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第二章 アトルス王国にて
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「彼女の脳内は俺達にも周りにも分からない、だが分かる者が彼女の周りに居たんだよ。それが彼女の悪癖に拍車をかけた」
「⋯⋯⋯」
ユリアーナは何となくダイナスの言わんとする所が分かってきたような気がしたが、黙って聞いておくことにする。
「それがシモンとシモンの兄とその侍従だ」
「はあ~」
「何だ?」
「幼馴染だそうですね」
「何だ知ってたのか?シモンに聞いたのか?」
ダイナスの言葉にユリアーナは首を振って否定した。
「ファライナ様に教えて頂きました」
「そっか、まぁだからな。彼女はあまりにもその3人以外とはコミュニケーションが取れなかった。そんな時に侯爵夫人が亡くなって、ファライナ嬢の行く末を鑑みて侯爵は一旦領地に引っ込んだそうだ」
「えっ夫人が亡くなって憔悴していたからでは?」
「まぁそれもあるんじゃないか。ファライナ嬢の性格とか考えても嫡女には向いてないというより、人とコミュニケーションが取れなければ社交は難しいだろう、だから侯爵は婿にはしっかりとした後ろ盾を望んだんだ。だからシモンだった訳だけど」
「⋯⋯⋯男爵家の」
「何だそれも知ってるのか、まぁそうだな。でもそれは不可能だったんだ、その頃はな。だが状況が変わったのは彼女が家業に興味を持ってからだ。ファライナ嬢はコミュニケーションはポンコツなのに領地運営や家業には天才的な力を発揮したんだ」
「えっ?」
「意外だろう?俺も話してみて吃驚した。こうすればよろしいわって脳内で解決した話をするけれど、恐ろしく理に適ってて。社交以外だったら完璧な領主だった。だから男爵家の彼がある程度の力を付けたら認めるって言ってたらしいんだけど。何故そんな時に駆け落ちなのか、意味が分からないって侯爵が嘆いていてな」
ユリアーナはダイナスの話を聞いていて、途中から違和感を感じていた。あの日の話で、ファライナは確かに一方的に話していて、それはあまり相手がいて話しているとは言えない話し方ではあった。コミュニケーションが取れないというのも頷けた。
でも⋯⋯ファライナ様は⋯。
ユリアーナは自分がとんでもない勘違いをした様だと思った。
どうしよう
どうしよう
どうしよう
「ダイナス様、私どうすればよろしいですか?私のせいかもしれません」
「どういうことだ?」
「あの日、ファライナ様は何かを私に相談に来られたのです。でも私途中で感情的になってしまって、つい冷たく突き放すように言葉を投げてしまいました。彼女はあの日、脳内で解決して話なんてしていなかった。一生懸命に私に何とか分かってもらえるように話そうとしてくれたんです。なのに、なのに、そんな事も知らずに私。きっと私の言葉にショックを受けたのかもしれません。きっと彼女に含みなんか無くて、馬鹿にしたわけでもなくて、あぁどうしよう、私どうすればいいですか?」
取り乱すユリアーナの両肩に手をかけて、ダイナスは自分の方を向かせた。
「ユリアーナ落ち着け!」
ユリアーナは後悔で涙が溢れてきた。
「お前は知らなかったんだからしょうがないじゃないか。彼女の事を知ってれば、今みたいにわかったかもしれないけれど、お前は彼女の事を、性格もどんな話し方をするのかも知らなかったんだ。自分を責めるな!」
「でも⋯⋯でも」
ユリアーナは体が震えてきた。
駆け落ちなんて、してしまったらファライナは今後どうなってしまうのか?
もし何処かから話が漏れてしまったら彼女の将来は?
落ち込むユリアーナにダイナスは取り敢えず、今日は帰ろうと言って公爵家に送った。
その足でダイナスはシモンの所へと訪うのだった。
ユリアーナはその日、眠れぬ夜を過ごした。
◇◇◇
「ユリアーナ嬢、何だかファライナが君に迷惑をかけたんだろう?本当に申し訳ない」
ファライナの駆け落ちの話をダイナスから聞いた次の日、ユリアーナはシモンから突撃され謝罪を受けた。
「シモン様、謝罪なんて。謝るのは私の方です、私のせいなのです」
「それは違うんだユリアーナ嬢」
「えっ?違うとは?」
「ファライナは思考も言動も周りから見たらとんでもなく奇天烈な子だ、だから突発的な家出とかだったら有り得るかもしれないけれど、駆け落ちって云うなら本当に違う、カインがそんな事をするはずないんだよ」
シモンの言葉にはファライナというよりカインへの信頼が伺えた。
「あの二人が一緒にいるなら私は心配してなかったけれど、侯爵は親だからね、そりゃあファライナを心配もするだろう。そこをあまり考えずに侯爵が君と話したいと言うのを突っぱねてた私のミスだ。まさかダイナスに話を持っていくなんて、やっぱりファライナの親だなと思ったよ」
シモンが云うにはファライナの置き手紙を見て、ショーズ侯爵は直ぐにユリアーナと会ったことで何かあったと思い、シモンへ彼女との面会を懇願していたらしい。それをユリアーナに迷惑をかけたくなくてシモンは断っていた。シモンに断られてから侯爵は直ぐにダイナスに面会したそうだ。
それを聞いて何となく親子って似るんだなとユリアーナはシモンと同じ感想を持った。
「本当に私との話は関係ないんでしょうか?」
「あぁ、もしそうなら私に話しているはずだよ。だけど私は聞いてないからね」
「⋯⋯⋯でも、シモン様に内緒で来られたのでは?」
「それはそうだけど、ファライナはそんな子じゃないから」
シモンのその言葉で何故かユリアーナは胸がツキンと傷んだ、どうして痛むのか、ユリアーナは考えてはいけないとその痛みのまま胸に蓋をした。
「ファライナ様早く見つかるとよろしいけれど」
「ファライナは大丈夫、カインと一緒だからね」
痛みを誤魔化すようにユリアーナが早口で言うと、シモンは少し悲しそうな顔をしてユリアーナにそう言った。その悲しそうな顔を見て、ユリアーナはまたツキンと新たな痛みを感じるのだった。
「⋯⋯⋯」
ユリアーナは何となくダイナスの言わんとする所が分かってきたような気がしたが、黙って聞いておくことにする。
「それがシモンとシモンの兄とその侍従だ」
「はあ~」
「何だ?」
「幼馴染だそうですね」
「何だ知ってたのか?シモンに聞いたのか?」
ダイナスの言葉にユリアーナは首を振って否定した。
「ファライナ様に教えて頂きました」
「そっか、まぁだからな。彼女はあまりにもその3人以外とはコミュニケーションが取れなかった。そんな時に侯爵夫人が亡くなって、ファライナ嬢の行く末を鑑みて侯爵は一旦領地に引っ込んだそうだ」
「えっ夫人が亡くなって憔悴していたからでは?」
「まぁそれもあるんじゃないか。ファライナ嬢の性格とか考えても嫡女には向いてないというより、人とコミュニケーションが取れなければ社交は難しいだろう、だから侯爵は婿にはしっかりとした後ろ盾を望んだんだ。だからシモンだった訳だけど」
「⋯⋯⋯男爵家の」
「何だそれも知ってるのか、まぁそうだな。でもそれは不可能だったんだ、その頃はな。だが状況が変わったのは彼女が家業に興味を持ってからだ。ファライナ嬢はコミュニケーションはポンコツなのに領地運営や家業には天才的な力を発揮したんだ」
「えっ?」
「意外だろう?俺も話してみて吃驚した。こうすればよろしいわって脳内で解決した話をするけれど、恐ろしく理に適ってて。社交以外だったら完璧な領主だった。だから男爵家の彼がある程度の力を付けたら認めるって言ってたらしいんだけど。何故そんな時に駆け落ちなのか、意味が分からないって侯爵が嘆いていてな」
ユリアーナはダイナスの話を聞いていて、途中から違和感を感じていた。あの日の話で、ファライナは確かに一方的に話していて、それはあまり相手がいて話しているとは言えない話し方ではあった。コミュニケーションが取れないというのも頷けた。
でも⋯⋯ファライナ様は⋯。
ユリアーナは自分がとんでもない勘違いをした様だと思った。
どうしよう
どうしよう
どうしよう
「ダイナス様、私どうすればよろしいですか?私のせいかもしれません」
「どういうことだ?」
「あの日、ファライナ様は何かを私に相談に来られたのです。でも私途中で感情的になってしまって、つい冷たく突き放すように言葉を投げてしまいました。彼女はあの日、脳内で解決して話なんてしていなかった。一生懸命に私に何とか分かってもらえるように話そうとしてくれたんです。なのに、なのに、そんな事も知らずに私。きっと私の言葉にショックを受けたのかもしれません。きっと彼女に含みなんか無くて、馬鹿にしたわけでもなくて、あぁどうしよう、私どうすればいいですか?」
取り乱すユリアーナの両肩に手をかけて、ダイナスは自分の方を向かせた。
「ユリアーナ落ち着け!」
ユリアーナは後悔で涙が溢れてきた。
「お前は知らなかったんだからしょうがないじゃないか。彼女の事を知ってれば、今みたいにわかったかもしれないけれど、お前は彼女の事を、性格もどんな話し方をするのかも知らなかったんだ。自分を責めるな!」
「でも⋯⋯でも」
ユリアーナは体が震えてきた。
駆け落ちなんて、してしまったらファライナは今後どうなってしまうのか?
もし何処かから話が漏れてしまったら彼女の将来は?
落ち込むユリアーナにダイナスは取り敢えず、今日は帰ろうと言って公爵家に送った。
その足でダイナスはシモンの所へと訪うのだった。
ユリアーナはその日、眠れぬ夜を過ごした。
◇◇◇
「ユリアーナ嬢、何だかファライナが君に迷惑をかけたんだろう?本当に申し訳ない」
ファライナの駆け落ちの話をダイナスから聞いた次の日、ユリアーナはシモンから突撃され謝罪を受けた。
「シモン様、謝罪なんて。謝るのは私の方です、私のせいなのです」
「それは違うんだユリアーナ嬢」
「えっ?違うとは?」
「ファライナは思考も言動も周りから見たらとんでもなく奇天烈な子だ、だから突発的な家出とかだったら有り得るかもしれないけれど、駆け落ちって云うなら本当に違う、カインがそんな事をするはずないんだよ」
シモンの言葉にはファライナというよりカインへの信頼が伺えた。
「あの二人が一緒にいるなら私は心配してなかったけれど、侯爵は親だからね、そりゃあファライナを心配もするだろう。そこをあまり考えずに侯爵が君と話したいと言うのを突っぱねてた私のミスだ。まさかダイナスに話を持っていくなんて、やっぱりファライナの親だなと思ったよ」
シモンが云うにはファライナの置き手紙を見て、ショーズ侯爵は直ぐにユリアーナと会ったことで何かあったと思い、シモンへ彼女との面会を懇願していたらしい。それをユリアーナに迷惑をかけたくなくてシモンは断っていた。シモンに断られてから侯爵は直ぐにダイナスに面会したそうだ。
それを聞いて何となく親子って似るんだなとユリアーナはシモンと同じ感想を持った。
「本当に私との話は関係ないんでしょうか?」
「あぁ、もしそうなら私に話しているはずだよ。だけど私は聞いてないからね」
「⋯⋯⋯でも、シモン様に内緒で来られたのでは?」
「それはそうだけど、ファライナはそんな子じゃないから」
シモンのその言葉で何故かユリアーナは胸がツキンと傷んだ、どうして痛むのか、ユリアーナは考えてはいけないとその痛みのまま胸に蓋をした。
「ファライナ様早く見つかるとよろしいけれど」
「ファライナは大丈夫、カインと一緒だからね」
痛みを誤魔化すようにユリアーナが早口で言うと、シモンは少し悲しそうな顔をしてユリアーナにそう言った。その悲しそうな顔を見て、ユリアーナはまたツキンと新たな痛みを感じるのだった。
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