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10 貴方と話をしたい
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様子の可怪しいマイクがハッシュを避け始めて4日経った。ハッシュは何故避けられるのかわからぬまま、ただその彼の行いを悲しく思っていた。それはルイスには感じたことのない気持ちで、ハッシュは胸がチクチクと針を飲んだように痛むのだった。
マイクの様子が可怪しくてもハッシュには、やらなければならない事があった。メイラに手紙を出すと彼女はその日家に来てくれた。
「メイラ急に呼び出してごめんね」
「ううんハッシュが呼んだら飛んでくるわ、って言ってもお許しが今日まで出なくてごめんね」
「ありがと、でもいい話ではないの」
「なぁにどうしたの?」
元来おっとり系のメイラは今日ものんびり間延びで話す。結婚してからはその間延びも若干短くなった様に感じる。そう既にメイラは婚姻しているのだ。お相手は辺境騎士団で見習いから頑張っていた、義父イチオシのイケメン元子爵令息。
子爵家が没落したあとに家族でこのモルト領に移り住んでいた方だ。彼の両親は領内で食堂を営んでいる。
実はサッシュと行った食堂はメイラの新婚旦那のご実家だった。
サッシュから頼まれた事をハッシュはメイラに話した。するとメイラは大きく溜息を吐いた。
「やっぱり手紙くらい書いたほうが良かったみたいねぇ」
メイラは父に言われるがまま、一切婚約解消に関わらなかった、その後サッシュからはほぼ毎日手紙が届くも、そのまま読まずに送り返していた。
それは自分の未練も断つためでもあったのだ。
「王都からここまで一週間はかかるのに毎日届くから。忘れる為にも手紙読まなかったんだけど、あの時ちゃんとしてなかったからサッシュがそんな事を言い出したのかもね、きっと」
「そうなのかな」
「やっぱりちゃんと手紙を書くわ、会うのはちょっと今更だから。誤解されるの嫌だから旦那様にも言っとこうっと。ハッシュも口添えしてよね」
「うん、分かった」
「サッシュの事はね、とっても好きだったの。でもね私ちゃんと気持ちを言えてなかった。態度でわかるでしょうとか察してほしいとかって、婚約者にはやってはいけなかったのだと今なら分かるわ。やっぱり会話って大事よね」
「えっ?でも」
「ハッシュがいたら話せたけど二人っきりだと照れが先に来ちゃって。でもそれはサッシュもそうだったのかも。ハッシュがいたから私とサッシュは上手くいってたように見えてたけど、本当はそうでもなかったのかもしれないわ。だからきっとその隙間にアルディオーレが入り込めたのよ」
メイラは懐かしそうに目を細めてハッシュに話した。彼女とサッシュの仲はハッシュからは順風満帆に見えていたから、どうして弟がアルディオーレなんかに堕ちたのかイマイチ分からなかったのだ。
それが今メイラから聞かされて漸く謎が解けた。
因みにメイラは始め会話の中でサッシュの事を、グランバス伯爵令息と言っていたがハッシュがサッシュでいいと言ってからはサッシュで統一していた。弟に言ったことと大違いだがメイラは弁えてるのでいいのだ(ハッシュ談)
「そうね会話ってきっと大事なのよね。私も変に毛嫌いしてたからルイスとまともに話した事なかったの。もっと話せば良かっ「いやいやアレは無いわ」たかも」
メイラの言葉でハッシュもルイスとの関係を思い返して、自分も同じだなと感じてその気持ちを吐露していたのだが、途中でメイラに遮られた。
どうやらアレは無いらしい。
思わず二人で目を合わせて笑い合った。
「さて遅まきながら昔にケリをつけなきゃね」
そう言ってルイスが立ち上がったと同時にハッシュも立ち上がった。
「私、話してくる。ちゃんと話をしなきゃだわ。ごめんメイラ、今日はお泊りするでしょ」
「えっ?誰と?ってちょっとハッシュ!」
ハッシュの突然の宣言に驚いたメイラを置き去りに彼女は家を飛び出して行った。
「えぇ~こんな夜に何処行ったのよ」
今日は平日の夜、新婚旦那が丁度夜勤の日だったので、叔父の家にメイラはお泊りすると言って送ってもらっていたのだ。
夕食後に話し込んでいたから、外はどっぷり夜だ。比較的町中に住んでいるハッシュだが、いくら何でも遅すぎる。メイラは慌てて叔父に報告しに走った。
◇◇◇
ハッシュはマイクと話さなければと必死に馬を走らせていた。
ハッシュは乗馬は得意だったが貴族令嬢の行いとしてはあまり褒められたことではなかった為、専ら馬車を利用していたし乗馬も偶に嗜む程度に留めていた。モルト領に来てからは暇さえあれば乗っていた。通勤に使わないのは髪が乱れるというその一点の理由のみだった。
行き先はマイクの家、ハッシュの帰り道だったから密かに知っていたのだ。
マイクの家の灯りを見てハッシュは我に返った。
「しまった、勢いで来たけれど時間を考えてなかったわ」
辺りは真っ暗、他者の家に訪問する時間ではないし約束もしていない。
どうしようかな、そう思いながら家の前の道を行ったり来たりとウロウロしていた。
馬の手綱を持ちながらウロウロする人影、怪しさ満点のハッシュに気付いたのは窓から満天の星空を見上げていたロマンチックなマイクだった。
星を見ながらハッシュを想い胸を痛めていたところだった。
ふと目の端に入った、家の前をウロウロする人物をマイクは始めハッシュだとは思わなかった。
(何だアレ)そう思い暫く凝視していた。するとタイミングよく門の灯りの付近に近づいて顔を認めた瞬間、マイクは部屋を飛び出していた。
階段を駆け下りて玄関をバーンと思いっきり開いた。
ハッシュに駆け寄った時にはそんなに走ってもいないのに、大きな我体は肩で大きく息をしていた。
「はっハッシュ!こんな時間にどうしたの?」
当然の疑問をぶつけたのだが、マイクの言葉にみるみるハッシュの瞳に涙が溢れた。その様子を見てマイクはギョッとする。
「ちょ、ハッシュどうした?」
「だって、マイク。貴方が私に話しかけてくれたの久しぶりだから、嬉しくて」
ハッシュの言葉に数日悩んでいたマイクは、あの食堂の事も忘れてハッシュをギュウ~と抱きしめた。
マイクの様子が可怪しくてもハッシュには、やらなければならない事があった。メイラに手紙を出すと彼女はその日家に来てくれた。
「メイラ急に呼び出してごめんね」
「ううんハッシュが呼んだら飛んでくるわ、って言ってもお許しが今日まで出なくてごめんね」
「ありがと、でもいい話ではないの」
「なぁにどうしたの?」
元来おっとり系のメイラは今日ものんびり間延びで話す。結婚してからはその間延びも若干短くなった様に感じる。そう既にメイラは婚姻しているのだ。お相手は辺境騎士団で見習いから頑張っていた、義父イチオシのイケメン元子爵令息。
子爵家が没落したあとに家族でこのモルト領に移り住んでいた方だ。彼の両親は領内で食堂を営んでいる。
実はサッシュと行った食堂はメイラの新婚旦那のご実家だった。
サッシュから頼まれた事をハッシュはメイラに話した。するとメイラは大きく溜息を吐いた。
「やっぱり手紙くらい書いたほうが良かったみたいねぇ」
メイラは父に言われるがまま、一切婚約解消に関わらなかった、その後サッシュからはほぼ毎日手紙が届くも、そのまま読まずに送り返していた。
それは自分の未練も断つためでもあったのだ。
「王都からここまで一週間はかかるのに毎日届くから。忘れる為にも手紙読まなかったんだけど、あの時ちゃんとしてなかったからサッシュがそんな事を言い出したのかもね、きっと」
「そうなのかな」
「やっぱりちゃんと手紙を書くわ、会うのはちょっと今更だから。誤解されるの嫌だから旦那様にも言っとこうっと。ハッシュも口添えしてよね」
「うん、分かった」
「サッシュの事はね、とっても好きだったの。でもね私ちゃんと気持ちを言えてなかった。態度でわかるでしょうとか察してほしいとかって、婚約者にはやってはいけなかったのだと今なら分かるわ。やっぱり会話って大事よね」
「えっ?でも」
「ハッシュがいたら話せたけど二人っきりだと照れが先に来ちゃって。でもそれはサッシュもそうだったのかも。ハッシュがいたから私とサッシュは上手くいってたように見えてたけど、本当はそうでもなかったのかもしれないわ。だからきっとその隙間にアルディオーレが入り込めたのよ」
メイラは懐かしそうに目を細めてハッシュに話した。彼女とサッシュの仲はハッシュからは順風満帆に見えていたから、どうして弟がアルディオーレなんかに堕ちたのかイマイチ分からなかったのだ。
それが今メイラから聞かされて漸く謎が解けた。
因みにメイラは始め会話の中でサッシュの事を、グランバス伯爵令息と言っていたがハッシュがサッシュでいいと言ってからはサッシュで統一していた。弟に言ったことと大違いだがメイラは弁えてるのでいいのだ(ハッシュ談)
「そうね会話ってきっと大事なのよね。私も変に毛嫌いしてたからルイスとまともに話した事なかったの。もっと話せば良かっ「いやいやアレは無いわ」たかも」
メイラの言葉でハッシュもルイスとの関係を思い返して、自分も同じだなと感じてその気持ちを吐露していたのだが、途中でメイラに遮られた。
どうやらアレは無いらしい。
思わず二人で目を合わせて笑い合った。
「さて遅まきながら昔にケリをつけなきゃね」
そう言ってルイスが立ち上がったと同時にハッシュも立ち上がった。
「私、話してくる。ちゃんと話をしなきゃだわ。ごめんメイラ、今日はお泊りするでしょ」
「えっ?誰と?ってちょっとハッシュ!」
ハッシュの突然の宣言に驚いたメイラを置き去りに彼女は家を飛び出して行った。
「えぇ~こんな夜に何処行ったのよ」
今日は平日の夜、新婚旦那が丁度夜勤の日だったので、叔父の家にメイラはお泊りすると言って送ってもらっていたのだ。
夕食後に話し込んでいたから、外はどっぷり夜だ。比較的町中に住んでいるハッシュだが、いくら何でも遅すぎる。メイラは慌てて叔父に報告しに走った。
◇◇◇
ハッシュはマイクと話さなければと必死に馬を走らせていた。
ハッシュは乗馬は得意だったが貴族令嬢の行いとしてはあまり褒められたことではなかった為、専ら馬車を利用していたし乗馬も偶に嗜む程度に留めていた。モルト領に来てからは暇さえあれば乗っていた。通勤に使わないのは髪が乱れるというその一点の理由のみだった。
行き先はマイクの家、ハッシュの帰り道だったから密かに知っていたのだ。
マイクの家の灯りを見てハッシュは我に返った。
「しまった、勢いで来たけれど時間を考えてなかったわ」
辺りは真っ暗、他者の家に訪問する時間ではないし約束もしていない。
どうしようかな、そう思いながら家の前の道を行ったり来たりとウロウロしていた。
馬の手綱を持ちながらウロウロする人影、怪しさ満点のハッシュに気付いたのは窓から満天の星空を見上げていたロマンチックなマイクだった。
星を見ながらハッシュを想い胸を痛めていたところだった。
ふと目の端に入った、家の前をウロウロする人物をマイクは始めハッシュだとは思わなかった。
(何だアレ)そう思い暫く凝視していた。するとタイミングよく門の灯りの付近に近づいて顔を認めた瞬間、マイクは部屋を飛び出していた。
階段を駆け下りて玄関をバーンと思いっきり開いた。
ハッシュに駆け寄った時にはそんなに走ってもいないのに、大きな我体は肩で大きく息をしていた。
「はっハッシュ!こんな時間にどうしたの?」
当然の疑問をぶつけたのだが、マイクの言葉にみるみるハッシュの瞳に涙が溢れた。その様子を見てマイクはギョッとする。
「ちょ、ハッシュどうした?」
「だって、マイク。貴方が私に話しかけてくれたの久しぶりだから、嬉しくて」
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