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12 法律違反
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「ぷっ!ふふふふっ」
アルマンはマーシェの笑い声が自分を馬鹿にしているのだと分かってギリッと睨みつけた。だが睨まれてもマーシェは少しも怖くなかった。それほどに姉の力は心強い。
「そんなに睨んでも何も響きませんわ、それとこの手を離してください。無礼だとわかりませんか?」
マーシェのきつい言い方にそれまで睨んでいたアルマンだったが、傷付いたような表情に変わった。そっと掴んでいた手を放して項垂れている。
それを見てマーシェは何なの?と思ったが弱っている今がチャンスなのでは?と思い、いつもリリアンと話していた事を彼にぶつけようと思った。
「貴方のしている事にとやかく言うつもりはありませんでしたが、ポリント辺境伯家を軽んじているのでしたら言わせて頂きます」
「軽んじてるなどと⋯」
「は?」
この2年が無自覚でした事ならば彼の鈍感さは国宝級だ、この人とよくも子を儲けようと思ったなとマーシェはリリアンを思い出し尊敬の念をブッセ伯爵家の方に飛ばした。
「先ず、王命にも関わらずその妻を放置。それをしても構わないと思っていらっしゃったのですよね」
「それは⋯そんな風に思ってなかった」
「これはマッケンロウ王国、婚約結婚に於いて相手への侮辱行為をしてはならないと云う項目の法律違反に当たります。王命ですから冒涜に繋がる行為とも取れますね」
「なっ!」
マーシェは頭の中でリリアンとの会話を必死に思い出しながらアルマンに告げた。彼女の頭の中は今フル回転に作動している。
(何か他にもなかったかしら?)
マーシェが離婚に於いての本を読み漁っていた時、アルマンの前妻に声をかけられた。
その時にもアルマンの行動は法律違反に“なりそうでならない”とマーシェは感じていた。
決め手がなく、裁判にしたら簡単に言い訳が成立しそうでは、財力と労力の無駄遣いになってしまう。
今アルマンに告げた事もマーシェにはそんな類のものだった。
それを変えてくれたのはリリアンだ。
リリアンは言った。
一度行った行動はアルマンができる範囲の行動。
夜眠るのは夫婦の寝室と云う事をアルマンは当たり前のように知っている。
その当たり前を2年間も出来ないと言い訳するなら、婚姻などするべきではなかったはずで、立派な法律違反になるとリリアンは助言してくれた。
それからはリリアンとアルマンの夫婦生活とマーシェとアルマンの夫婦生活?を比較しながら精査したのだ。
そして今マーシェはここぞとばかりに話そうとしているのだが、有り過ぎて頭の中が整理できていなかった。
前以てこんな機会が訪れると知っていたならメモにでも書き出していたのに⋯。
そう思ってマーシェは臍を噛んだ。
一方アルマンはというと大人しいと思っていた妻のマーシェから“法律違反”と云う言葉が飛び出し焦っていた。
実はこの件は裁判沙汰にはならないようにと結構気を使ったのだ。だからこそ家の中にあった法律書の類はアルマンの執務室に隠していた。そして王太子と過去の離婚裁判の案件を色々と精査した。
それが裏目に出てしまっている事に焦っていた。
法律書には『夫は妻の妻は夫の日常を殊更不快にしてはならない』というのがあった。
コート伯爵家に潜り込むには執事の職しかなかったのだ、それ以外はあまりマリエルに近づけない。侍従だと今以上に彼女とべったりになってマーロウ公爵家にも帰れなくなる。
だから通いの執事見習いという職で潜伏することにした。だが思った以上に忙しくて夜中に帰宅する事が多かった。
夜中の帰宅で夫婦の寝室に入ればマーシェの安眠を妨害してしまう。それが日常を不快にする行為として数年前に離婚事由として認められたことがあったのだ。
だからこそ衣食住を執務室で行うということにして、こっそり執務室の隠し通路から外に出て伯爵家に通っていたというのに、もし裁判にでもなってマーシェの言葉が認められるなら、考えていた全てが法律違反と取られてしまう。
アルマンは頭を抱えた。
アルマンはマーシェの笑い声が自分を馬鹿にしているのだと分かってギリッと睨みつけた。だが睨まれてもマーシェは少しも怖くなかった。それほどに姉の力は心強い。
「そんなに睨んでも何も響きませんわ、それとこの手を離してください。無礼だとわかりませんか?」
マーシェのきつい言い方にそれまで睨んでいたアルマンだったが、傷付いたような表情に変わった。そっと掴んでいた手を放して項垂れている。
それを見てマーシェは何なの?と思ったが弱っている今がチャンスなのでは?と思い、いつもリリアンと話していた事を彼にぶつけようと思った。
「貴方のしている事にとやかく言うつもりはありませんでしたが、ポリント辺境伯家を軽んじているのでしたら言わせて頂きます」
「軽んじてるなどと⋯」
「は?」
この2年が無自覚でした事ならば彼の鈍感さは国宝級だ、この人とよくも子を儲けようと思ったなとマーシェはリリアンを思い出し尊敬の念をブッセ伯爵家の方に飛ばした。
「先ず、王命にも関わらずその妻を放置。それをしても構わないと思っていらっしゃったのですよね」
「それは⋯そんな風に思ってなかった」
「これはマッケンロウ王国、婚約結婚に於いて相手への侮辱行為をしてはならないと云う項目の法律違反に当たります。王命ですから冒涜に繋がる行為とも取れますね」
「なっ!」
マーシェは頭の中でリリアンとの会話を必死に思い出しながらアルマンに告げた。彼女の頭の中は今フル回転に作動している。
(何か他にもなかったかしら?)
マーシェが離婚に於いての本を読み漁っていた時、アルマンの前妻に声をかけられた。
その時にもアルマンの行動は法律違反に“なりそうでならない”とマーシェは感じていた。
決め手がなく、裁判にしたら簡単に言い訳が成立しそうでは、財力と労力の無駄遣いになってしまう。
今アルマンに告げた事もマーシェにはそんな類のものだった。
それを変えてくれたのはリリアンだ。
リリアンは言った。
一度行った行動はアルマンができる範囲の行動。
夜眠るのは夫婦の寝室と云う事をアルマンは当たり前のように知っている。
その当たり前を2年間も出来ないと言い訳するなら、婚姻などするべきではなかったはずで、立派な法律違反になるとリリアンは助言してくれた。
それからはリリアンとアルマンの夫婦生活とマーシェとアルマンの夫婦生活?を比較しながら精査したのだ。
そして今マーシェはここぞとばかりに話そうとしているのだが、有り過ぎて頭の中が整理できていなかった。
前以てこんな機会が訪れると知っていたならメモにでも書き出していたのに⋯。
そう思ってマーシェは臍を噛んだ。
一方アルマンはというと大人しいと思っていた妻のマーシェから“法律違反”と云う言葉が飛び出し焦っていた。
実はこの件は裁判沙汰にはならないようにと結構気を使ったのだ。だからこそ家の中にあった法律書の類はアルマンの執務室に隠していた。そして王太子と過去の離婚裁判の案件を色々と精査した。
それが裏目に出てしまっている事に焦っていた。
法律書には『夫は妻の妻は夫の日常を殊更不快にしてはならない』というのがあった。
コート伯爵家に潜り込むには執事の職しかなかったのだ、それ以外はあまりマリエルに近づけない。侍従だと今以上に彼女とべったりになってマーロウ公爵家にも帰れなくなる。
だから通いの執事見習いという職で潜伏することにした。だが思った以上に忙しくて夜中に帰宅する事が多かった。
夜中の帰宅で夫婦の寝室に入ればマーシェの安眠を妨害してしまう。それが日常を不快にする行為として数年前に離婚事由として認められたことがあったのだ。
だからこそ衣食住を執務室で行うということにして、こっそり執務室の隠し通路から外に出て伯爵家に通っていたというのに、もし裁判にでもなってマーシェの言葉が認められるなら、考えていた全てが法律違反と取られてしまう。
アルマンは頭を抱えた。
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