悲劇の令嬢の逆襲〜旦那様契約結婚の延長は致しません〜

maruko

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side王妃 (セイシャル王国)

ここが前世の小説の世界だと気付いたのは私が陛下に嫁いだ時だった。
主人公は隣国の王子。
物語は子供の頃から王宮を出された王子が結婚して幸せになる物語。
その王子が幸せになった後の番外編で晩年の様子が書かれていたのだけど、その中に少しだけ記されていたのが我がセイシャル王国だ。
その内容が、

『大陸中に流行り病が蔓延し隣国の王も王妃も亡くなった。スティール伯爵家を国外に追放したからだろうな、充分な薬の確保が出来なかったのだろう。だが彼らが我がノーマン王国に来てくれたおかげで我々は今も息ができるのだ!ノーマンで流行り病を克服できたのも偏にスティール伯爵家の功績だ。そして彼らを追放してくれたセイシャル王国のお陰かもな』

主人公の台詞だ。

何故そんな所に転生してしまったのか前世を思い出した時はさっぱり解らなかった。
だけどこれだけは解った。
私達が生き延びるためにも国に流行り病が蔓延らないためにもスティール伯爵家を囲い込まなければならないということ。
何故セイシャル王国がスティール伯爵家を追放したのかまではきっと出ていたのかもしれないけれど正直覚えていない。

でも取り敢えずあの家は追放してはいけないのだ。

だから私はお忍びでスティール伯爵家を訪ね、親しくしようと思った。
その時に幼いミランダの姿を見て容姿にも惹かれたけれど、流行り病の薬を作ったのが彼女だという事を思い出したのだった。

だから我が息子とミランダを婚約させたのに、何という体たらく。

王太子は隣国の王女に薬を盛られるし、三男は子爵家の娘などと、どちらの女も小賢しい。

王太子はミランダが大人になるのをじっと待っていたのに、それを王女に台無しにされた上に責任まで取らされた。
しょうがないから婚姻はしたけれど案の定夫婦仲は最悪だ。
婚姻してから一度も閨を共にしていない。
臣籍降下した第二王子の子を王太子にすると既に宣言までしている始末。
陛下もそれでいいそうだから私も異存はない。
どちらにせよ孫には変わりないのだから。

あの王女のせいで私の計算すべてが狂ったのだ。

王女じゃなければ牢に入れたいくらいだ。

まぁ離宮に放りっぱなしだからあまり変わらないが。

第三王子は元々性格が軽かった。
あの子とミランダの婚約は最後まで悩んだのだ。
第二王子の婚約者が公爵家でなければ其方にしたのだけど、その婚約を壊すわけにはいかなかった。

軽い息子でもミランダが好きだと言う気持ちに嘘偽りがなさそうだったから婚約させたのに、あの馬鹿は!事もあろうに学園で子爵家の娘なんぞに引っかかってしまった。

子爵家の娘は第三王子が公爵家を賜ると思って近付いたらしいけど、そうは問屋が降ろさないわよ!

絶対に離婚しないという誓約書を書かせて無理矢理子爵家に婿に行かせたわ!

その後、如何しようかと思案していたら何とリンデン公爵家の息子と婚約したから、本当に安堵していたのに。

結果公爵家のあの息子も馬鹿だった。

まさか白い結婚を強いる契約婚だなんて思いもよらなかったわ。

どうしてこううまく行かないのか⋯。

私は陛下に昔から予知夢を見るのだと誤魔化してスティール伯爵家、そしてミランダがこの先作る流行り病の薬がこの国を救うのだと話したの。
その時に小説の内容を少しだけ隣国についてだけど話した。
それから陛下はリンデン公爵家にミランダを繋ぎ止めるようにといい含めたのだけど。

上手くいかなかった。

スティール伯爵家は王家に不信感を抱いていたもの。
そりゃそうよ、娘が二度に渡って婚約を台無しにされたのだから、しかも巷では『悲劇の令嬢』などと噂をばら撒かれるし。

なんとか鎮圧しようとしたけれど、あの王女のせいで中々鎮圧できなかった。

王女あの女自分が悲劇のヒロインになったように振る舞って、あろうことかミランダに瑕疵があると吹聴しまくった。
そのせいで『悲劇の令嬢』という言葉はイコールミランダに顔だけ良くても⋯中身がね、何てことまで噂されるようになって。

もうあの女ホントに殺しておけばよかったわ。
隣国との軋轢を生むかと秘密裏に消すのを躊躇してしまったの。

もう後悔しかない。

このまま行けばセイシャル王国はおそらく10年後には無くなってしまう。

でもミランダさえ戻ってきてくれたら⋯。

まだ巻き返せるのよね。




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