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16 マーシェの脱出
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目覚めたときから控えてくれていたのは王宮の侍女で、ルルチアと名乗った。
医師の二人が部屋を出て行くと、彼女はベッドの上で半身を起こしたままのマーシェに水を用意してくれた。
「ありがとう」
マーシェは受け取った水を一気に煽るように飲んだ。起きてからずっと喉が乾いていたのだ。あっという間に空になったコップにルルチアは急いでおかわりの水を注いでくれる。
その水はゆっくり飲んでようやくマーシェは乾きから解放された。
「どうして私はここへ?」
今最も聞きたい事をルルチアに尋ねると、彼女はコップを受け取り、盆に水差しごと乗せて部屋を黙って出ていった。
「教えてくれないの?!」
彼女が答えてくれるのを黙って見守りながら待っていたマーシェは、扉の向こうに消えるルルチアを眺めて叫んだ。
それからしばらく待っても彼女は帰ってくることはなく、時計もなく重そうなカーテンは開いてもいない為、今が何時かも分からずにベッドの上でマーシェは悶々としていた。
そして「はっ!」と気づき胸元に手をやり着ている服が見た事もない夜着である事に呆然とした。
「私の全財産!」
マーシェはベッドから下りようと足を床に付けた。立ち上がった途端クラリとめまいがした。だがそれどころではない。
湯船に浸かる為、母から貰ったネックレスも外していた。
服のポケットには姉からの手紙がある。
あれを悪用されてしまったらマーシェだけの失態では終わらない。姉にまで咎を課せられる。
クラリとして床に手をついたままマーシェは必死に這いながら扉に向かった。
扉は両開きだからかなり力を入れなければ開かない。
扉伝いに何とか立ち上がり、取っ手に手をかけて全体重を乗せて扉を押した。
グイッと開いた扉から勢い余ってマーシェは廊下に飛び出た。
すると廊下の窓から見える外は真っ暗だった。
廊下には所々に明かりが置いてあるので暗くはないけれど、部屋の外には見張りの騎士も居なかった。
マーシェは壁を支えにしてそれをなぞりながらヨタヨタと歩き始めた。王宮には夜会のホールとそれに伴う休憩室、化粧室しか知らない。
王宮の細部など知っているはずがないため、マーシェが歩く方向が正解かなんてわからない。わからないままにひたすら歩き続けた。
ようやく角のところまで来たときに、曲がった先の前から歩いてくる人物を見て絶望した。
視界に入った夫アルマンを見て、マーシェの出奔と無謀な脱出が失敗に終わった事を知った。
医師の二人が部屋を出て行くと、彼女はベッドの上で半身を起こしたままのマーシェに水を用意してくれた。
「ありがとう」
マーシェは受け取った水を一気に煽るように飲んだ。起きてからずっと喉が乾いていたのだ。あっという間に空になったコップにルルチアは急いでおかわりの水を注いでくれる。
その水はゆっくり飲んでようやくマーシェは乾きから解放された。
「どうして私はここへ?」
今最も聞きたい事をルルチアに尋ねると、彼女はコップを受け取り、盆に水差しごと乗せて部屋を黙って出ていった。
「教えてくれないの?!」
彼女が答えてくれるのを黙って見守りながら待っていたマーシェは、扉の向こうに消えるルルチアを眺めて叫んだ。
それからしばらく待っても彼女は帰ってくることはなく、時計もなく重そうなカーテンは開いてもいない為、今が何時かも分からずにベッドの上でマーシェは悶々としていた。
そして「はっ!」と気づき胸元に手をやり着ている服が見た事もない夜着である事に呆然とした。
「私の全財産!」
マーシェはベッドから下りようと足を床に付けた。立ち上がった途端クラリとめまいがした。だがそれどころではない。
湯船に浸かる為、母から貰ったネックレスも外していた。
服のポケットには姉からの手紙がある。
あれを悪用されてしまったらマーシェだけの失態では終わらない。姉にまで咎を課せられる。
クラリとして床に手をついたままマーシェは必死に這いながら扉に向かった。
扉は両開きだからかなり力を入れなければ開かない。
扉伝いに何とか立ち上がり、取っ手に手をかけて全体重を乗せて扉を押した。
グイッと開いた扉から勢い余ってマーシェは廊下に飛び出た。
すると廊下の窓から見える外は真っ暗だった。
廊下には所々に明かりが置いてあるので暗くはないけれど、部屋の外には見張りの騎士も居なかった。
マーシェは壁を支えにしてそれをなぞりながらヨタヨタと歩き始めた。王宮には夜会のホールとそれに伴う休憩室、化粧室しか知らない。
王宮の細部など知っているはずがないため、マーシェが歩く方向が正解かなんてわからない。わからないままにひたすら歩き続けた。
ようやく角のところまで来たときに、曲がった先の前から歩いてくる人物を見て絶望した。
視界に入った夫アルマンを見て、マーシェの出奔と無謀な脱出が失敗に終わった事を知った。
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