【本編完結】逃げるが価値

maruko

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36 『ルビ』

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私からの乞う眼差しは二人にスルーされて、辺境伯がことの経緯をお義父様に聞いております。

「ねぇ、それじゃあ本末転倒じゃない?だって公爵家潰したところで、また違う婚約者を連れてくるだけなんじゃない?アルシェ侯爵ならそれぐらいするでしょう。それなら兄から潰していったほうがいいと思うんだけど」

「それはこちらも考えましたが、肝心の御方はどこへ消えたのやら、さっぱりわからないんです」

「ここに居るけど」

「「はあ?!」」

辺境伯が王弟で先の第二王子を匿っているなんて⋯⋯。

ついジト目で睨んでしまったのですが、それには気を悪くされませんでした。
(あとで思いだして肝を冷やしました)

「待って待って!そんな怖い顔しないでよ二人とも。陛下あにに頼まれたの!仕方なくだよ、監視してるんだ。私も弱みがあるからね、しょうがなく連れてきたのさ」

人の弱みに漬け込む陛下
女の尊厳を無視する先の第二王子
人を無意識に不快にさせる先の第三王子もとい辺境伯

王家の男も碌なやついないじゃないか!
この国終わってる?

って、この辺境伯に弱みがあるのね。
あぁまた私の顔を見てニヤニヤしてますよ、今度は何を言い出すのかしら

「私の弱み聞きたい?」

「えっ!教えてくださるのですか?ならば是非」

「はぁ~君は物怖じしないんだね。そんな性格なら父親くらい成敗出来たんじゃないの?」

「無理です!この性格は開き直ったが故なので、まだ侯爵家むこうにいる時は絶望でした」

「ふうん。ハハハ、君とは気が合いそうなんだけどな」

合いませんよ、心の中なのでいいですよね、悪態ついても。

「いや顔に出てるよ」

ナヌ?

「はぁ条件付けてもいいかな?公爵家潰すのは最後ね、どうせならマイラきみが引導渡せばいいよ」

「条件とは何でしょうか?」

お義父様が訝しげに辺境伯様に尋ねます。
私も息をのんで見守りますが、私がタンキ様に引導渡すとは?
そんなもん出来るならとっくにしてるっつうーの!

「マイラ・アルシェ。アルシェ侯爵が息女。君、私の養女になりなさい」

「「はぁ?」」

私とお義父様がめん玉飛び出そうなぐらい驚いているのを面白そうに眺めて、本日何回目かわからないニヤケ顔をこちらに向けてる辺境伯。

私は今、ルビをつける⋯⋯『王族』って書いて『とんでもない奴ら』って読むんだ。
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