殺されて死んで転生したら俺を殺したやつだった件

昆布海胆

文字の大きさ
12 / 14

第12話 借金の果てに・・・

しおりを挟む
あの日から俺の人生は真っ逆さまに転落していった。
謎の奇病に関する論文を幾ら発表しようと実際に検証した例が存在しない以上卓上理論の域を出ない。
それだけでなく実際に検証されて別の論文として発表されてしまえばそれまでなのだ。

「なんでだ・・・なんでだよ・・・」

路地裏でゴミの横に座り込みながら盗んだ酒を浴びるように喉の奥へと流し込む。
ありとあらゆる所から借金をして返せる充ても無く逃げるしか生き残る術が無いのだ。
こうしている間も常に金利で借金は雪だるま式に増え続ける。
どうしてこうなった・・・

「もうどうにでもなれ!」

酒の勢いもあったのだろう、闇金の一社へ向かって俺は手にした酒とライターを手に駆け出した。





「うぅ・・・くそぅ・・・」

昔見た映画の様に酒を口に含んで吐き出すときにライターの火を使えば口から炎が噴出せる。
そう考えて闇金の人間に向かって行なった結果、口の中の酒に引火して大惨事。
そのまま殴る蹴るの暴行を受け手足を縛られたまま事務所へ連れ込まれたのだ。

「殺すなら殺せ・・・」

もう何も無い・・・
俺には何も無いんだ・・・

「まぁそう言うなよ、実は良い話があるんだが・・・」

親玉と思われる男が嬉しそうに話しかけてきた。
その内容に俺は耳を疑った・・・
借金は連帯保証人となっていた元妻が現在風俗で働きながら返済しており娘も人質に取られている・・・
それを助けたければ生命保険に入ってとある人間と無理心中しろと言われたのだ。
正確には殺して自殺をする、それで2人は解放されると。

よくよく考えればそんな上手い話があるわけ無いのに俺は信じてしまった。
そして、その日の内に生命保険を掛けられ半年の間強制労働をさせられる事となった。




「遂に・・・明日なのか・・・」

顔は痩せこけ全く別人の様な姿となった俺はようやくその日を翌日に迎える事となった。
死ぬ前にもう一度妻と娘に会いたい・・・
だが、その願いは叶う事無く当日を向かえ、俺は車に乗せられシートベルトを着けさせられる。

「それじゃあ予定を話すぞ、2時間後にあそこの交差点に男がやって来る筈だ。そいつを轢き殺せ」

シートベルトは外れないようにされておりドアも開かなくなった車の中で俺はその時を待ち続けた・・・
そして、雨が降り出し雨音だけが車内に響き渡る・・・
雨音と言うのは人の心を落ち着かせる効果があると昔聞いた事がある・・・
数時間後には知らない誰かを殺して自分も死ぬ。
そう考えるととても恐ろしくなるのだがその感情を雨音が沈めてくれる・・・

「死ぬには良い日か・・・」

そう口から発した時にフトルームミラーに映る自分の顔を見て驚いた。
夢で見た自分を轢き殺した男の顔そっくりだったのだ。
だが直ぐにそんなどうでもいい事は頭から忘れて人を見逃さない為に集中する・・・
そして、来た。

俺は慌てず車のエンジンを掛ける。
雨音がエンジン音を掻き消してくれてそのままアクセルを全力で踏みつけて突撃する!
目指すは交差点に1人立つあの男だ!

「お前を殺せば家族が!!!家族が!!!」

窓は開いておらず雨音が響く中で俺の声が相手に届く筈も無く俺の車は男の腹部へと接触し奥の壁へと激突した!
だがそれでも俺はアクセルを一切緩める事無く全力で踏み続ける!
フロントガラスから見える押しつぶされた男が吐血しこちらを見続けていた。
目は反らさない、きっとこいつも俺と同じ様に利用されて消されるんだ。

「はは・・・やった・・・」

先程までこちらを見詰め続けていた男がいつの間にか頭部をボンネットに乗せるように事切れて居た。
全てをやり遂げた満足感のまま俺は渡されていた薬を口に含む。
あぁ・・・もう一度・・・家族に・・・会いた・・・かっ・・・た・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

足手まといだと言われて冒険者パーティから追放されたのに、なぜか元メンバーが追いかけてきました

ちくわ食べます
ファンタジー
「ユウト。正直にいうけど、最近のあなたは足手まといになっている。もう、ここらへんが限界だと思う」 優秀なアタッカー、メイジ、タンクの3人に囲まれていたヒーラーのユウトは、実力不足を理由に冒険者パーティを追放されてしまう。 ――僕には才能がなかった。 打ちひしがれ、故郷の実家へと帰省を決意したユウトを待ち受けていたのは、彼の知らない真実だった。

【完結】俺が信長で、幼馴染が吉乃と濃姫!? ~転生幼馴染トリオ、本能寺フラグ回避して戦国スローライフ目指します

月影 流詩亜
ファンタジー
事故で転生したのは、まさかの織田信長!? しかも、隣にいたはずの可愛い幼馴染(双子)も、なぜか信長の側室「吉乃」と正室「濃姫」に! 史実の本能寺フラグを回避するため、うつけの仮面の下、三人は秘密の同盟を結ぶ。 現代知識と絆を武器に、戦国スローライフを目指すサバイバル開幕!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい

あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。 誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。 それが私の最後の記憶。 ※わかっている、これはご都合主義! ※設定はゆるんゆるん ※実在しない ※全五話

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

処理中です...