異世界で音ゲー革命! 音楽ゲームが異世界に進出?!

昆布海胆

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第46話 2人の正体

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LUV TO ME(discomix) 通称『広瀬香美』
ビートDJマニア3rdMIXに収録されている同名曲の英語verである。
元の方もユーロビートであるがこちらの方がまさしくユーロビートと呼ぶに相応しい曲となっている。
この曲に限らずなのだが通常のビーマニと弐寺の大きな差が鍵盤の表示方法であろう。
ゲーム画面を見れば分かると思うが通常のビーマニは3ラインで黒鍵は白鍵の間に在るライン上に降りてくるのに対し、弐寺は7ラインに完全に分かれている。
左から1,2,3・・・と鍵盤順に番号を振る表記をして説明すれば分かると思うが通常のビーマニでは123と言った3つ連続した同時押しは現段階では存在しない。
それもその筈で2つの白鍵の間に黒鍵が下りてきても隠れて見えなくなるのである。
そしてこれにより連続して並ぶ階段譜面が非常に激しく動く形が取られる結果となったのがこの曲である。

「な・・・なんじゃこりゃ?!」

複雑な階段に加えスクラッチと鍵盤を同時に処理するテクニック、更には適度に仕込まれた連打。
この曲の様に弾いた鍵盤の音がそのままダイレクトに周囲に聞こえる曲をプレイした時はその人の技量によって腕が丸分かりとなる。
降りてくる鍵盤を固まりで見て両手を使って捌けるGRADIUSIC CYBERと違い基礎が非常に重要となるこの曲の前に男性の演奏する音は非常に耳障りなものと成り果てていた。

「これがさっきのと同じ☆6だと?!嘘だろおい!?」

そもそも簡単な曲を1曲やった後に通常のビーマニを移植しただけの曲をプレイした人間がGRADIUSIC CYBERをクリア出来た事自体が奇跡なのだ。
明らかに方向性の違う☆6だからこそどちらも得手不得手が分かれるのがこの2曲なのだ。
だがそれでも男性はそれなりにビーマニをやりこんでいたプレイヤー。
しかもこの弐寺は通常のビーマニに比べて判定がかなり甘く設定されておりGOODの領域が非常に広いのだ。
それが幸いしていたのだが・・・

「うがぁあああああ!!!」

部分部分で複雑な配置が来れば当然一気にゲージは持っていかれ簡単な部分で少しずつ回復する形を取っていた。
そして、この曲の最大の山場とも言えるのがラストである。

「お、おいおい・・・嘘だろおい?!こんなんできるか?!」

泣き言を良いながら叫ぶ男、だがそれも仕方あるまい・・・
この曲のラストはスクラッチを一定感覚で回しながら鍵盤を処理すると言う複雑な手捌きを必要とする配置なのだ。
ここで男性が一番苦戦をした理由が弐寺のスクラッチにあるだろう、通常のビーマニに比べて非常に軽いのである。
その為、ビーマニであれば軽く押すと言う作業を繰り返す事で一定感覚のスクラッチは処理できるのだが弐寺のスクラッチは非常に軽い。
その結果、押して離してもブレーキが強く掛からずスクラッチが止まらないのだ。
そうなれば続けて押して回したスクラッチは停止せずに加速され続けるので判定が処理されなかったのだ。
結果・・・

「こんなん・・・無理やん・・・」

画面に表示されたゲージ残量の推移がラストで大暴落しているのと共に男性は気持ちを消沈させていた。
だが周囲で見ていた人々は彼の奮闘に拍手を次々と捧げる。
稼動して初めてのプレイでこれほど凄まじいプレイを見せてくれた彼へ送られた拍手はDDRのパフォーマンスに匹敵するほどのものであった。

「えっ・・・ど、どうも」

先程の落ち込みようから急に恥ずかしくなり頭を掻きながら台から降りる男性。
チラリと弐寺の方を見て誰にも聞こえない声で呟いた・・・

「しかし、これは事件だぞ・・・本国に伝えなければ・・・」

そして、男性とは入れ替わりに弐寺をプレイする人々。
その影に隠れ男性は会場をそっと後にしたのであった・・・






「いや~大盛況でしたなロクドー殿」
「コンマイ国王、今日はありがとうございました」
「いやいや、こちらも非常に有意義な時間を過ごせたよなぁナコム国王?」
「えぇ、ロクドー様本当に我が国にもこちらのえっと・・・でら?を置いてくださるのですか?」
「はい、これから一緒に設置に向かわせてもらいますよ」

イベント会場がプログラム終了となりロクドーは重要人入り口の前でコンマイ国王とナコム国王と語り合っていた。
エルフとドワーフを救ったその足で戻ってきていきなりイベントを行なってこれからナコム国へ筐体設置に向かう・・・
ブラック企業も真っ青なスケジュールであるが徹夜で音ゲー三昧な日々を送った事もあるロクドーにとってはたいしたことではなかった。

「それでは私はこれにて、ロクドー殿には我が国の一番の宿を用意させておきますので」
「ありがとうございます。準備が出来次第向かいますので」
「うむ、それではコンマイ国王また」
「あぁ、また」

挨拶を交わしナコム国王は馬車で移動しコンマイ国王も帰っていった。
ロクドーは大きく息を吐いて振り返る。

「それで何の用かな?」

ロクドーの言葉に2つの人影が姿を表した。

「なんで私達が人間じゃないって言わなかったの?」

そこに居たのはDDRのパフォーマンスでセクシーダンスを披露したアイとマインの2人であった。
町娘の様な服装に着替えており一見は何処にでも居そうな少女達である。

「ん?あぁ別に危害を加えるつもりもないみたいだったからね」
「だ、だけど私たちは魅了の魔法で観客を虜に・・・」
「出来て無かっただろ?」
「くっ・・・」

そう、2人はパフォーマンスの最中に魅了の魔法を使って観客を誘惑していた。
だがパフォーマンスが終わると魅了の効果は自然と解けていたのである。
その理由がこの国の人々の基礎魔力にあった。
通常の人間が魔族の魅了魔法を受ければ数時間どころか数日は魔法が解けない、だが音ゲーによって基礎魔力が鍛えられている人々には魅了魔法そのものが殆ど効果を発揮していなかったのだ。
特にロクドーに至っては魅了の効果どころか普通の人間を見ているような感覚でしか見ていなかったのである。

「し、しかし私達は魔族だぞ?!お前達人間の敵・・・」
「ん?二人共音ゲーを楽しそうにプレイしていただろ?」
「そ、それはそうだが・・・」

ロクドーの言葉通りDDRに限らず二人共弐寺を楽しそうにプレイしていた。
特にマインに至っては『Dr.LOVE』の曲が気に入って数回繰り返しプレイしていた。
センタームービーの腰振りダンスも非常に興味深く演奏の手を止めて見詰めたりしている時が在ったほどである。
レベルが低い曲なのでそれでも余裕でクリア出来ていたのもあった。

「一つだけ言っておくよ」
「な・・・なによ」
「音ゲーにはな、人種も年齢も男女も関係ないんだよ」

その言葉は2人の心に突き刺さった。
人間と魔族は争って生き続ける種族だと誰もが考えていた筈である。
それを簡単に音ゲーが取り払ったと言い切ったのだ。

「それにお前達二人共結構友達が出来たみたいじゃないか」
「そ・・・それは私達が魔族だと知らないから・・・」
「でも友達できたんだろ?」

その言葉に嘘はなかった。
パフォーマンスを見ていた女性達が声を掛けてきてまるで同級生の様に楽しく会話をしているのをロクドーは見ていたのだ。

「まっそれに君らのパフォーマンスは俺も嫌いじゃなかったからな」

そう言って少しだけ頬を赤く染めたロクドーに遂にアイは噴出した。

「ぷっあははははは・・・もう本当に私達馬鹿みたいじゃないのよ」
「アイ、そうね・・・それにあんたも言いたいことあるんでしょ?」

マインがそう言って自分の影に向かってそう告げると共にマインの影から1人の少女が飛び出してきた。
その少女は全身フリフリの黒と赤の服を着たまさしくゴスロリという言葉がそのまま当てはまる格好をしていた。

「ロクドーと言ったな!惚れたぜベイベー!!!」
「はっ?」

突然投げキッスをしながら告白をするゴスロリ少女に唖然とするロクドーであった。
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