幽閉されていた王女は悪女の汚名を復讐で返上する

maruko

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プロローグ

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宵闇の中、馬上の手綱を握る男の腕の中には、横たわる女が震えながらもその胸にしっかりとしがみついていた。

静かな農村には似合わぬ荒々しい戦馬が数頭、規則正しい音で駆けている。
滅多にそんな音がする事はないこの長閑な村で、あるとするならばそれは戦が始まる序章だと村民は知っていた。
過去に何度か覚えがある、似たような馬の蹄の音を聞いていたから。
そんな日は決して家から出てはならぬ
おとなしく明かりを消してベッドにくるまって息を殺していろ!そうみんな教えられて来た。

そんな村民の怯えを気にする事もなく暫く聞こえていた“始まりの音”はどんどん遠くなりやがて消えていった。


◇◇◇


「ミシェルフォン⋯だったよね」

いつの間にか馬は止まっていた。腕の中で震えていたミシェルフォンは、その呼び掛けに声の主を見上げる。

知らぬ間に村を抜けていたようだ。

「降りるよ」

見上げたミシェルフォンに男は優しく言って、彼女を軽々と抱いたまま馬からストンと降りた。
そのしがみつく男の胸板は鍛えられているようで、ミシェルフォンには服越しに握った感触が初めての感覚だった。
一緒に移動していた他の男達が用意した焚き火を中心に、辺りは薄ぼんやりではあるが明るくなっていた、それを頼りに腕の中からくるりと周りを見渡す。

「降ろしてください」

ミシェルフォンが小さな声でお願いすると、誰かが運んでいたのだろう、大きな葛籠つづらかごの上に男はそっと降ろしてくれた。
今日自分に起きた出来事がミシェルフォンには信じられなかった、いやそうではない、信じたくなかった。
この2年間、人生で初めての穏やかで幸せな日々があっという間に音を立てて崩れた。
がミシェルフォンの目の前で息絶えた。

涙が溢れる⋯あとからあとからとめどなく

その様子を数名の男達が静かに見守っていた。

どのくらいの時間が経ったのか、涙を腕と手で擦りながら、ミシェルフォンはその身のたおやかさからは想像もできないほど力強く立ち上がった。

「絶対に許さない!」

「俺達も同じ気持ちだ」

今日初めて会ったその男がミシェルフォンの肩に手を置いて同意した。
男の方へ振り向きそのまま見上げると夜空には星が無数に瞬いていた、そして幾筋か流れた。

その流れた星に誓うようにミシェルフォンはもう一度力強く言い放つ。

「絶対に許さない!」

その誓いに男達も頷いて皆で星空を見上げた。



✎ ------------------------

新連載よろしくお願いします🙇‍♀

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