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6 夫の恋人?
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マーシェはあの日夫ともに居た女性を見た事があった。それは王家主催の夜会で、マーシェがアルマンに会える日でもあった。
確か一番最初に一緒に参加した夜会だったはずだ。アルマンと形式的に一曲だけダンスを踊ったあと彼は姿を消したから、マーシェは壁の花になっていた。
その時に男性に囲まれて楽しそうに笑う女性を見かけた。マーシェの近くでその女性の事を見ながら嫌悪して悪口を言うご令嬢達の声が聞こえたので彼女の素性がわかったのだ。
その時はただ聞こえた名を覚えていただけだったのだが、まさかそれが役に立つ日が来るなどと思っても見なかった。
夫とすれ違った次の日、マーシェは思い切って彼の執務室を訪ねたが、その扉は開かなかった。何度もノックをしたのだが返事もなく、そのノックの音を聞きつけた公爵家の執事のハーセムに止められた。
「旦那様は執務にお疲れで寝ているのでしょう。眠りが深い方ですから」
彼はそう言ってマーシェを執務室から遠ざけた。
アルマンの眠りが深いなんてマーシェは知りもしない、何故なら彼はマーシェとは一緒に寝た事がないのだ。だからハーセムの言葉はマーシェへの宛付けに聞こえたが、彼は普段優秀な執事だ。マーシェへの気配りも欠かさない。そんな彼が失言とも取れる言葉を発したのは、慌てていたのではないかとマーシェは思った。
それで確信した。
マーシェは入ったこともない部屋の作りを知らないけれど、今夫はこの部屋には居ない、部屋のどこからか外に出て何かをしているのだと。
そこでマーシェは夫からは手繰れないなら女性の方だと、彼女の邸へと行くことにした。
あの日夫の側にいた女性の名は
マリエル・コート伯爵代理。
夜会の時聞こえたご令嬢方の話しによれば、彼女はコート伯爵の未亡人。元は貧乏男爵家のご令嬢。コート伯爵とは年の差婚で、彼は2年前に病で亡くなっている。
二人の間には3歳になる息子がいて、亡き伯爵の遺言で息子が成人するまでの伯爵代理を彼女が担っている。
そして彼女は喪が明け切らないうちに社交界に復帰して男性達を侍らせているらしい。
次の日マーシェはコート伯爵家のタウンハウスへと向かった。
マーロウ公爵家は以前は領地を持たない宮廷貴族だったのだが、2年前マーシェとの再婚で国王から王都に近い王領を賜った。
まるで執務室に篭もる理由を作るためだったのではないかと、結婚当初も思ったが今はその思いが強くなっていた。
コート伯爵家はその領地にほど近い場所に建てられていた。
マーシェはモリアとカリスは自分の監視役もひょっとしたら兼ねているかもしれないと分かっていたけれど、それでも構わないと思いタウンハウスへと来たのだが、丁度良いことにタウンハウスの近くに教会があり、そこに寄進する為と口実で馬車を近くに止めた。
呆気に取られたのは粘らずとも変装した夫はコート伯爵代理と揃って直ぐに姿を現した。
マーシェが口実にした教会へ二人が訪ったのだ。顔見知りではない為マーシェは挨拶はしなかったが匂いを確認できるほど再びすれ違うことはできた。やはり彼は夫に間違いなかった。
あとで司祭に聞くとよく二人は来るそうで、男はコート伯爵代理の執事だと言う。
どうしてマーロウ公爵が他家で執事をしているのか分からないが、マーシェがそれ以上は踏み込む必要がなかった。
そこにもお喋り令嬢がいたからだった。
彼女達の話が真実かどうかは分からない、だがそれを掘り下げるつもりもなく離婚をしたいと思うには充分な話だった。
「あの二人って恋人同士でしょう?」
「あの方学園でも節操なかったけれど、堂々と恋人と連れ立ってあちこち出掛けているらしいわよ」
「ふうん」
「あら興味ないの?」
「別に⋯でもあまり冴えない男性よね」
「平民なんじゃない?見かけない顔だもの」
「でも⋯あの所作⋯優雅ね」
彼女達のお喋りは尽きない。真後ろにマーシェが座っているのもお構いなしだ。
そこまで聞いてマーシェは教会を後にした。
確か一番最初に一緒に参加した夜会だったはずだ。アルマンと形式的に一曲だけダンスを踊ったあと彼は姿を消したから、マーシェは壁の花になっていた。
その時に男性に囲まれて楽しそうに笑う女性を見かけた。マーシェの近くでその女性の事を見ながら嫌悪して悪口を言うご令嬢達の声が聞こえたので彼女の素性がわかったのだ。
その時はただ聞こえた名を覚えていただけだったのだが、まさかそれが役に立つ日が来るなどと思っても見なかった。
夫とすれ違った次の日、マーシェは思い切って彼の執務室を訪ねたが、その扉は開かなかった。何度もノックをしたのだが返事もなく、そのノックの音を聞きつけた公爵家の執事のハーセムに止められた。
「旦那様は執務にお疲れで寝ているのでしょう。眠りが深い方ですから」
彼はそう言ってマーシェを執務室から遠ざけた。
アルマンの眠りが深いなんてマーシェは知りもしない、何故なら彼はマーシェとは一緒に寝た事がないのだ。だからハーセムの言葉はマーシェへの宛付けに聞こえたが、彼は普段優秀な執事だ。マーシェへの気配りも欠かさない。そんな彼が失言とも取れる言葉を発したのは、慌てていたのではないかとマーシェは思った。
それで確信した。
マーシェは入ったこともない部屋の作りを知らないけれど、今夫はこの部屋には居ない、部屋のどこからか外に出て何かをしているのだと。
そこでマーシェは夫からは手繰れないなら女性の方だと、彼女の邸へと行くことにした。
あの日夫の側にいた女性の名は
マリエル・コート伯爵代理。
夜会の時聞こえたご令嬢方の話しによれば、彼女はコート伯爵の未亡人。元は貧乏男爵家のご令嬢。コート伯爵とは年の差婚で、彼は2年前に病で亡くなっている。
二人の間には3歳になる息子がいて、亡き伯爵の遺言で息子が成人するまでの伯爵代理を彼女が担っている。
そして彼女は喪が明け切らないうちに社交界に復帰して男性達を侍らせているらしい。
次の日マーシェはコート伯爵家のタウンハウスへと向かった。
マーロウ公爵家は以前は領地を持たない宮廷貴族だったのだが、2年前マーシェとの再婚で国王から王都に近い王領を賜った。
まるで執務室に篭もる理由を作るためだったのではないかと、結婚当初も思ったが今はその思いが強くなっていた。
コート伯爵家はその領地にほど近い場所に建てられていた。
マーシェはモリアとカリスは自分の監視役もひょっとしたら兼ねているかもしれないと分かっていたけれど、それでも構わないと思いタウンハウスへと来たのだが、丁度良いことにタウンハウスの近くに教会があり、そこに寄進する為と口実で馬車を近くに止めた。
呆気に取られたのは粘らずとも変装した夫はコート伯爵代理と揃って直ぐに姿を現した。
マーシェが口実にした教会へ二人が訪ったのだ。顔見知りではない為マーシェは挨拶はしなかったが匂いを確認できるほど再びすれ違うことはできた。やはり彼は夫に間違いなかった。
あとで司祭に聞くとよく二人は来るそうで、男はコート伯爵代理の執事だと言う。
どうしてマーロウ公爵が他家で執事をしているのか分からないが、マーシェがそれ以上は踏み込む必要がなかった。
そこにもお喋り令嬢がいたからだった。
彼女達の話が真実かどうかは分からない、だがそれを掘り下げるつもりもなく離婚をしたいと思うには充分な話だった。
「あの二人って恋人同士でしょう?」
「あの方学園でも節操なかったけれど、堂々と恋人と連れ立ってあちこち出掛けているらしいわよ」
「ふうん」
「あら興味ないの?」
「別に⋯でもあまり冴えない男性よね」
「平民なんじゃない?見かけない顔だもの」
「でも⋯あの所作⋯優雅ね」
彼女達のお喋りは尽きない。真後ろにマーシェが座っているのもお構いなしだ。
そこまで聞いてマーシェは教会を後にした。
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