旦那様、愛するつもりがないのはお互い様でした

maruko

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「ホーリー」

「姉様、どうして?お一人で来るなんていくら王宮内でも不用心にも程がありますわ!」

私が咎めながら姉様に言うと姉様は所在無さげに「面目ない」と呟いたのだけど⋯その言い方に引っ掛かるものがあった。

既視感デジャヴ

(アレ?この感覚どこでだったかしら?)

私はそう思いながら姉様を見ていると、姉様はツカツカと部屋のソファにデンと沈んだ。

「まぁ座って!」

私が与えられた客室ですけど?とか思いながらも、王宮だから姉様が言うのもいいのかと思い直し、言われるまま姉様の対面へと腰掛けた。
何度となく言いあぐねてるという感じで目を泳がせているのが、全く持って姉様らしくない。
それでも辛抱強く待っていると、姉様は大きく息を吐いて拳を握っているのが見えた。

よっぽど言いにくいことなのかな、と思った私は背中を押すつもりで聞いてみる。

「姉様、どうしたの?相談?」

決して嫌味のつもりではなかったけれど、つい口走ってしまった。
すると本当に目を何度も瞬いたのだけれど、信じられない!姉様が真っ赤になっている。
今まで一度も見たことがない、王妃の赤面!

私は目の前の姉様が別人になった錯覚を起こした所で「アレ?」と思った。

私の周りに居ますよね、偶に別人になる方、最近はない模様ですが、急に纏わり付くようになった方。

やはり既視感デジャヴ

「姉様?」

私はもう一度お声を掛けさせてもらったのだけど、姉様は泣きそうな顔をしています。
もう絶対姉様じゃないって確信できるの。
って思った瞬間、姉様の表情が変わりました。
いつもの様に人を喰ったような笑顔です。

どうしよう⋯⋯姉様が壊れた。

「ホーリー、私は壊れてなどいない」

「えっ?声に出てましたか?」

「いや、顔に書いてある。お前の表情は分かる」

「はぁ」

姉様は「クックッ」と笑ってから立ち上がり、ベッドサイドに移動して、そこの水差しから「ゴクゴク」と水を飲み始めました。

「何されてますの?」

私は心の中で悲鳴をあげながら、姉様の奇行に目を瞠りました。
王妃の品格は何処へやら、手の甲で口元を拭くとニヤッと微笑みました。

水差しを置いてソファに戻ると、再び真剣な面持ちでやっと話す気になったようです。

「はぁ~お久しぶりですぅ郷田花ゴウダハルで~す」

そう言って姉様が両手を前に出し左右に振りました。
私は、その仕草を凝視してその声が耳に入った途端、きっとそこらじゅうに響きわたったことでしょう。

「えーーーーーー」

体を仰け反らせ叫んでしまいました。




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