異世界で音ゲー革命! 音楽ゲームが異世界に進出?!

昆布海胆

文字の大きさ
83 / 86

第83話 DDRパフォーマンス大会 その12

しおりを挟む
静まり返る会場、踏まなければDDRではないと過去に宣言したロクドーに何名かの視線が集まる。
魔法の感覚が無かったので、どう判断するのか気になった者達である。
その視線を受けロクドーは一歩前に出た。

「見事・・・まさに見事と言わざるを得ないパフォーマンスでした!」

一見すると曲が流れている間、マッスルポーズを延々と行っていただけ・・・
だが曲は実際にクリアされた、その謎の正体は驚くべきものであった。

「皆さん、上位ランクの冒険者の話でこんなことを聞いたことがありませんか?」

そう言って続けられた話、それは誰もが一度は耳にしたことがある神業であった。
すなわち、敵の攻撃を素早く避けて直ぐに元の場所に戻り、まるで攻撃が擦り抜けたように錯覚するアレであった。
何処の戦闘民族かと問いたくなるようなこの技、実は御伽噺として語られている伝説の勇者の話にもあった。
それゆえにロクドーが言いたい事を誰もが理解した・・・
つまり!マッスルポーズのまま踏むべきタイミングと同時にパネルに足を動かして反応させ、直ぐに元の場所へ戻っていたのである!
そして、これはザナップに取りついた精霊アメスタシアが行ったと言う事もロクドーは理解していた。
だがしかし、本番で体調が万全ではない状態でパフォーマンスを披露するのは良くあること、大事なのは結果である。
だからこそロクドーはその事に付いて触れなかった。

「えっ・・・あれ?」

それと同時くらいに筐体の上に立つザナップはアメスタシアの支配から逃れ意識を取り戻していた。
そして、自らになにかが憑りついて体を動かしていた事を理解した。
だが悪い気はしなかった。
ザナップ自身が披露しようと考えていたパフォーマンス、それは背面関西ステップだったからである!


関西ステップ:基本的に中央に足を置いて矢印を処理するステップ法。
足の入れ替えが激しい反面、足が縺れる事が少ない踏み方である。
時代と共に消えていった体力を必要以上に消耗する踏み方であるがパフォーマンスには不可欠なステップである!
ちなみに関東ステップと呼ばれる踏んだパネルに足を残していくスタイルが基本となっていったのは必然と言えるであろう。


納得すれば凄いんだけど地味なパフォーマンスである事を理解した観客達。
だがこれはこれで大いに有りだと受け入れられるのに時間は必要なかった。
自由に魅せる!それがDDRのパフォーマンス!
まるで鍛冶師が武器に自らの名前を緻密な作業で彫り込むかの様な極意が受け入れられたのだ!
遅れて徐々に上がり始める拍手!

「す・・・素晴らしいパフォーマンスありがとうございました!」

司会の受付嬢が我に返り、大きく口にした事で一気に観客たちのテンションは再起動した!
それに合わせ受付嬢が審査員達に視線を向け、それを理解した審査員たちが得点を記載した!

「それでは発表です! ただ今の得点は・・・8点、4点、6点、4点、9点! 合計31点!」

独特のパフォーマンスに持ち上がった会場!
その熱が冷めぬまま司会は続けてのエントリーの名前を呼ぶ!

「それでは続いてエミリー選手どうぞ!」

そう呼ばれて出てきたのは・・・ローブを着た少女であった。
釣り目で鋭い目つきで怒りを抑えているかのような表情のまま一定のスピードで出てくるエミリー。
そのまま筐体に上がってゲームをスタートする・・・

「あっ・・・あのエミリー選手、な、何か一言・・・ヒッ?!」

受付嬢のその一言にヤバいくらい殺意が混じった視線が向けられた。
それ以降なにも言わなくなったエミリーは慣れた手つきで曲を選曲する・・・

「そ・・・それではエミリー選手どうぞ!」

半泣きになりながら受付嬢が仕事を全うし曲が始まった・・・
その選ばれた曲は・・・MAKE IT BETTER (So-REAL MIX)であった・・・


MAKE IT BETTER (So-REAL MIX):通称ミツオ様。
1.5から登場した曲のリミックスで夏っぽくアレンジされている。
波の音などが入っており裏打ちや同時踏みコンボ等かなりの高難易度曲となっている。


ザワザワとする会場、曲の難易度はベーシックだがマイナーな曲な為に知らない者も居たのである。
更に、少女が選ぶ曲とは思えないと言うのもあるが、今まで彼女のプレイしている姿を見た者が居なかったのである。
この世界にロクドーが設置した音ゲーは各所にあるが、それでも設置されている場所同士で交流が持たれ大体の有名プレイヤーの情報は共有されているのだ。
だからこそ、パフォーマンスに参加しているエミリーと言う名に聞き覚えが無いのが不思議なのであった。
特徴があり過ぎる鋭く悪い目付きの少女プレイヤーが無名な訳がないのである!
そして、家庭用が出ているとはいえ、選ばれている曲が2ndにしか収録されていない新曲だったからだ!

「ふんっ!」

しかし、会場の困惑を一蹴するかの様な気合の入った声と共に響く足音!
少女が発生させたにしては大きすぎるその音に誰もが驚いた。

ダン!ダン!ダダダン!

響く足音!
家庭用のハンドクラップをイメージさせるかのような響く正確な足音!
この世界のプレイヤーにとって上手い人程足音をあまり立てずに踏むと言うのが常識であった。
だがそれが覆された瞬間でもあったのだ。
無駄に体力を使うこの力のこもった踏み方。
それを目の当たりにした面々の中で数名は気付いたのだ。

(そうか・・・これは足音を奏でるパフォーマンスなんだ)

矢印の来ていない場所で変則的に鳴り響く足音!
ロクドーは驚きが隠せなかった、それはまさにタップダンスの起源そのものであったからである!


タップダンス:モダンダンスの一つで爪先と踵にタップスと呼ばれる金属を装着し足音を奏でながら踊るダンス。
元々は18世紀のアメリカで黒人奴隷が労働後にダンスを踊る際、白人が黒人の集まる場所でのドラム使用を禁止した。
その際に黒人たちはドラムの替わりに足を踏み鳴らしたのが起源とされる。
現代では音を合わせて奏でるリズムタップやダンスの中に足音を自然と鳴らすミュージカルタップなどのスタイルがある。


足音を鳴らすには強く勢いをつけて広い面積を地面に叩きつける必要がある。
その為このパフォーマンスは足首に大きな負担を強いる、それを理解したからこそ見ている者は納得した。
今目の前で踊っているエミリーと言う少女がどれほどの覚悟でパフォーマンスを披露しているのか・・・
あの強張った表情は今彼女の足首に襲い掛かっている痛みと衝撃に気付かせない為の物だったのだと。
彼女の体格から体重を考えれば響く音の大きさを出す為にどれ程の力が込められているのか・・・
そして、その痛みに耐えながら手を抜くことなく踏み続けているのだ!
いくら終われば回復魔法で治療が出来るとはいえ、下手をすれば歩くのも困難になるかもしれない体を張ったパフォーマンス!
最早観客達の視線はエミリーを応援する物となっていた!
筐体に向き合い後ろのバーからは首から上しか出ないような少女が頑張っている!
固唾を飲むとはこういう事かと理解するかのような視線の中、エミリーは最後の3連打を見事に踏み切った!
両手を握り締めて斜め下へ伸ばし最後の一歩を踏んだ姿勢のまま硬直している彼女・・・
少し遅れて拍手が一斉に襲い掛かった!

「うぉおおお!!!!」
「よくやったぞぉおおお!!!」
「おとうさんは感動した!!!!」
「いや誰だよお前?!」
「エミリーちゃーん!!!」

何名か変な事を口走っていたりするが、その歓声にエミリーは後ろのバーに手を置いてそっと振り返った。
そこには最初に見た強張った表情ではなく、あどけないちょっと目付きの悪い少女が微笑んでいた。
そして、その表情が全てを物語っていた。
痛みに耐えて頑張ったと言う予想は合っていますよと・・・

「「「「「うぉおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

会場は更にヒートアップ!
体を張った少女に惜しみない拍手が送られ審査員達は点数を記載していく・・・

そして、審査員が点数を記載し終えて受付嬢に手渡した時であった・・・

「あーもう限界!」

エミリーの口から聞こえたのはガラガラ声であった。
そして、その言葉と共にボフンっとエミリーの体から煙が出てその姿が見えなくなる・・・
そこに居たのは・・・面影を一切残していない丸々太った雌のオークであった・・・
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

処理中です...