悲劇の令嬢の逆襲〜旦那様契約結婚の延長は致しません〜

maruko

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初めての薬

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お父様達から作り方を教えてもらった体内浄化の薬。
それに教会から分けてもらったリュウキを混ぜ合わせてみた。
こういう時何時もはメリッサかマリリンさんが協力を申し出てくれるのだけど、今は二人とも側には居ない。
一応同じ城内にマリリンさんは居るけれどお籠りだし。
でも治験は多い方がいいのよね。
私の体だけで大丈夫かな?

私はモナに大蒜を昼食にお願いした。
モナというのは何時も側にいてくれた侍女の名だ。
ここに来て4日目にやっと聞けた。
薬作りに夢中になって聞くのを忘れていたの。

正確にはモナセリーと言うらしいけどモナで良いと言うのでそう呼ぶ事にした。

モナが訝しげに出した料理達は大蒜の匂いが肌に吸い付きそうなくらいに大量だった。
それを必死に食べて行儀は悪かったけれど途中で退席して作った薬を飲んでみた。

モナに協力してもらって息を顔に吹きかけてみる。

「如何かしら?」

「私に染み付いてしまったかもしれませんが匂いは少ししますね」

「ではもう一本飲んでみるわ⋯⋯如何かしら?」

「あっ!匂いが消えています。凄い!凄いですミランダ様」

「じゃあもう一度試しに⋯⋯」

「いえ私にお手伝いさせて下さい。治験というものが良くわかっておらずミランダ様にさせてしまって申し訳ありません。今後は私が致しますので」

モナはそう言って扉を開けて外の護衛に何かを伝えてからテーブルにある残りの大蒜料理に取り掛かった。
先程私が食べた量よりも残っているのを全て平らげてくれた。
ありがたいわ。

感謝の気持ちと共に薬を今度は始めから3本渡した。
ゴクゴクゴクとモナは一気に薬を飲むと目を白黒させている。
思ったよりも美味しかったそうだ、良かったわ。

遠慮するモナを促して息を吹き掛けてもらったけど匂いは完全に消えていた。
リーディア様が以前どのようなお薬を飲んだか解らないけれど、体内から発せられる匂いに少なくともこの薬は効果がある。

あとは彼女のあの匂いに効くか如何かの問題だけ。

私はリーディア様に薬が完成した事を手紙で伝えた。
同じ王宮内ならば直ぐに届くだろうと思っていたら、新しい食事が用意されていた。
モナが差配してくれたみたい。
大蒜だけだと気の毒に思ってくれたのかしら?
でも結構沢山食べちゃって苦しかったのだけど⋯。
でもモナの心遣いを無碍にしたくなかったので頑張って頬張っていたら、護衛が顔を覗かせた。

モナが対応していたけれど戻ってきた彼女が

「リーディア王子妃様の侍女がお目通りを願っております」

って言ってきたけど、そんなに畏まる相手じゃないのに私。
食後の珈琲を飲むまで少し待ってもらって、中に入ってもらった。
手紙の返事の代わりに侍女を遣わせたみたい。

侍女に念の為残りの薬を全て渡した。
侍女がとても嬉しそうだけど、あまり期待してほしくない。
今迄ありとあらゆる方法を王子妃様は用いたと聞いている、私の作った薬が効かなくてもきっとお父様達が力になってくれるはずだからと念を押した。

「ミランダ様に感謝いたしますわ、私共もリーディア様も打つ手がなく絶望していたのですから、一つ方法ができたと解っただけでも喜ばしいのです」

そう言って感謝しながら部屋を出ていったけど。
大丈夫かしら?

その後はモナと温室に向かった。
ポーションを作る為の材料を干していたからそろそろ作れそうだ。
今回はそれにリュウキも加えるつもり、本当にこの万能の薬草が見つかったのは僥倖だわ。

今この温室は私の作業場と変貌を遂げているのだ、あれからセルトはまだ城に帰ってきていない。
どこに行ったのか私には解らないけれど、薬草達に囲まれて作業をしていれば寂しさも少しは軽減するから、温室ここがなかったらと思うとゾッとする。

お鍋をいつものように掻き混ぜながら魔法を込めていく、その作業をしていたら先程のリーディア様の侍女が血相を変えて飛び込んできた。

「ミ、ミラン⋯ダ様!ハァハァ⋯ハァハァ」

息も絶え絶えという風にやってきたので、まさかリーディア様に害のある物が入っていたのかしら?と顔面蒼白で声をかけると、

「ちっ違うのです、効いたのです!薬が効いているのです!」

「本当に?良かったわ」

モナと手を取り合って喜んでいたら侍女が言葉を続けます。

「そっそれでもっと沢山飲めばいいのではとリーディア様が仰っていて、分けて貰いに来たのです」

そう言った侍女に私は首を左右に振った。

「薬は一日に多量に摂取するのは良くないのです、毎日一定の数だけ飲む方がお体の負担も軽減されますの」

「そうなんですか?それは存じ上げなくて失礼いたしました」

「いえいいのよ、明日から毎日今日と同じ数お渡ししますね。取りに来てくれるかしら?」

そう言うと嬉しそうに侍女は帰って行った。
だけど⋯⋯私も嬉しい!
私が作った初めての薬が人の役に立てたのだから嬉しくないわけがない。

この喜びをモナに伝えると一緒になって喜んでくれた。

でも⋯もっと喜びを分かち合いたい人が側に居ないのが少しだけ残念だった。




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