異世界で音ゲー革命! 音楽ゲームが異世界に進出?!

昆布海胆

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第17話 コンマイ国に襲い掛かる魔物

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コンマイ国が音ゲーで盛り上がる中、南に在る樹海から1匹のゴブリンがコンマイ国国境へ駆けていた。
この世界でのゴブリンは勿論魔物である。
人を襲い家畜を食料にして田畑を荒らし異種の雌を使って繁殖する。
そんな外敵ともされる人間とは分かち合えない存在である。

「ゲギャ!ゲギャ!ゲギャ!!」

ゴブリンは飢えていた。
そして、コンマイ国国境の見張りの兵士はそのゴブリンに気が付く!

「ん?オイ!ゴブリンが現われたぞ!」
「なにっ?!至急警報を鳴らせ!」
「討伐隊に連絡だ!」

勿論、こうして国境の見張り達は魔物の出現をいち早く察知して連絡を行い報告を上げる。
だが、この世界の人間と魔物の間には大きな力の差が在る。
日本で言うところの野生の獣と考えれば分かるだろう。
人を襲って喰らう人食い熊や肉食獣相手に銃無しで対抗しろと言う感じなのだ。

「門を閉めて食い止めろ!」

慌てて閉められる町門。
勿論出入りの為の入国審査を待つ人間が居る最中にそんな事が行われるので外に居た人間は置き去りである。

「ま、まて!俺を入れてくれ!」
「子供が!私の息子がまだ外に!」
「やめろ!まだ私が外に居るんだぞ!」

魔物を国の中に解き放ってしまったら大変な事になる。
事実、ゴブリンの様な人間相手にその数を増やせる魔物は下手すれば1匹入れたら国が滅びる事も在る。
非情にも門は強制的に閉められ外に居た人間達や中に入れた人間達が各々叫びだす!
相手はたった1匹のゴブリンだがその凶暴さは折り紙つきだ。
無差別殺人鬼が武器を持って襲い掛かってくるのと変わらないからだ。

「き、きたー!?」
「だ、誰か私を助けろ!金なら出すぞ!」
「おかーさーん!」

門の外で聞こえる叫び声。
そして、ゴブリンが人々から数百メートルの所に到達した時に樹海から一斉に魔物がコンマイ国目掛けて突撃してくるのが視界に入った。
国境の見張り達はその光景を見て絶望に打ちひしがれる。
その数50を超えている。
ゴブリン1匹に国はパニックに陥るのに50もの大群である。
それを見た他国からコンマイ国に来ていた人々は絶望した。
中に入った者ですら安心は出来ないので在る。
特に外に居る人々は死を覚悟していた。
だが・・・

「ゲヒャ?!」

直ぐ近くまで来ていた1匹のゴブリンに向かって炎の塊の魔法『ファイアーボール』が着弾した。
勿論、野生のゴブリン相手にファイアーボールの1発がそれ程ダメージを与えられるわけがない。
事実、走っているゴブリンは自身の肩にぶつかった火の塊で少しよろけて驚いた程度であった。
飛んでいる火の塊なのでぶつかった衝撃で炎は散ったのだ。
殆ど足止めにもならなかったのでゴブリンは嬉しそうにニヤリと笑い手にした武器を持ち上げ門の前に居る人々目掛けて再び走り出す。
だがその目に映ったのは絶望であった。

ゴブリン目掛けてコンマイ国から火の魔法『ファイアーボール』氷の魔法『アイスボール』雷の魔法『サンダーボール』風の魔法『ウィンドウボール』が次々に飛び出し空を埋め尽くす。
コンマイ国の門前で立ち尽くした人々はその光景に唖然とした。
そして、爆撃機に空襲をされた様に地上に次々と着弾してボロ雑巾の様に蹂躙されるゴブリン。
その光景を見て樹海から駆けていた魔物達は足を止める。
1発1発は大した事のない属性弱魔法であるがその数が凄まじかったのだ。
他国の人々は口をポカンと開けて固まるしか出来ない。

「ゴブリン1匹沈黙!」

見張り台に居る一人の兵士が大きな声で報告する。
それに一斉に歓声が上がった。
そう、そこに居るのは魔道士ではない。
近くに住む唯の住人なのである。

「よっしゃー!!」
「次まだかー!」
「タァイミングは任せたぜ!」

門の内側に間に合った人々はその光景に固まる。
住人全てが魔道士に見えたのだ。
しかし住人達にとっては待ちに待った魔法が自由に使えるこの時と言った感じである。
事実、彼らの頭の中には音ゲーをプレイしてるのと同じ状況が浮かんでいた。
つまり・・・国の前のラインに魔物が到達した時に魔法を操作するという状況である。

「魔者達が様子見を行ってる模様、ゴブリンは沈黙しました。今の内に待ってる人々を門の中へ!」

見張りの男が叫びそれに従い門番が再び人々の入国審査を再会する。
今さっきまで門を何とかして中に入ろうと躍起になっていた人々も目の前の状況に固まって再会された入国審査にフラフラと夢を見ている様な気分で移った。

遠方では門が再び開いた事で魔物達がそれを見て興奮する。
だが前方には仲間で先発のゴブリンが無残な姿で横たわっているのを見て二の足を踏んでいた。
50匹もの魔物に国が襲撃されたら何百人もの犠牲が出るのが普通である。
だが野生の勘で魔物達は攻め込めば全滅するのを理解していた。
魔物の中に魔力を感知できる者が居たのだ。
その魔物が他の魔物に教える。
見張りに立っている人間の誰もが所有している魔力の量が多すぎると・・・

魔物達はコンマイ国を襲撃するのを諦め樹海の中へ戻っていったのであった。








「国王、魔物の大群が攻めて来たと連絡がありましたが!」

コンマイ国、王城の王の間に騎士団長が駆けつけた。
現在は休暇中であったが魔物の襲撃があったと人伝手に聞いて慌てて駆けつけたのである。

「ん?あぁそれなら既に対処済みだ」
「はっ?」

耳を疑った。
以前なら魔物が5匹現われただけで国が警戒態勢を維持し数百人規模の被害が出ていた筈なのだ。
にも関わらず今回の騒動で被害は皆無。
王の返事に耳を疑う騎士団長。
そして、その話を聞いて渇いた笑いをするのであった。

「じゅ、住人達による魔法の集中攻撃・・・ですか・・・」

そう、今回魔物を退けたのは兵士ではなく住人であった。
この世界では全ての人に魔力が在る。
そして、その魔力を使って魔法を使う事が出来るのだが魔力はMPと通じている。
つまりMPが上がれば魔力も上がるという事なのだがここで浮上するのがこの国の名物であるロクドーが生み出した音ゲーである。
プレイするのに100MP必要、そしてなにより魔力欠乏症によるリバウンドでその人のMP上限がそれに耐えられるまで一気に上昇する。
その後は消費したMPに応じて最大値が増える・・・
ここから導き出される結果は言うまでも無いだろう。

ちなみに一般人のMPは大体3~8である。
一般魔道士と呼ばれる人のMPが30~100なので・・・
この国で音ゲーを1回でもプレイした事の在る人間は全て一般魔道士以上の魔力とMPを所持する事になっていたのだ。

「うん、なんか住人の方で魔力が上昇した事もあって生活必需品だったランプの魔石とかが売れなくてそれが他国へ卸せるから国が潤ってるって話あったじゃろ?」
「は、はい・・・」
「どうにも住人達全員がその異常な状況を普通に捉えているみたいなのじゃ・・・」
「そ・・・それは・・・」

本来なら異常事態ではある。
魔道を学び数年修行して到達出来る領域に音ゲーを1回プレイするだけで到達できるのだから。
騎士団長からすれば自身が鍛えぬいた数年をたった数十分で到達できると言う話をされてるも同意なのだから・・・

「うん、言いたいことは分かるが。とりあえず・・・我が国の住人は強いから安心と言う事じゃ」
「は・・・ははっ」

騎士団長と国王は現実を直視して頭痛がしてきたのであった。








一方エルフの村に来ていてそんな事を知らないロクドーは・・・

「おいおい、マジかよ・・・」

今まで温厚と思われていたエルフ達がロクドーの出したギターマニアで熱狂的に音ゲーにハマッている光景であった。

「いきなりヒプノテカクリアとかどうなってんだ・・・」

ヒプノテカ:ギタマニ初代のボス曲にしてDDRのパラノイヤをイメージして作られたデジロックな曲。
メカニカルなフレーズとブレイクビーツが刻んだ実際にギターでは再現ができない様な特殊な音を使った楽曲でその難易度は初心者向けレベルからイキナリ超難易度。
ギターマニア自体が対応した鍵盤を押しながら弾くと言う特殊な操作が必要な為階段と呼ばれる並んだ配置を他の音ゲーなら押すだけで良い所、押しなおしながら弾かなければ成らないというのが更に難易度を上昇させるのに協力している。

熱狂するエルフを見ながらロクドー、音ゲーがコンマイ国とエルフ村を繋ぐ駆け橋になるのを期待しているのであった。
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