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第三章 葛藤
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「お義姉様」
2回目の声かけと同時にマリアンナはユリアーナの頬を伝う涙を優しく拭いている。
その様子は視界に入っている物のファライナが見つめるのは、ユリアーナの憐憫の眼差しだった。
その瞳に浮かぶ同情にファライナは段々とユリアーナが何を言いたいのか分かってきた。
(ユリアーナ様は知っている)
その事に気付いた時、ファライナは居たたまれず、デッキから船内の待合室まで急いで戻った。
彼女の背後からファライナを呼び止める声は聞こえていたけれど、知られているならもう彼女の前では何も出来ないと、設置された長椅子に腰掛けて額に手をやり天井を見上げた。
ファライナの両親は仲がとても良かった。
それは普通に考えれば円満家庭なのかもしれない。
だが両親はお互いが最愛であって、その間に生まれたファライナの事は、両親にとっては相手の付属としかその頃は思っていなかったのかも知れない。
仲の良い両親は度々ファライナを、幼い頃は乳母に少し成長すると侍女に任せて、観劇や夜会に出かけていた。その頻度は他の貴族家よりも多かったのも事実であった。
それがファライナには我慢できなかった。
両親にとっても自分が一番が良かった。
どうしてそう思ったのか、理由なんて何もない、兎に角彼女はその頃から良く両親に訊ねていた。
「おとうさま、おとうさまのいちばんすきなのはだぁれ?」
「それはファライナのお母様だよ、その次がファライナだな」
「⋯⋯」
「如何したファライナ?」
「⋯⋯⋯」
「おかあさま、おかあさまのいちばんすきなのはだぁれ?」
「それは旦那様よ、その次がファライナね」
「⋯⋯」
「どうしたのファライナ」
「⋯⋯⋯」
ある日ファライナは言ってみた。
いつものように母に訊ねたあと、やはり父だと言う母に侍女から聞き齧った言葉を言ってみる。
「どうしたのファライナ?」
「おかあさま、おかあさまのいちばんがファライナでないのなら、わたくししゅうどういんにいくことにします!」
侍女達が何の話でそれを話題にお喋りしていたのか、ファライナはそんな事はどうでも良かった。ただそこに行くと言えば両親が引き止めて、ファライナを一番にするかもしれない、そんな浅い考えで8歳のファライナは試しに言ってみた。
すると母が途端に慌てだした。
「何を言ってるの!だめよ修道院なんて」
「でもわたくしはおかあさまのいちばんではないのでしょう?」
その時、ファライナの母は子供の戯言と気にしなければ良かったのかもしれない。そんな事を軽々しく口に出してはならないと叱責しても良かったのかもしれない。だが、ファライナの母はそんなに深くは考えなかった。その場しのぎについ言ってしまった。
「まぁそんな悲しい事言っては駄目よ、お母様の一番はファライナよ」
そうしてファライナは自分が母の一番になれたのだと嬉しくて、それ以降もそんな幼稚な精神のまま育っていった。
この頃からファライナの母は体調を崩す様になる。元々丈夫ではなかったファライナの母は、闘病も虚しく儚くなってしまった。
それはファライナが13歳の時だった。
その時、父にとっての一番がファライナになったのだが、もうその頃には父の一番にファライナは拘ってはいなかった。
矛先は幼馴染のシモンへと移っていたのだった。
2回目の声かけと同時にマリアンナはユリアーナの頬を伝う涙を優しく拭いている。
その様子は視界に入っている物のファライナが見つめるのは、ユリアーナの憐憫の眼差しだった。
その瞳に浮かぶ同情にファライナは段々とユリアーナが何を言いたいのか分かってきた。
(ユリアーナ様は知っている)
その事に気付いた時、ファライナは居たたまれず、デッキから船内の待合室まで急いで戻った。
彼女の背後からファライナを呼び止める声は聞こえていたけれど、知られているならもう彼女の前では何も出来ないと、設置された長椅子に腰掛けて額に手をやり天井を見上げた。
ファライナの両親は仲がとても良かった。
それは普通に考えれば円満家庭なのかもしれない。
だが両親はお互いが最愛であって、その間に生まれたファライナの事は、両親にとっては相手の付属としかその頃は思っていなかったのかも知れない。
仲の良い両親は度々ファライナを、幼い頃は乳母に少し成長すると侍女に任せて、観劇や夜会に出かけていた。その頻度は他の貴族家よりも多かったのも事実であった。
それがファライナには我慢できなかった。
両親にとっても自分が一番が良かった。
どうしてそう思ったのか、理由なんて何もない、兎に角彼女はその頃から良く両親に訊ねていた。
「おとうさま、おとうさまのいちばんすきなのはだぁれ?」
「それはファライナのお母様だよ、その次がファライナだな」
「⋯⋯」
「如何したファライナ?」
「⋯⋯⋯」
「おかあさま、おかあさまのいちばんすきなのはだぁれ?」
「それは旦那様よ、その次がファライナね」
「⋯⋯」
「どうしたのファライナ」
「⋯⋯⋯」
ある日ファライナは言ってみた。
いつものように母に訊ねたあと、やはり父だと言う母に侍女から聞き齧った言葉を言ってみる。
「どうしたのファライナ?」
「おかあさま、おかあさまのいちばんがファライナでないのなら、わたくししゅうどういんにいくことにします!」
侍女達が何の話でそれを話題にお喋りしていたのか、ファライナはそんな事はどうでも良かった。ただそこに行くと言えば両親が引き止めて、ファライナを一番にするかもしれない、そんな浅い考えで8歳のファライナは試しに言ってみた。
すると母が途端に慌てだした。
「何を言ってるの!だめよ修道院なんて」
「でもわたくしはおかあさまのいちばんではないのでしょう?」
その時、ファライナの母は子供の戯言と気にしなければ良かったのかもしれない。そんな事を軽々しく口に出してはならないと叱責しても良かったのかもしれない。だが、ファライナの母はそんなに深くは考えなかった。その場しのぎについ言ってしまった。
「まぁそんな悲しい事言っては駄目よ、お母様の一番はファライナよ」
そうしてファライナは自分が母の一番になれたのだと嬉しくて、それ以降もそんな幼稚な精神のまま育っていった。
この頃からファライナの母は体調を崩す様になる。元々丈夫ではなかったファライナの母は、闘病も虚しく儚くなってしまった。
それはファライナが13歳の時だった。
その時、父にとっての一番がファライナになったのだが、もうその頃には父の一番にファライナは拘ってはいなかった。
矛先は幼馴染のシモンへと移っていたのだった。
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