知らされた真実〜それぞれの選択〜

maruko

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ナーチェ編

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ナーチェとカールトン公爵が救い出されて半年後、滔々オルト等の捕縛が叶った。
その間、ナーチェはそうでもなかったが、公爵の方は何度も騎士団が訪い証言を求められていた。

その頃にはナーチェにもどんな風に自分達は軟禁されていたのかや誰が黒幕でどのようにして、等の詳細は全てではないが教えられてもいた。

騎士団のネックはアンソニーがこの乗っ取りにどこまで関与していたのか、それとも全く知らなかったのか、それが捕縛見極めの焦点であった。

だからアンソニーを釣る目的もあってナーチェから手紙を届けるという協力をお願いされていた。
だが手紙の内容は本来騎士団が用意したものとは違う内容に変わっていた。ナーチェが変えたのだ。

事件の詳細を知るに連れ、ナーチェは嘗て祖父等が起こした行いによって人生が変わってしまった人が多い事に驚愕していたのだ。

主犯のオルト、ナーチェに成りすましたチェルシー、真面目実直だった執事を誘惑して仲間に引き込んだオルトの妻、父親の後を継ぎ真面目だった筈が女に溺れて道を踏み外した執事のトール、この辺は犯罪に手を染めた時点で同情の余地はあまりないが、それでもナーチェの祖父達がオルトを切り捨てなければ起こらなかったはずだった、とナーチェは思いつめていた。

そしてナーチェと父の引き篭もりに付き合ってきた長年公爵家のカントリーハウスで働いていた使用人達、彼等は皆奴隷に落とされたり命を奪われていた。
そして唯一生き残ったマジェルノやドウンも公爵父娘を救う為に自身の人生を捧げてしまっていた。

そしてユースティオにアンソニー。

沢山の人の人生が狂ってしまった事に、遅れて俄に培ったナーチェの感情は追いつかず、全て自分達父娘が悪かったのではないかという自己否定に繋がっていた。

自分達が引き篭もっていなければ事件は起こらなかったのではないかという、思い込みはナーチェの脳内を支配していた。

「私とお父様の安寧の時間があの人達の悪意のある行動に繋がったのかも」

ナーチェの呟く言葉に周りは皆否定してくれるが、否定されればされる程、その頃のナーチェは思い込んでいった。
だからアンソニーに対しても申し訳ないという懺悔の気持ちが先に立ち、あの手紙の内容になったのだった。

そのナーチェの思い込みに終止符を打ったのは、他でもないアンソニーだった。






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