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35 マーシェの決意
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アルマンの気持ちを勝手に話す訳にもいかないが、なんとなく匂わせ程度には、お察しくださいリリアン様、な感じで話そうかな、どうしようかな、とマーシェが思考を巡らせていると、それを感じた兄嫁様が、時間稼ぎをしてくれようとマーシェに軽くウィンクしてリリアンに世間話を始めた。
心の中で“兄嫁様!”と拝みながら、マーシェは自分の数少ない話術スキルを思い出しながら、話しの流れを考えていた。
兄嫁様とリリアンの世間話を真剣に聞いているつもりはマーシェにはなかったのだが、何故かこちらに必死にリリアンが目配せしていることに気付いた。
「コート伯爵家で~」
リリアンらしからぬ間延びした話し方でマーシェに、聞いて!とアピールするように話し始めたのは、以前調べてみようか?とマーシェに提案した伯爵家の話をしようとしているようだ。
マーシェの中ではすでにコート伯爵家とアルマンの関係は知ってしまったが、リリアンには流石に話せる内容ではなかった為、言っていなかった。
それなのに、聖女リリアンはどうやらずっと調べてくれていたようだ。
「先日、コート伯爵家で捕物があったでしょう。通り道ではなかったけれど、そんなに道を逸れるわけではなかったし、早めに出たから回ってみたの。そうしたら門は閉まっていたのだけど、その中でね、一人ポツンと男の子がいるから驚いてしまって」
「「えっ?!」」
マーシェと兄嫁様は同時に驚きの声を上げた。
実はアルマン達の働きが実を結び、めでたく?悪を捕縛するに至っていた。
コート伯爵代理であるマリエルは数日前にその身柄を抑えられた。その際、かなり抵抗したらしく、その捕物劇は今王都の一番の話題にもなっていた。
マーシェとアルマンの事があったから、リリアンは気になったようで、今日こちらに来る途中で寄ったようだ。
「小さな子供が一人でいるから驚いたわ。門が閉まっているから中にも入れないし、男の子は出られないしね。話を聞こうにもまだ小さすぎてよくわかってないみたいだし、屋敷は閑散としていて、もしかしたら他に誰もいないみたいなの」
おそらくリリアンはこの話でアルマンはどうしたのかと思っているらしく、それでマーシェに目配せ擬きをしたようだ。
アルマンの浮気疑惑もあったし、マリエルの捕縛の件も何かマーシェがアルマンから聞いていないかと思ったのだろう。
「まさか子供が一人で家に取り残されているのかしら?」
兄嫁様が顔を真っ青にしてポツリと呟いたが、それはマーシェも直ぐに思ったし、リリアンはそれを確信して話していた。
それにしても捕縛に当たった騎士団は何をしているのだろうか?
「ご近所と言っても付き合いがないのなら派閥も違うだろうから、貴族なら尚の事問題のある家に手など差し伸べないし。それ以前にあの状態に気付いていないかもしれないわ。そう思って一応騎士団に寄ってきたの⋯でも」
「気になりますね」
「気になるわね」
「気になるでしょう?」
女三人で気になるとなったら行動は早かった。
リリアンの兄に簡単に説明して、四人は騎士団に向かった。
因みにブッセ伯爵家の馬車には兄妹三人で乗り、マーシェは帰りがどうなるかわからなかったので、マーロウ公爵家の馬車で向かった。
マーシェは、コート伯爵家の子供が気になって、もうアルマンの気持ちなどどうでも良くなって、先程まで巡らせていた思考はコート伯爵家に移行していた。
結果、驚いたことにまだ騎士団では動いていなかった。
お役所仕事の弊害か、何をするにも上の判断を仰ぐ体制のせいで、どこで止まっているのか指示が出ないから動けないとか何とか、受付に現れた騎士はふざけた事を宣った。
慌てて4人はコート伯爵邸へと向かった。
その途中でマーシェは矢のような速さで走る父ポリント辺境伯を見かけたのだ。
どうやらマーシェを心配した父が手紙の返事がもどかしく、話しを付けに来たようだった。
コート伯爵家の門の中では、小さな男の子が膝を抱えて地面にそのまま座っていた。
辺りはもうすぐ夕刻に差し掛かる、空もオレンジ色に染まってきてるというのに、その子は泣きもせずじっと座っていた。
老いても(まだ老人ではない)辺境伯、体は若かりし頃から鍛えているマーシェの父が、軽くはないが何とか大きな門を乗り越え向こう側に降り立った。
門が鉄柵で良かったとマーシェは心から思った。柵でなければあちら側が見えないから、リリアンも気付けなかっただろう。
頑丈な鍵は掛かっておらずスライド式になっていた。マーシェの父ポリント辺境伯が中から子供を抱いて出てきた時は、皆でホッと胸を撫で下ろした。
それにしても、捕縛対象の家族構成を知っていながら、この体たらく。
マーシェは帰ったらアルマンを怒鳴ろうとこころに決めた。
心の中で“兄嫁様!”と拝みながら、マーシェは自分の数少ない話術スキルを思い出しながら、話しの流れを考えていた。
兄嫁様とリリアンの世間話を真剣に聞いているつもりはマーシェにはなかったのだが、何故かこちらに必死にリリアンが目配せしていることに気付いた。
「コート伯爵家で~」
リリアンらしからぬ間延びした話し方でマーシェに、聞いて!とアピールするように話し始めたのは、以前調べてみようか?とマーシェに提案した伯爵家の話をしようとしているようだ。
マーシェの中ではすでにコート伯爵家とアルマンの関係は知ってしまったが、リリアンには流石に話せる内容ではなかった為、言っていなかった。
それなのに、聖女リリアンはどうやらずっと調べてくれていたようだ。
「先日、コート伯爵家で捕物があったでしょう。通り道ではなかったけれど、そんなに道を逸れるわけではなかったし、早めに出たから回ってみたの。そうしたら門は閉まっていたのだけど、その中でね、一人ポツンと男の子がいるから驚いてしまって」
「「えっ?!」」
マーシェと兄嫁様は同時に驚きの声を上げた。
実はアルマン達の働きが実を結び、めでたく?悪を捕縛するに至っていた。
コート伯爵代理であるマリエルは数日前にその身柄を抑えられた。その際、かなり抵抗したらしく、その捕物劇は今王都の一番の話題にもなっていた。
マーシェとアルマンの事があったから、リリアンは気になったようで、今日こちらに来る途中で寄ったようだ。
「小さな子供が一人でいるから驚いたわ。門が閉まっているから中にも入れないし、男の子は出られないしね。話を聞こうにもまだ小さすぎてよくわかってないみたいだし、屋敷は閑散としていて、もしかしたら他に誰もいないみたいなの」
おそらくリリアンはこの話でアルマンはどうしたのかと思っているらしく、それでマーシェに目配せ擬きをしたようだ。
アルマンの浮気疑惑もあったし、マリエルの捕縛の件も何かマーシェがアルマンから聞いていないかと思ったのだろう。
「まさか子供が一人で家に取り残されているのかしら?」
兄嫁様が顔を真っ青にしてポツリと呟いたが、それはマーシェも直ぐに思ったし、リリアンはそれを確信して話していた。
それにしても捕縛に当たった騎士団は何をしているのだろうか?
「ご近所と言っても付き合いがないのなら派閥も違うだろうから、貴族なら尚の事問題のある家に手など差し伸べないし。それ以前にあの状態に気付いていないかもしれないわ。そう思って一応騎士団に寄ってきたの⋯でも」
「気になりますね」
「気になるわね」
「気になるでしょう?」
女三人で気になるとなったら行動は早かった。
リリアンの兄に簡単に説明して、四人は騎士団に向かった。
因みにブッセ伯爵家の馬車には兄妹三人で乗り、マーシェは帰りがどうなるかわからなかったので、マーロウ公爵家の馬車で向かった。
マーシェは、コート伯爵家の子供が気になって、もうアルマンの気持ちなどどうでも良くなって、先程まで巡らせていた思考はコート伯爵家に移行していた。
結果、驚いたことにまだ騎士団では動いていなかった。
お役所仕事の弊害か、何をするにも上の判断を仰ぐ体制のせいで、どこで止まっているのか指示が出ないから動けないとか何とか、受付に現れた騎士はふざけた事を宣った。
慌てて4人はコート伯爵邸へと向かった。
その途中でマーシェは矢のような速さで走る父ポリント辺境伯を見かけたのだ。
どうやらマーシェを心配した父が手紙の返事がもどかしく、話しを付けに来たようだった。
コート伯爵家の門の中では、小さな男の子が膝を抱えて地面にそのまま座っていた。
辺りはもうすぐ夕刻に差し掛かる、空もオレンジ色に染まってきてるというのに、その子は泣きもせずじっと座っていた。
老いても(まだ老人ではない)辺境伯、体は若かりし頃から鍛えているマーシェの父が、軽くはないが何とか大きな門を乗り越え向こう側に降り立った。
門が鉄柵で良かったとマーシェは心から思った。柵でなければあちら側が見えないから、リリアンも気付けなかっただろう。
頑丈な鍵は掛かっておらずスライド式になっていた。マーシェの父ポリント辺境伯が中から子供を抱いて出てきた時は、皆でホッと胸を撫で下ろした。
それにしても、捕縛対象の家族構成を知っていながら、この体たらく。
マーシェは帰ったらアルマンを怒鳴ろうとこころに決めた。
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