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ナーチェ編
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ナーチェがユースティオの事を知らせてからの父の行動は早かった。あっという間にその素性を調べ上げそしてナーチェの友人として少しの難色を示した。
ソルバンジー公爵家に問題が全く無いわけではなかった。だがセルディストの一番の懸念はユースティオの母にあった。
セルディストとユースティオの母のカトリーナには少しばかり因縁があって、その性格には辟易したのをセルディストは昨日の事のように覚えていた。
だがただでさえナーチェの自由を奪っているという自覚のあるセルディストは、ユースティオ本人に問題がないのに反対するのも憚れた。
だから見守る事に決めた。
ナーチェの周りには彼女と歳の近しい者は居なかったから、急遽募集をかけなる丈歳の若い子を付けるようにして、常に離れないようにと言いつけた。
それからのナーチェは富に明るくなった。
湖の散歩を日常的に行くようになり、専属侍女のマジェルノとも姉妹のように過ごしていた。
父が許してくれたユースティオとの交流も会うのは一年に一回だったが、手紙の交換は3ヶ月に一度は許してもらえていた。
幼い社交からは離れていたナーチェだったが、学園に入る事は許されていたし、ユースティオとの婚約も間近に迫っていたある日、あの運命の日が訪れた。
オルト達に隔離された部屋は広さは十分にあったが、ベッドが一つ置いてあるだけでそれは床に固定していた。
ナーチェと父は腕と足に鎖の枷が嵌められていて、不自然に部屋にある柱に繋がれていた。
歩くことは出来るけどベッドに寝転ぶ範囲でしか長さがなく。
明かりも嵌め殺しの窓から照らされる陽の光のみだった。脱出に使えそうな物は一つも置かれず、食事もパンと水のみ、偶に栄養を気遣ったつもりか肉や茹でた野菜などが提供されるが、フォークやスプーンなどは出されなかったから、仕方なく手掴みで食べるしかなかった。
ナーチェは毎日何もすることがなかった。
父は毎日部屋の外に出されるが、それは執事の監視下の元、執務をさせられていた。
始めはユースティオに期待をしていた父娘は一年も過ぎると諦めていた。
誰も助けに来る気配もなく、会話は二人だけでしか出来ない。それでも自ら死を選ぶことはなかった。
どちらも互いを生きる糧にしていたから。
ナーチェは父がいたから生きられた、父はナーチェの為に生きていた。
そんな日がもうすぐ10年になる頃、父娘は突然助け出された。
ナーチェは動くのもままならないほど足が弱っていたため、その頃はベッドから起き上がることが困難になっていた。
そんなナーチェを抱き上げて部屋から連れ出してくれたのは、迎えの遅いヒーローだった。
ソルバンジー公爵家に問題が全く無いわけではなかった。だがセルディストの一番の懸念はユースティオの母にあった。
セルディストとユースティオの母のカトリーナには少しばかり因縁があって、その性格には辟易したのをセルディストは昨日の事のように覚えていた。
だがただでさえナーチェの自由を奪っているという自覚のあるセルディストは、ユースティオ本人に問題がないのに反対するのも憚れた。
だから見守る事に決めた。
ナーチェの周りには彼女と歳の近しい者は居なかったから、急遽募集をかけなる丈歳の若い子を付けるようにして、常に離れないようにと言いつけた。
それからのナーチェは富に明るくなった。
湖の散歩を日常的に行くようになり、専属侍女のマジェルノとも姉妹のように過ごしていた。
父が許してくれたユースティオとの交流も会うのは一年に一回だったが、手紙の交換は3ヶ月に一度は許してもらえていた。
幼い社交からは離れていたナーチェだったが、学園に入る事は許されていたし、ユースティオとの婚約も間近に迫っていたある日、あの運命の日が訪れた。
オルト達に隔離された部屋は広さは十分にあったが、ベッドが一つ置いてあるだけでそれは床に固定していた。
ナーチェと父は腕と足に鎖の枷が嵌められていて、不自然に部屋にある柱に繋がれていた。
歩くことは出来るけどベッドに寝転ぶ範囲でしか長さがなく。
明かりも嵌め殺しの窓から照らされる陽の光のみだった。脱出に使えそうな物は一つも置かれず、食事もパンと水のみ、偶に栄養を気遣ったつもりか肉や茹でた野菜などが提供されるが、フォークやスプーンなどは出されなかったから、仕方なく手掴みで食べるしかなかった。
ナーチェは毎日何もすることがなかった。
父は毎日部屋の外に出されるが、それは執事の監視下の元、執務をさせられていた。
始めはユースティオに期待をしていた父娘は一年も過ぎると諦めていた。
誰も助けに来る気配もなく、会話は二人だけでしか出来ない。それでも自ら死を選ぶことはなかった。
どちらも互いを生きる糧にしていたから。
ナーチェは父がいたから生きられた、父はナーチェの為に生きていた。
そんな日がもうすぐ10年になる頃、父娘は突然助け出された。
ナーチェは動くのもままならないほど足が弱っていたため、その頃はベッドから起き上がることが困難になっていた。
そんなナーチェを抱き上げて部屋から連れ出してくれたのは、迎えの遅いヒーローだった。
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