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13 マーシェの本心
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お互いに話さなければと思っていても、どちらも話す事を頭で整理できずに言い兼ねていた。
マーシェは結婚以来、夫とこんなにも会話が続いた事があっただろうかと内心で苦笑していた。
やはり彼は王命でなければ話そうと思わないほど、マーシェに興味はなかったのかと自嘲する。
その時になってマーシェの中でリリアンが羨ましいと思う感情が初めて芽生えてしまった。図書館で話すリリアンは一つ上でも出産を経験しているからだろうか、マーシェから見るとかなり落ち着いて気持ち的にどっしりしていると思えた。
それが姉のように感じて、マーシェの中で彼女は“王都の姉”そう思って慕っていた。
リリアンはマーシェの事を同じ被害者だと言ってくれたけれど、被害者はリリアンの方が相応しく感じた。
だが、それもマーシェの中では羨ましいと思える要素だった。
それが愛された者と愛されない者の違いなんだとマーシェは感じていたが、リリアンにしてみれば愛があって子を設けたとは思っていないから、マーシェの思い込みが過ぎると言うものだ。
悶々と自分の立場がかなり惨めなものだと感じてきたマーシェは、唐突に胸の内から言い知れない痛みが襲ってきた。
苦しい⋯胸が痛い。
それはマーシェがマーロウ公爵家に来て初めて感じる痛みだった。いや生まれてこの方こんな痛みには身に覚えがない。
思わず胸を押さえてうつむいていたマーシェにアルマンが気付いた。
「胸が苦しいのか?」
「⋯⋯⋯少し」
「水が飲めるか?」
そう言ってアルマンが水差しからコップに移しマーシェの手にそっと握らせる。
受け取ったマーシェはその時に初めて夫の手が大きいと感じた。
この2年で数えるほどではあるが、夜会でのエスコートやそういえば初夜の時など、手の大きさを感じる事はあったのに、今日ほど実感として感じたことはなかった。
マーシェは不思議な感覚にとらわれながらも渡された水を飲んだ。
痛みは変わらなかったが少し落ち着いた。
眉間にしわを寄せたまま心配そうにしているアルマンの顔を見る。
相変わらず精悍な顔立ちをしている。
そのままアルマンの澄み渡った晴れの日の空のような青い瞳を見つめた時、今までマーシェの中になかった感情が不意に胸の内からあふれて呟いてしまった。
言ってすぐに自分が何を言ったか気付いて口を慌てて右手で塞いだ。
自分の口から出た言葉が自分で信じられなかった。
そして途端に惨めな気持ちになり、昨夜籠った部屋へと走って逃げた。
アルマンはマーシェのその行動に目を見開く。
そして自分達の、否自分のした事に初めてちゃんと罪悪感を覚えた。
「⋯⋯マーシェ」
取り残されたアルマンは自分の耳に聞こえたマーシェの本心からの呟きが脳内で繰り返されていた。
『愛されたい』
アルマンはマーシェを自分の都合に巻き込んだのだと強く反省するのだが、立ち上がって追いかける事は出来なかった。
マーシェは結婚以来、夫とこんなにも会話が続いた事があっただろうかと内心で苦笑していた。
やはり彼は王命でなければ話そうと思わないほど、マーシェに興味はなかったのかと自嘲する。
その時になってマーシェの中でリリアンが羨ましいと思う感情が初めて芽生えてしまった。図書館で話すリリアンは一つ上でも出産を経験しているからだろうか、マーシェから見るとかなり落ち着いて気持ち的にどっしりしていると思えた。
それが姉のように感じて、マーシェの中で彼女は“王都の姉”そう思って慕っていた。
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だが、それもマーシェの中では羨ましいと思える要素だった。
それが愛された者と愛されない者の違いなんだとマーシェは感じていたが、リリアンにしてみれば愛があって子を設けたとは思っていないから、マーシェの思い込みが過ぎると言うものだ。
悶々と自分の立場がかなり惨めなものだと感じてきたマーシェは、唐突に胸の内から言い知れない痛みが襲ってきた。
苦しい⋯胸が痛い。
それはマーシェがマーロウ公爵家に来て初めて感じる痛みだった。いや生まれてこの方こんな痛みには身に覚えがない。
思わず胸を押さえてうつむいていたマーシェにアルマンが気付いた。
「胸が苦しいのか?」
「⋯⋯⋯少し」
「水が飲めるか?」
そう言ってアルマンが水差しからコップに移しマーシェの手にそっと握らせる。
受け取ったマーシェはその時に初めて夫の手が大きいと感じた。
この2年で数えるほどではあるが、夜会でのエスコートやそういえば初夜の時など、手の大きさを感じる事はあったのに、今日ほど実感として感じたことはなかった。
マーシェは不思議な感覚にとらわれながらも渡された水を飲んだ。
痛みは変わらなかったが少し落ち着いた。
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相変わらず精悍な顔立ちをしている。
そのままアルマンの澄み渡った晴れの日の空のような青い瞳を見つめた時、今までマーシェの中になかった感情が不意に胸の内からあふれて呟いてしまった。
言ってすぐに自分が何を言ったか気付いて口を慌てて右手で塞いだ。
自分の口から出た言葉が自分で信じられなかった。
そして途端に惨めな気持ちになり、昨夜籠った部屋へと走って逃げた。
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そして自分達の、否自分のした事に初めてちゃんと罪悪感を覚えた。
「⋯⋯マーシェ」
取り残されたアルマンは自分の耳に聞こえたマーシェの本心からの呟きが脳内で繰り返されていた。
『愛されたい』
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