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3人でやって来たカフェだったが、いつもは一緒にいても何も言わないレオだったのに、今日は何故か違っていた。馬車を降りる前にレオがジルに向かって言った。
「ごめんジル、今日はライラと二人にしてくれないか?」
これが貴族であるならば二人で行動させるわけには行かないが、ライラもレオも平民だ。二人っきりでカフェにいたとしても咎められたりふしだらなんて言われない。
だからジルは頷いて馬車に残ることにした。心の中では一緒にいれない事に泣いていたけど、そんな事を気付かれないようにするのは慣れていた。
ライラはレオの言葉にドキドキと胸が高鳴っていた。
二人という言葉にいやでも期待してしまう。だって偶然二人ではなく、はじめから二人なのだから。
おまけにレオは馬車から降りるとき手まで差し伸べてくれた。そういえば一緒に馬車に乗る事も初めてだった。長く幼馴染であっても一緒に何処かへ出掛けるなんて今までもなかった事だった。その辺の原っぱはこの際除外する。
ただ馬車を降りた後はエスコートされなかったから、ライラは少しがっかりした。でも何となく後ろを付いていくのではなく、すっと前に出て店先まで自然と並んで歩いてみた。
自分からだったけど幼い頃の時みたいに並んで歩けて、ライラの心臓はバクバクと音がしている、周りにもこの音が気づかれているのでは?とつい不安になって左右を確かめてしまった。
そんな挙動不審なライラにレオは全く気付くこともなく二人はそのまま中に入った。
案内というよりレオが希望して2階の個室に通された。
「個室へ」と店員に告げるレオの言葉にまたもや心臓の爆音が激しくなるライラ。
今日はずっとこの調子かな?どうしても期待してしまう自分がいて、ライラはこの時調子に乗っていたのかもしれないと、後に自分を分析して思い返すのだったが、今は全くそんな事は思いもしていなかった。
案内された個室は本当にTHE個室で、狭い部屋にはテーブルと椅子、店内の一画を壁で仕切った、そんな感じの個室だった。窓から見える庭園が素敵!なんて事もなく正しく個室だ。あまりの殺風景に店側が気を遣ったのか、壁に小さな絵が飾っていたけれど、その腕前は絵に詳しくないライラには分からなかった。
ただの花の絵は、小瓶に活ける花さえ飾るのが面倒だったと思えていたら、ライラも浮かれなかったかもしれない。
だけどこの日は万事に於いてライラが地に足が付いていなかったのは否めない事実だった。
白い壁紙もシミ一つなくて二人の間柄のよう!
ライラは本当にこの時そんな事を思っていた。後で何度も自分に呆れて自身をアホだと罵ったが、この時は本心で思っていた。
テーブルにつき注文した飲み物を一口口に含んだライラ。
レオは全く見てくれなかったけれど、この時は封印した上目遣いもバッチリ披露してみた。
そんなライラにレオは俯きながら告げる。
「ライラ、俺達婚約しないか?」
告げられた言葉にライラは嬉しくて、満面の笑みで了承の返事をしようと口を開いた。
「レオ、私「あぁ結婚はしなくていいからな」えっ?」
幸せから絶望
ライラは大好きな人から奈落の底へと突き落とされた。
「ごめんジル、今日はライラと二人にしてくれないか?」
これが貴族であるならば二人で行動させるわけには行かないが、ライラもレオも平民だ。二人っきりでカフェにいたとしても咎められたりふしだらなんて言われない。
だからジルは頷いて馬車に残ることにした。心の中では一緒にいれない事に泣いていたけど、そんな事を気付かれないようにするのは慣れていた。
ライラはレオの言葉にドキドキと胸が高鳴っていた。
二人という言葉にいやでも期待してしまう。だって偶然二人ではなく、はじめから二人なのだから。
おまけにレオは馬車から降りるとき手まで差し伸べてくれた。そういえば一緒に馬車に乗る事も初めてだった。長く幼馴染であっても一緒に何処かへ出掛けるなんて今までもなかった事だった。その辺の原っぱはこの際除外する。
ただ馬車を降りた後はエスコートされなかったから、ライラは少しがっかりした。でも何となく後ろを付いていくのではなく、すっと前に出て店先まで自然と並んで歩いてみた。
自分からだったけど幼い頃の時みたいに並んで歩けて、ライラの心臓はバクバクと音がしている、周りにもこの音が気づかれているのでは?とつい不安になって左右を確かめてしまった。
そんな挙動不審なライラにレオは全く気付くこともなく二人はそのまま中に入った。
案内というよりレオが希望して2階の個室に通された。
「個室へ」と店員に告げるレオの言葉にまたもや心臓の爆音が激しくなるライラ。
今日はずっとこの調子かな?どうしても期待してしまう自分がいて、ライラはこの時調子に乗っていたのかもしれないと、後に自分を分析して思い返すのだったが、今は全くそんな事は思いもしていなかった。
案内された個室は本当にTHE個室で、狭い部屋にはテーブルと椅子、店内の一画を壁で仕切った、そんな感じの個室だった。窓から見える庭園が素敵!なんて事もなく正しく個室だ。あまりの殺風景に店側が気を遣ったのか、壁に小さな絵が飾っていたけれど、その腕前は絵に詳しくないライラには分からなかった。
ただの花の絵は、小瓶に活ける花さえ飾るのが面倒だったと思えていたら、ライラも浮かれなかったかもしれない。
だけどこの日は万事に於いてライラが地に足が付いていなかったのは否めない事実だった。
白い壁紙もシミ一つなくて二人の間柄のよう!
ライラは本当にこの時そんな事を思っていた。後で何度も自分に呆れて自身をアホだと罵ったが、この時は本心で思っていた。
テーブルにつき注文した飲み物を一口口に含んだライラ。
レオは全く見てくれなかったけれど、この時は封印した上目遣いもバッチリ披露してみた。
そんなライラにレオは俯きながら告げる。
「ライラ、俺達婚約しないか?」
告げられた言葉にライラは嬉しくて、満面の笑みで了承の返事をしようと口を開いた。
「レオ、私「あぁ結婚はしなくていいからな」えっ?」
幸せから絶望
ライラは大好きな人から奈落の底へと突き落とされた。
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