうんだよな。だからさ、一緒に行かないか?今までずっと三人一緒だっただろ?シャルにとってもジェラルドは大切な人間ってことは分かってるし、三人で話し合いをした方が良いと思うんだ。もしそれで、俺が判断に迷いそうになったら助けて欲しい。もちろん、俺もシャルが困っていたら助けるからさ」
「たしかにそうね。私も三人で話を付けた方が良いと思う」
ロランの言う通りだった。
今までの事を考えれば個別に会えば恐らく上手く言いくるめられてしまうだろう。
だけどロランと一緒なら上手く行く気がした。
(ロランが傍にいてくれたら、きっと私もちゃんと伝えられる気がする……)
ジェラルドも本気で話せれば分かってくれるかもしれない。
この時は本気でそう思っていた。
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