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第三章 葛藤
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その日はセルシオとカインは一緒ではなかった。そろそろ後継者の教育が始まりファライナやシモンと同じ行動範囲ではなくなっていた。
それでもファライナはゲートラン公爵家に遊びに来る。
その頃には公爵家ではあまりファライナを歓迎するムードはなかった。何より嫡男は教育が始まり、シモンに至ってはファライナに全く興味を示さないのだから、彼女が来てしまうと幼いとはいえ侯爵令嬢を無碍にする訳にも行かないので、公爵家でも人を手配しなければならなかったから、公爵家の侍女長等は人手を割くのを手間に思っていた。
だから彼女が来るとシャルロッテに丸投げする事が、その頃には形として出来ていた。
ファライナは近所ということもあるのか、侯爵令嬢なのに連れて歩くのが一人の護衛とルーシーだけだったのだ。
何故シャルロッテが世話をすることになったのか、それはシモンがシャルロッテから離れなかったから、そのシモンに付き纏おうとファライナが近づくのだ、自然とその形になった。
その日もシモンが公爵家の庭の一画にある薬草園でシャルロッテと散歩がてら学んでいた所にファライナがやってきた。
彼女を見てもシモンは挨拶だけはするがそれ以上は殆ど話しかけない。何故ならシモンが話しかけるのは薬草の事を聞かせるだけで、薬草に全く興味がないファライナは彼の話を全く聞こうとしない、シモンはファライナに話しかけても無駄だと思うようになっていたからだ。どちらかといえばルーシーの方が相槌を打ったりするのも上手かったから、ルーシーに話しかけようとする傾向にあった。
それもファライナが邪魔をするので段々と少なくはなっていった。
シモンは自分の意志で相手にしなくてもシャルロッテはそうはいかない。侯爵令嬢に粗相があってはならないと、よく気にかけて話しかけたりしてその日もいつものように気を使っていた。
途中薬草園にある休憩所で喉の乾きを潤すために、お茶の休憩をする事になった。
シャルロッテがお茶の準備を始める、それをルーシーも手伝っていた。
だが喉を潤すだけなのでお菓子などのお茶菓子の用意は薬草園では手配しない。それにファライナが不満を言った。
困ったシャルロッテは屋敷の厨房に取りに行く事にした。
クッキー等の令嬢が喜びそうな物を皿に盛ってもらい、シャルロッテは喜ぶ。
シモンに懸命に話しかけるけれど相槌を打つシモンは明らかに惰性だと分かる。
それをいつもの如くファライナは自分の都合の良いように解釈する。
(シモンは照れ屋さんなのね)
お茶の時間が終わるタイミングでシモンの教師が彼を迎えにくる、これはいつもの事だった。
シモンが教師に連れられて居なくなるとシャルロッテがファライナを門まで送る、これもいつもの事だった。
だがその日はいつもと違う事があった。
収束してきた流行り病の進捗を公爵領に確認に行く事をシャルロッテが公爵に命じられていたのだ。
シモンが側にいないシャルロッテの外出。
これをファライナもその人物も待っていた。
「まぁシャルロッテは今日から公爵領に行くの?」
「はい、旦那様に頼まれました」
薬草園から門までの道すがらシャルロッテとファライナの他愛も無い会話。
主人に任された仕事を何の気なしにシャルロッテは子供のファライナに聞かせる。極秘任務ででもあったなら違っていただろう。仕事内容を子供に聞かせるなどと云う愚行をシャルロッテがするわけないのだから。
その話を聞いてファライナはシャルロッテの手を握った。いつもは繋がぬ手を握るファライナにシャルロッテは驚くとともに喜びも感じた。
なかなか懐いてくれなかったファライナが自分から手を握ったからだ。
「ふふっシャルロッテの手は変わってるのね」
「も、申し訳ありません」
薬師のシャルロッテの手の先は薬草を扱うから緑色だ。思わずシャルロッテは手を離し謝罪した。
「大丈夫よあなたの手を触ってみたかったの」
(もう会えないものね)
その時丁度門に辿り着いた。
「ではファライナ様、お気をつけてお帰りくださいませ。護衛様、ルーシーさん、お嬢様をよろしくお願いします」
「シャルロッテさようなら」
ファライナの別れの挨拶にシャルロッテは微笑んでから頭を深々と下げた。
その様子を一瞥したファライナの瞳は子供とは思えない程暗く淀んでいた。
シャルロッテの姿が消えたのはその日からだった。
それでもファライナはゲートラン公爵家に遊びに来る。
その頃には公爵家ではあまりファライナを歓迎するムードはなかった。何より嫡男は教育が始まり、シモンに至ってはファライナに全く興味を示さないのだから、彼女が来てしまうと幼いとはいえ侯爵令嬢を無碍にする訳にも行かないので、公爵家でも人を手配しなければならなかったから、公爵家の侍女長等は人手を割くのを手間に思っていた。
だから彼女が来るとシャルロッテに丸投げする事が、その頃には形として出来ていた。
ファライナは近所ということもあるのか、侯爵令嬢なのに連れて歩くのが一人の護衛とルーシーだけだったのだ。
何故シャルロッテが世話をすることになったのか、それはシモンがシャルロッテから離れなかったから、そのシモンに付き纏おうとファライナが近づくのだ、自然とその形になった。
その日もシモンが公爵家の庭の一画にある薬草園でシャルロッテと散歩がてら学んでいた所にファライナがやってきた。
彼女を見てもシモンは挨拶だけはするがそれ以上は殆ど話しかけない。何故ならシモンが話しかけるのは薬草の事を聞かせるだけで、薬草に全く興味がないファライナは彼の話を全く聞こうとしない、シモンはファライナに話しかけても無駄だと思うようになっていたからだ。どちらかといえばルーシーの方が相槌を打ったりするのも上手かったから、ルーシーに話しかけようとする傾向にあった。
それもファライナが邪魔をするので段々と少なくはなっていった。
シモンは自分の意志で相手にしなくてもシャルロッテはそうはいかない。侯爵令嬢に粗相があってはならないと、よく気にかけて話しかけたりしてその日もいつものように気を使っていた。
途中薬草園にある休憩所で喉の乾きを潤すために、お茶の休憩をする事になった。
シャルロッテがお茶の準備を始める、それをルーシーも手伝っていた。
だが喉を潤すだけなのでお菓子などのお茶菓子の用意は薬草園では手配しない。それにファライナが不満を言った。
困ったシャルロッテは屋敷の厨房に取りに行く事にした。
クッキー等の令嬢が喜びそうな物を皿に盛ってもらい、シャルロッテは喜ぶ。
シモンに懸命に話しかけるけれど相槌を打つシモンは明らかに惰性だと分かる。
それをいつもの如くファライナは自分の都合の良いように解釈する。
(シモンは照れ屋さんなのね)
お茶の時間が終わるタイミングでシモンの教師が彼を迎えにくる、これはいつもの事だった。
シモンが教師に連れられて居なくなるとシャルロッテがファライナを門まで送る、これもいつもの事だった。
だがその日はいつもと違う事があった。
収束してきた流行り病の進捗を公爵領に確認に行く事をシャルロッテが公爵に命じられていたのだ。
シモンが側にいないシャルロッテの外出。
これをファライナもその人物も待っていた。
「まぁシャルロッテは今日から公爵領に行くの?」
「はい、旦那様に頼まれました」
薬草園から門までの道すがらシャルロッテとファライナの他愛も無い会話。
主人に任された仕事を何の気なしにシャルロッテは子供のファライナに聞かせる。極秘任務ででもあったなら違っていただろう。仕事内容を子供に聞かせるなどと云う愚行をシャルロッテがするわけないのだから。
その話を聞いてファライナはシャルロッテの手を握った。いつもは繋がぬ手を握るファライナにシャルロッテは驚くとともに喜びも感じた。
なかなか懐いてくれなかったファライナが自分から手を握ったからだ。
「ふふっシャルロッテの手は変わってるのね」
「も、申し訳ありません」
薬師のシャルロッテの手の先は薬草を扱うから緑色だ。思わずシャルロッテは手を離し謝罪した。
「大丈夫よあなたの手を触ってみたかったの」
(もう会えないものね)
その時丁度門に辿り着いた。
「ではファライナ様、お気をつけてお帰りくださいませ。護衛様、ルーシーさん、お嬢様をよろしくお願いします」
「シャルロッテさようなら」
ファライナの別れの挨拶にシャルロッテは微笑んでから頭を深々と下げた。
その様子を一瞥したファライナの瞳は子供とは思えない程暗く淀んでいた。
シャルロッテの姿が消えたのはその日からだった。
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