異世界で音ゲー革命! 音楽ゲームが異世界に進出?!

昆布海胆

文字の大きさ
14 / 86

第14話 DDR全曲クリアされる!

しおりを挟む
「なぁ・・・あいつ魔道士のナーヤだよな・・・」

早朝、狩りに出てる冒険者が平原で見かけたのはジョギングをしているナーヤの姿であった。
しかし、その足取りは重すぎて走っていると言うよりは50倍重力の所で頑張って歩いている某戦闘民族の息子の様であった。
ナーヤは魔道士である、基本的に戦闘では後方から魔法で支援をするのがメインで動く事は殆ど無い。
なのでそんな魔道士が外を走っていると言う光景は非常に珍しかった。



「ぶふぅ~あ~疲れた~」

帰宅して座って肩で息をしながら出てる汗を拭き取るナーヤ。
魔道士と言うのに薄着で汗だくになっているのでとってもセクシーだ。

「でも頑張らないとね・・・」

そう言って汗が引いてからいつものローブに着替えたナーヤはロクドーの奴隷商の店へ向かう。
先日ロクドーが出現させたDDRは音ゲー発祥の地と呼ばれる酒場に置かれている。
既に酒場なのにエーテルとポーションの売り上げの方が良くて酒場と言うよりもフードコートみたいになっていた。
特に店の中央にDDRが設置されているから余計にそう感じてもおかしくないだろう。
あれから毎日DDRは大盛況で隣のナコム国からもプレイヤーが旅行がてらプレイしに来るくらいである。
ビートDJマニアを通じて同盟国となったコンマイ国とナコム国は国境を通過する審査が非常に簡略化されて楽になっている。
その為、国同士の行き来が非常にしやすかった。

「私この曲好きなんだ~♪」
「レツゲでしょ?私も好き~♪」

HARD限定曲の黄色い円盤曲、「レッツゲットダウト」は女性に大人気であった。
特に曲の中盤とラストに2回来るチャーチャーチャーというリズムに合わせて
↓↑
←→
↓↑
の配置ステップが非常に楽しくプレイヤーの心を掴んでいた!
たった数日しか経過していないのにプレイヤーの半数くらいは既にNOMALレベルを全曲クリアしておりHARDレベルに突入していた。
特にこのゲームが現金ではなくMPを消費すればプレイできるという事から誰でもプレイ可能と言う事実が拍車を掛けていた。
複数回プレイするにはカウンターでエーテルを買って飲めば良いのだがそうでなくても1回プレイしてMPを枯渇させ魔力欠乏症になれば1回のプレイ用のMPまで最大値が上昇するので8時間ほど寝れば全開する。
しかも超回復により200まで増えたMPは起きた時には208まで回復しているので次回プレイしても意識を失う事はないのだ。
ロクドーがこの事実を知った時に「消費税かよ?!」って突っ込みを入れたのは言うまでも無いだろう。
しかし、この数日で数名がボス曲である『パラノイヤ』に挑戦した者は居たのだが未だクリア達成者は居なかった。
その為、挑戦するだけで観客が集まり3曲目にそれを選ぶかどうかでギャラリーの熱気がはっきり別れていた。



「ロクドーさん来たよ!」

ナーヤはロクドーの元奴隷商の店を訪ねた。
そして、驚愕する・・・
そこにはロクドーの奴隷で在るエミがロクドーに直接指導されてパラノイヤに挑戦していたのだ。

「そこでビジステップだ!」
「はいっ!」

横を向いて駆ける様に並んだ←↓→と言う配置を踏み抜けるエミ。
パラノイヤの譜面は全ての曲の総合譜面であり曲毎の踏み方をしっかりマスターする事がクリアへの近道なのだ。
ちなみにエミ、DDRに目茶ハマリしておりこの時既にパラノイヤを残して全曲クリアしていた。
来て早々自分よりも遥か先に居るエミに嫉妬するナーヤ。
だがそのエミのステップは確実にナーヤの実力を伸ばすのにお手本となる動きであった。
嫉妬しながらもそれをしっかり見詰めて吸収しようとするナーヤ。

「最後の連打気を抜くな!」
「はいっ!」

エミの表情はかなり辛そうだ。
それはそうだろう、全部の曲の総合譜面とは言え全ての曲の中でも最速の曲であるパラノイヤ。
同じ動きをすればいいとは言え曲の速度が全曲の中でも最速のBPM180!
これは音楽の中でもかなりの高速に位置する速度だ。
その速度で8分の3連打が流れてくるのをエミは焦りながらも踏む!
このゲームはゲージが残量0になったらその時点でゲームオーバーになる。
その為一瞬たりとも気を抜けない!

「うぁああああ!!!」

エミの口から声が漏れる!
かなりこの3連打が辛いのだろう。
それが2回続けてくる。

ここでBPMに付いて詳しく語ろう。
BPMと言うのは1分間に何回4分の拍が何回訪れるかを数値化したものである。
つまりパラノイヤの連打は1分間に360回のリズムで踏まないと駄目と言う事になる。
それは秒間に直すとと6回!
つまり3連打を0.5秒で踏まないと駄目と言う事になる。

「よし!抜けたぞ頑張れエミ!」
「はいぃいいい!!」

連打さえ抜ければ後は続く4分譜面を踏み切れればクリアだ!
だがこの時点でエミの下半身はガクガクに震えていた。
限界を超えた体を気力だけで動かし最後の最後まで耐えるエミ!
そして・・・遂にクリアした!!!

「やった・・・やったぁあああああ!!!」

周りで見ていた奴隷の少女達が歓声を上げる!
彼女達もDDRにハマリやり込んではいるのだが未だにHARDの曲に梃子摺っていた。
その中でエミ一人だけが飛びぬけて上手く今この時に初めてDDR最強のボス曲パラノイヤをクリアしたのだ!
その場に座り込み喜びの表情を浮かべるエミ。
それを自然にナーヤは拍手していた。
この異世界で初めてパラノイヤをクリアしたエミだったが実はこの時酒場の方でも一人のプレイヤーが自力でこのパラノイヤをクリアしていた。
まるでシンクロニシティー、だがその場は静寂に包まれていた。
エミがギリギリCランクでクリアしていたのに対しこの男はBランクでクリアしていたのだ。

「ぬぅうう・・・」

鋭い目つきにまるで麻薬患者の様な顔色の悪さ。
初めてのクリアにより全ての譜面が確認されて必死にメモを取る人も居たがその場は静寂に包まれる。
この男の異常性に誰もが息を飲んでいたのだ。
それは順番待ちの時からであった。

「食事はこれでいい・・・」

そう言って男の手には食べれない事は無い雑草の束と硬く作られたパン。
そして先程川で酌んできた水の入った入れ物。
まともな食事などここ数日していない。
DDRとの出会いが彼を変えたのだ。

「人付き合い?そんなものはDDRには必要ない」

そう言いきって他人との関わりを完全に断った男はDDRと出会ってから無職となっていた。
先祖代々続けて来た藁を集めて売る仕事を捨ててDDRをプレイするだけの人生にシフトしていたのだ。
MPの事もありDDRをプレイしたら家に帰り仮眠を取る。
そしてMPが回復したらDDRをプレイしに行くだけのこの生活をここ数日続けているこの男の名前は『ズー』

プレイが終わり全曲クリアした事に満足しズーはニヤけた笑みを浮かべながら酒場を出て行く。
帰宅して仮眠を取り再び酒場に8時間後に来るつもりなのだ。
彼が居なくなってから場は沸くのだが誰一人と彼に声を掛ける者は居なかった。




場所は再びロクドーの元へ戻る。

「あっ来たねナーヤ」
「うぅ~ズルイですエミさん」
「まぁまぁ、ナーヤにも直ぐにクリア出来るよ」

ロクドーはナーヤを宥めながら曲の攻略法を別の奴隷がプレイしている間に簡単に説明して予習させる。
この後、ナーヤもパラノイヤをクリアし酒場の方でも次々とクリア達成者が現われる。
その日だけで今までクリアされた事のなかったパラノイヤが多数の人間にクリアされた事実は直ぐに人を介して広まりその数時間後にはロクドーの元へも伝わる。
そこでロクドーは次なる動きを見せるのだった。

「ナーヤおめでとう」
「ま、まぁ私にかかればこれくらい余裕よ」
「そんなナーヤにこれお願いしていいかな?」

そう言ってロクドーが手渡したのは1枚の紙。
帰りにDDRの置かれている酒場に届けるように言われたのだがナーヤを含めそれを見て全員驚愕する。
そこに書かれていたのは隠しコマンドであったからだ。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

難易度選択画面で以下のコマンドを足で入力すると隠しモードに移行します。

・↑↑↓↓↑↑↓↓ 更に上の難易度『ANOTHERモード』
・←→←→←→←→ 譜面が上下左右逆転する『MIRRORモード』
・↑↑↓↓←→←→ 8パネル全てを使う『DOUBLEモード』

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

DDRプレイヤー達の戦いはまだ始まったばかりであった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

処理中です...