【完結】婚約者が好きなのです

maruko

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嫌われ者の令嬢 〜回想〜

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私は アリーと申します。
メーキリー侯爵家のひとり娘として生を受けました。
私には幼馴染が2人
王都のタウンハウスが近所で同じ侯爵家という家格の釣り合いもとれる私達3人は幼少期よりお互いの家を行き来して楽しく遊んでいました。

私のお母様は、所作がとても美しく完璧な淑女です。
私お母様をとても尊敬していて、いつかお母様の様な淑女になって大好きなオーランと結婚するのが夢でした。
オーラン・ドートル侯爵令息、幼馴染の男の子です

お父様はとても忙しい人でした。
週の3日程しか帰宅はされませんでしたが、お帰りの際には必ず私とお母様にお土産を買ってきて下さり、一緒の時は私を膝に乗せて3人でお茶を楽しんだり。
私はお父様の愛情を疑うことはありませんでした。
私は、とても幸せでした。

その幸せに影が差したのは10歳の時です。
その日はいつものようにお母様に連れられて公爵家のお茶会に参加しました。
同じ頃の子供達だけで集まって一緒にお茶とお菓子を頂きながらお喋りするのもいつもの事。
ただその日初めて会った令息に私が質問されたのがきっかけでした。
彼は私がひとり娘と言うのを聞いて

「アレッ。お兄さんがいるよね?」

「いえ。侯爵家には私しか子供はいないわ」

「そんなはずないよ!僕メーキリー侯爵の顔を存じ上げてるもん。この前、君より少し大きめの男の子と手を繋いで公園を散歩されてたんだ。父とご挨拶したらご一緒の男の子を後継者だと紹介されたよ」

その場の空気が凍りつきました。
私も淑女教育は受けておりましたが、まだまだ未熟な子供でした。つい

「何言ってるの!何かの間違いよ。私知らないもの」

と、他家に弱みを見せるのはいけないのだと教えて頂いてたのに感情をコントロールできませんでした。
すると別のご令息が

「でもさ。君、カイルとオーランの幼馴染だろう?
いつも一緒にいるって聞いてるし、どっちかと婚約するんじゃないの?
カイルなら婿に来てもらえるけど、オーランなら君のとこの後継ぎ居なくなるからその為の処置じゃないの?」

「えっ!そうなの?」

「そんな事も思い至らないなんて、侯爵家の教育少しのんびりしすぎているんじゃないかな?
でも、それにしてもその後継者どこからやって来たのか⋯いや⋯⋯⋯これ以上はメーキリー侯爵家への侮辱だな」

意味深な事を言われたのですが、その時の私は他の事で頭がいっぱいで気になりませんでした。

(カイルならいいけどオーランなら代わりの後継者が必要)

他に後継者を手配してるなら、私オーランと婚約する
の?決まったのかな?それなら嬉しい!
そのテーブルで回りの子がヒソヒソと話してるのに全く思い至らず、少し浮かれ気味でお母様の所に行き、今聞いたことを訊ねました。
(そうよ。オーランと婚約するのよ)
と、お母様に優しく教えてもらえるのを期待して。

「そんな事あるはずないわ、彼の所は侯爵でしょう。貴方はもっと高みを目指さなければ駄目よ」

耳を疑いました。思っていた言葉と違うこともさることながら、もっと高みとは?
そして、それなら何故?

「でもお母様。メーキリーの跡継ぎを紹介されたというご令息がいらっしゃいますが、どういう事ですか?」

「それをあなたに言ったのは誰!」

途端、いつもの淑女のお母様ではなくなってしまいました。
目が釣り上がり私の手を掴み引き摺るように、子供達が集まっているテーブルに連れて行かれました。

「この子に余計な事を教えたのは誰?」

暫くシーンとしていましたが、意を決したように先ほどのご令息が

「僕⋯⋯私です」

「勝手に余計な事を言わないでちょうだい。
あなた伯爵家の令息よね。身の程を知りなさい」

お怒りのまま、お母様は彼に言い放ち、気分が優れないとお茶会は早々に帰ることになりました。

家に帰ってからもお母様のご機嫌は直らずお部屋に篭ってしまわれました。
次の日のお昼近くにお母様に呼ばれて何事もなかったようにご一緒にお茶をと誘われたので、ホッとしながらお菓子とお茶を堪能してると

「どうやらあの人は貴方を後継者にするのは諦めたみたいね。調べたら別宅に貴方の従兄弟が住んでたわ。教育を始めてるみたい。彼の言うことは真実だったのね。帰宅してない日は仕事だと思ってたけど、そちらに行ってたみたい。よほど可愛いのね」

私はお父様に嫌われてるのでしょうか?
私は可愛くなかったのでしょうか?
どうして?私がいるのに⋯⋯
私を諦めたってどういうことでしょうか?
哀しくて、とても哀しくて、部屋に帰り沢山泣きました。
どうやらその日は泣きながら寝てしまってたようです。
起きたら窓の外には月が出ていて私は昼のままの姿でした。
誰も声をかけてくれなかったのかしら?
お腹が空いてるのに気づきました。
哀しくてもお腹は空くのね。
クスッと笑いが零れました。
あのお父様が私を嫌いなはずないわ。
落ち着いて考えるとわかります。何か理由があるのよ!
でもどんな理由でもオーランと婚約できるチャンスではないかしら?
お母様は無いとおっしゃったけどお父様に頼んでみよう。
次にお父様が帰る日を楽しみにしてベッドサイドのベルを鳴らし侍女に夜食を申し付けました。
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