71 / 72
第二章
71.心強い友人
午後の授業が終わり、私は帰りの支度をしていた。
今日はこの後、ロランとルチアと共に王都へと行くことになっている。
ルチアとはたまに挨拶を交わす程度の付き合いで、ちゃんと話をしたことはない。
相手がどんな態度を見せるのかも予測出来ない為、不安を感じていた。
私はルチアがどんな人物であるのかを全く知らないのだ。
「シャル、準備は出来たか?」
「うん。大丈夫」
私達がそんな話をしていると、隣からガタッと椅子が動く音がした。
視線を向けるとジェラルドは立ち上がり、こちらを向いていた。
「ロラン、僕も行っても構わないかな?」
「え」
突然のジェラルドの言葉にロランは戸惑っている様子だ。
「今日はシャルと二人でデートってわけではないんだろう?それに危険な相手かもしれない人間に会いに行くんだよね」
「ああ、そうだけど」
「だったら僕はシャルを守るために付いていくよ。ロランには任せておけないからね」
「ジェラルド、そんな言い方酷い!」
ジェラルドの冷たい言葉に、私はむっとした顔で直ぐに言い返した。
「だってそうだろう。今のロランがまともな判断を下せるとは思えない。シャルとの約束を平気で破ろうとしたり、影でこそこそと会ったり。誠実な態度を取っているとは到底思えない」
「…………」
ロランはジェラルドの厳しい言葉に、悔しそうに表情を歪めていた。
そして一言も言い返そうともしない。
「ロラン、こんな酷いことを言われているのになんで黙ったままなの?」
「ジェラルドの言う通りだ。俺はシャルのことを後回しにした」
「もしシャルに危険が及んでも、判断が鈍って直ぐに助けに行けない可能性もあるってことだよ。僕なら絶対にシャルを守る自信はあるけどね」
「俺だってシャルのことは守る」
「本当かな。今までの態度から、その言葉を簡単に鵜呑みにすることは出来ないな」
「そんなこと言って、ジェラルドは自分の立場を分かっているの?危険な場所かもしれないのに、ジェラルドが行くのは良くないと思う」
私は咄嗟に反論した。
相手は王子であり、何かあって大変なのはジェラルドの方だからだ。
しかも私の為に、危険なことに巻き込むなんてことは出来ないと思った。
するとジェラルドは私の方を見て、小さく笑った。
「僕はこれでも護身術を身に付けているからね。安心と言う意味でも、邪魔にはならないと思うよ」
「たしかに」
そういえばジェラルドは子供の頃から剣術を習っていて、かなり強いと騎士団の人が話していたことを思い出した。
王子であるから命を狙われることもあるかもしれない。
普段は護衛を付いているが、もしもの為にと護身術を身につけたのだろう。
本当にジェラルドは何でも出来て尊敬してしまう。
「僕を連れて行く気になった?」
「……分かった」
今の話を聞かされれば、ロランも断れなくなってしまう。
ジェラルドは満足そうに「じゃあ、行こうか」と言った。
私も強引にロランに付いて行こうとしたが、まさかジェラルドまで付いてくることになるなんて思いもしなかった。
だけどジェラルドが傍にいてくれると思うと、少し安心感を覚えていた。
ロランとルチアが仲良く話している場面を見たら、私は耐えられる自信がなかったからだ。
きっと私は自分の知らないロランを見るのが怖いのだと思う。
ルチアの前でしか見せないロランの顔を見てしまったら、間違いなく傷付くと分かっていたから。
私はジェラルドの方に視線を向けて小さく「ありがとう」と呟いた。
するとジェラルドは柔らかく微笑んでいた。
今日はこの後、ロランとルチアと共に王都へと行くことになっている。
ルチアとはたまに挨拶を交わす程度の付き合いで、ちゃんと話をしたことはない。
相手がどんな態度を見せるのかも予測出来ない為、不安を感じていた。
私はルチアがどんな人物であるのかを全く知らないのだ。
「シャル、準備は出来たか?」
「うん。大丈夫」
私達がそんな話をしていると、隣からガタッと椅子が動く音がした。
視線を向けるとジェラルドは立ち上がり、こちらを向いていた。
「ロラン、僕も行っても構わないかな?」
「え」
突然のジェラルドの言葉にロランは戸惑っている様子だ。
「今日はシャルと二人でデートってわけではないんだろう?それに危険な相手かもしれない人間に会いに行くんだよね」
「ああ、そうだけど」
「だったら僕はシャルを守るために付いていくよ。ロランには任せておけないからね」
「ジェラルド、そんな言い方酷い!」
ジェラルドの冷たい言葉に、私はむっとした顔で直ぐに言い返した。
「だってそうだろう。今のロランがまともな判断を下せるとは思えない。シャルとの約束を平気で破ろうとしたり、影でこそこそと会ったり。誠実な態度を取っているとは到底思えない」
「…………」
ロランはジェラルドの厳しい言葉に、悔しそうに表情を歪めていた。
そして一言も言い返そうともしない。
「ロラン、こんな酷いことを言われているのになんで黙ったままなの?」
「ジェラルドの言う通りだ。俺はシャルのことを後回しにした」
「もしシャルに危険が及んでも、判断が鈍って直ぐに助けに行けない可能性もあるってことだよ。僕なら絶対にシャルを守る自信はあるけどね」
「俺だってシャルのことは守る」
「本当かな。今までの態度から、その言葉を簡単に鵜呑みにすることは出来ないな」
「そんなこと言って、ジェラルドは自分の立場を分かっているの?危険な場所かもしれないのに、ジェラルドが行くのは良くないと思う」
私は咄嗟に反論した。
相手は王子であり、何かあって大変なのはジェラルドの方だからだ。
しかも私の為に、危険なことに巻き込むなんてことは出来ないと思った。
するとジェラルドは私の方を見て、小さく笑った。
「僕はこれでも護身術を身に付けているからね。安心と言う意味でも、邪魔にはならないと思うよ」
「たしかに」
そういえばジェラルドは子供の頃から剣術を習っていて、かなり強いと騎士団の人が話していたことを思い出した。
王子であるから命を狙われることもあるかもしれない。
普段は護衛を付いているが、もしもの為にと護身術を身につけたのだろう。
本当にジェラルドは何でも出来て尊敬してしまう。
「僕を連れて行く気になった?」
「……分かった」
今の話を聞かされれば、ロランも断れなくなってしまう。
ジェラルドは満足そうに「じゃあ、行こうか」と言った。
私も強引にロランに付いて行こうとしたが、まさかジェラルドまで付いてくることになるなんて思いもしなかった。
だけどジェラルドが傍にいてくれると思うと、少し安心感を覚えていた。
ロランとルチアが仲良く話している場面を見たら、私は耐えられる自信がなかったからだ。
きっと私は自分の知らないロランを見るのが怖いのだと思う。
ルチアの前でしか見せないロランの顔を見てしまったら、間違いなく傷付くと分かっていたから。
私はジェラルドの方に視線を向けて小さく「ありがとう」と呟いた。
するとジェラルドは柔らかく微笑んでいた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
後宮入りしたら、冷酷な幼なじみ皇太子に囲われて逃げられません
由香
恋愛
幼い頃、ただ一人だけ優しかった少年。
けれど彼は――皇太子になっていた。
家の都合で後宮に入れられた私は、二度と会うはずのなかった幼なじみと再会する。
冷酷無慈悲と噂される彼は、なぜか私にだけ異常に甘くて――
「他の男に触れるな。……昔から、お前は俺のものだろ」
囲われるように守られ、逃げ場を失う距離感。
けれど後宮は甘さだけじゃ生き残れない。
陰謀、嫉妬、命を狙う妃たち――
それでも彼は、私の手を離さない。
これは、後宮で“唯一の執着”に愛された少女の物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041