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私のせいではありません
【28】
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二人の対談中に珍客の訪れをマリーが耳打ちしてきた。
ユメールが今会っているのは帝国の皇子だ。
格上の国の次期皇太子でもある彼と居るのに、その客は約束無しで無礼千万であるにも関わらず、空気も読まずにやって来たらしい。
後で絡まれるのも面倒くさいし、この会話もイライラしてきたのも合ってユメールは皇子に許可を取ろうと口を開く。
「皇子、我が国の第一王子が目通りしたいと参じております。如何致しますか?」
普段ならきっと、いや絶対に断るであろうその人をこの場に参加させようとしたユメールにマリーは驚いた。
(ユメール様相当傷付いたのね)
主の心中を慮ってマリーは不敬ながら皇子の返事を待たずして扉を開けたのであった。
「やぁやぁ帝国の皇子殿、我が妹のご機嫌伺い感謝いたします」
乗っけからカマしてきたアルフォンスにユメールは呆れてしまう。
「アルフォンス殿、お久しぶりですね。一昨日以来ですか?」
全然久しぶりじゃない発言をしたアントリックもその口撃に受けて立つ構えだ。
ユメールはもう勝手にしてくれとばかりに人形に徹していた。
三つ巴の三竦みには成らずアルフォンスはドカッとユメールの隣に座った。
(あらお兄様珍しい)
アルフォンスはあまり他の者と同じ椅子には座らない。基本が一人掛けなのだ。
だが今日は意図があるのかないのか、ユメールの隣に座った。
「で、アレは引き取ったのに何をしに来られたのかな?妹のご機嫌よりも愛妾のご機嫌でも取っていたら如何か?態々婚約しに訪れた国にまで連れ添ったのだから。なっ!ユメール」
「なっ愛妾等と。彼女は私の侍女です」
「些か侍女の態度を逸していたようだったが?なっ!ユメール」
何故いちいち同意を得ようとするのか。
心の中で溜息は出るが、兄にどんな思惑があろうとも今はユメールの味方になって援護射撃をしてくれている。
ユメールは有難く乗っかろうと、この場は兄に任せて人形を継続した。
「それはそうですが私と彼女には何ら疚しい関係はありません、彼女には厳しい罰を与えます」
「で、何故同行を?侍女不足なのか?なっ!ユメール」
いい加減執拗い
「いえ今回は帯同は許しておりませんでした、勝手にいつの間にか付いてきていて、気付いたのは此方に来てからなのです」
「フム、よっぽど甘やかしたんだね。なっ!ユメール」
「⋯⋯」
「そうかもしれません、ですから今後はこんなことのないように」
「それでは妹は嫁になんかやれないなぁ」
ここでお決まりの言葉が出なくてユメールは心の中で転ける。
「なっ!ですが私が好きなのはユメールです、婚姻したいと思うのもユメールだけです、絶対に帝国へ連れて行きます!」
「ならばアントリック殿、何故その侍女とやらを引き取りに来た」
ユメールは吃驚した、兄のアルフォンスの顔が鬼の形相でユメールが初めて目にした表情だったから。
何時も何を考えてるか解らない下がりっぱなしの目尻を釣り上げ、眼光が恐ろしくカッと見開いている。
皮肉しか紡ぎ出せない口元は怒りに震えているようでギュッと引き締めている。
(こんなお兄様見たことがない、如何されたのかしら?)
「引き取るようにと連絡を此方から貰ったからです」
「で、その者を帝国に連れて帰って、また我が妹に、何の落ち度もないただ貴殿が望んだからという理由だけで婚約者になった我が国の第二王女にまた同じ仕打ちをするおつもりか?」
「そんなことは二度とありません」
「何故そう言い切れる、その者は君の言う事を軽んじている、そしてそれでも許されている。二度としないなんてあるはずがない、また同じ事をしても、おそらく貴殿は二度とするなよと繰り返すだけだろう」
「⋯⋯」
「本当にその者とは主と侍女と言う関係だけであるならば貴殿の行いは解せぬ。今回の事は一度ならず二度もユメールを貶めているのに貴殿は許した、だから引き取りに来たのであろう。だが本当に私の妹を大事と思っているのならば迎えに来るべきではなかった、捨て置いてどうとでもしてくれと言うのがユメールに対しての誠実さだ。アントリック殿帝国が何をしてもいいとなったらそれは暴挙だ!君の侍女は暴挙を我が妹にしたんだぞ。聞いておるか?あの者はユメールに帝国の人事に口を出すな、と言った。皇子の正式な婚約者にそれを言った者を皇子が許せばユメールは帝国に行ったところで侮られるのは目に見えてる、君の過ちが何であるかわかったかな?だからもう妹は諦めてくれ、そんな甘っちょろい皇子にやるわけには行かぬ」
何時も揶揄うばかりの兄のお陰でユメールの溜飲が下がった。
ユメールが今会っているのは帝国の皇子だ。
格上の国の次期皇太子でもある彼と居るのに、その客は約束無しで無礼千万であるにも関わらず、空気も読まずにやって来たらしい。
後で絡まれるのも面倒くさいし、この会話もイライラしてきたのも合ってユメールは皇子に許可を取ろうと口を開く。
「皇子、我が国の第一王子が目通りしたいと参じております。如何致しますか?」
普段ならきっと、いや絶対に断るであろうその人をこの場に参加させようとしたユメールにマリーは驚いた。
(ユメール様相当傷付いたのね)
主の心中を慮ってマリーは不敬ながら皇子の返事を待たずして扉を開けたのであった。
「やぁやぁ帝国の皇子殿、我が妹のご機嫌伺い感謝いたします」
乗っけからカマしてきたアルフォンスにユメールは呆れてしまう。
「アルフォンス殿、お久しぶりですね。一昨日以来ですか?」
全然久しぶりじゃない発言をしたアントリックもその口撃に受けて立つ構えだ。
ユメールはもう勝手にしてくれとばかりに人形に徹していた。
三つ巴の三竦みには成らずアルフォンスはドカッとユメールの隣に座った。
(あらお兄様珍しい)
アルフォンスはあまり他の者と同じ椅子には座らない。基本が一人掛けなのだ。
だが今日は意図があるのかないのか、ユメールの隣に座った。
「で、アレは引き取ったのに何をしに来られたのかな?妹のご機嫌よりも愛妾のご機嫌でも取っていたら如何か?態々婚約しに訪れた国にまで連れ添ったのだから。なっ!ユメール」
「なっ愛妾等と。彼女は私の侍女です」
「些か侍女の態度を逸していたようだったが?なっ!ユメール」
何故いちいち同意を得ようとするのか。
心の中で溜息は出るが、兄にどんな思惑があろうとも今はユメールの味方になって援護射撃をしてくれている。
ユメールは有難く乗っかろうと、この場は兄に任せて人形を継続した。
「それはそうですが私と彼女には何ら疚しい関係はありません、彼女には厳しい罰を与えます」
「で、何故同行を?侍女不足なのか?なっ!ユメール」
いい加減執拗い
「いえ今回は帯同は許しておりませんでした、勝手にいつの間にか付いてきていて、気付いたのは此方に来てからなのです」
「フム、よっぽど甘やかしたんだね。なっ!ユメール」
「⋯⋯」
「そうかもしれません、ですから今後はこんなことのないように」
「それでは妹は嫁になんかやれないなぁ」
ここでお決まりの言葉が出なくてユメールは心の中で転ける。
「なっ!ですが私が好きなのはユメールです、婚姻したいと思うのもユメールだけです、絶対に帝国へ連れて行きます!」
「ならばアントリック殿、何故その侍女とやらを引き取りに来た」
ユメールは吃驚した、兄のアルフォンスの顔が鬼の形相でユメールが初めて目にした表情だったから。
何時も何を考えてるか解らない下がりっぱなしの目尻を釣り上げ、眼光が恐ろしくカッと見開いている。
皮肉しか紡ぎ出せない口元は怒りに震えているようでギュッと引き締めている。
(こんなお兄様見たことがない、如何されたのかしら?)
「引き取るようにと連絡を此方から貰ったからです」
「で、その者を帝国に連れて帰って、また我が妹に、何の落ち度もないただ貴殿が望んだからという理由だけで婚約者になった我が国の第二王女にまた同じ仕打ちをするおつもりか?」
「そんなことは二度とありません」
「何故そう言い切れる、その者は君の言う事を軽んじている、そしてそれでも許されている。二度としないなんてあるはずがない、また同じ事をしても、おそらく貴殿は二度とするなよと繰り返すだけだろう」
「⋯⋯」
「本当にその者とは主と侍女と言う関係だけであるならば貴殿の行いは解せぬ。今回の事は一度ならず二度もユメールを貶めているのに貴殿は許した、だから引き取りに来たのであろう。だが本当に私の妹を大事と思っているのならば迎えに来るべきではなかった、捨て置いてどうとでもしてくれと言うのがユメールに対しての誠実さだ。アントリック殿帝国が何をしてもいいとなったらそれは暴挙だ!君の侍女は暴挙を我が妹にしたんだぞ。聞いておるか?あの者はユメールに帝国の人事に口を出すな、と言った。皇子の正式な婚約者にそれを言った者を皇子が許せばユメールは帝国に行ったところで侮られるのは目に見えてる、君の過ちが何であるかわかったかな?だからもう妹は諦めてくれ、そんな甘っちょろい皇子にやるわけには行かぬ」
何時も揶揄うばかりの兄のお陰でユメールの溜飲が下がった。
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