ずっと好きだった人が親友の婚約者になった。応援したら粘着されたので逃げることにした【R18】

Rila

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第一部

1.ずっと好きだった人と親友が婚約しました。

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私の名前はアリア・ルーシェ
伯爵令嬢であり、帝国学園に通う18歳。

つい先程衝撃的な話を聞いてしまい、頭の中が真っ白になっていた。
ずっと幼い頃から好きだったローレンが親友のシレーネと婚約したらしい。

私はフラフラした足取りで階段に差し掛かると足を踏み外しそのまま転落していった。

「お嬢様っ!!誰かっ!!」
「………」
遠くで慌ただしい声が響いていた。
視界が真っ暗になっていくと共に、私の意識も薄れて行った。



*****


それから3日後、私は目を覚ました。

「ここは…?」
薄っすらと瞼を開くと、大きな天井が広がっていた。
横に視線を向けると高そうなアンティーク調の家具が並んでいる。
大きな窓に、…奥にあるのはドレス?

違和感を感じで一気に目が覚める。


「私は確か…階段から落ちて……それで…」
ゆっくりと記憶を遡って思い出していく。

確か大好きだったローレンが親友のシレーネと婚約したって聞いて私ショックで…
あれ…?
私の名前は…アリア。そう、アリア・ルーシェだ。
まるで小説で読んだ『紅の棘』の登場人物みたいな名前だな。

ストーリーは親友と同じ人を好きになってしまい、親友がどんどん悪女に変わって醜い本性を晒し最後は破滅していく話だったはず。
もちろんヒロインであるシレーネはローレンに守られ最後はハッピーエンド。

え…?
ちょっと…待って!

私は頭の中が真っ白になった。
…………冗談でしょ?

アリア・ルーシェって『紅の棘』に出てくるヒロインの親友だ。
ローレンをシレーネに取られて嫉妬に狂い破滅の運命を辿っていく、醜い悪女。

冗談じゃないっ!!
どうして私が…アリアなの!?
混乱して頭が追い付かない。


そんな時だった。


「アリアっ!!!目覚めたんだね」
扉が勢い良く開くと、見慣れた人物が私の方に走って来てそのまま私を抱きしめた。

「お父様…」
「ああ、良かった…。目を中々覚まさないから心配したんだよ…」
目に涙を薄っすら浮かべて本気で心配している様子だった。
そこに居るのは私の父だった。
この場合と言った方が正しいかもしれない。

「あの…お父様に聞きたい事があるんです…」
「何だい?」

「ローレンと…シレーネは…婚約したんですよね?」
私のその言葉に父は一瞬固まり、複雑な顔を浮かべて何かを考えている様子だった。

「私は大丈夫です。事実だけ教えてください」
「ああ、二人の婚約は決まったよ。アリアとの婚約の話も進めていたんだが、アレクシア公爵はヘンディル伯のシレーネ嬢を選ばれたそうだ」
その話を聞いて、やっぱり間違いないと確信した。

「すまないアリア、私が不甲斐ないばかりに…」
「そんなことは無いですよ、お父様。私は大丈夫なのでそんなに気を落とさないでください」
自分を責める父を私は宥める様に優しい口調で返した。

「アリアは本当に優しい子だな。3日も寝ていたんだ、無理をしないで今日はゆっくり休みなさい」
「はい、ありがとうございます。お父様」
父はそう言うと私の額にそっとキスを落として部屋から出て行った。


1人になり私は深くため息を漏らした。

どうしよう…。
このまま行けば私は確実に破滅の道を進むことになる。
そんなのは絶対嫌だ。

前世の記憶を取り戻すとアリアとしてではなく前世の莉愛の心がすんなり今の自分に重なった。
そのせいかローレンに対して好きと言う感情はそれ程抱いていない様な気がする。

それならばやる事は一つしかない。
ローレンとシレーネが上手くいくように応援しよう。
そして二人には幸せになってもらう。
もちろん私は二人の邪魔は絶対にしない。


破滅を避ける為に。


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