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最終章
【76】
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ナリシティ襲撃の報告から3日経っても経緯がはっきりしない。
国王以下皆が焦燥に駆られモンマルトルの議会は混乱を極めている。
混乱は襲撃の事だけではなかった、その会議に大陸筆頭のサザン帝国皇帝が出席している事も皆一様に焦りを覚える。
先日同盟が結ばれたばかりで、議会に参加している貴族の末端には、その同盟自体が初耳の者もいた。
国王のその強引な進め方が今迄無かった事も貴族達の混乱には一役買っている。
其れを追求したくても国で人気の高いユメールが襲撃された対策会議で、口にするのは憚られた。
藪蛇で逆に追求されてしまうからだ。
勿論この会議にアントリックの姿はない。
報告を受けて直ぐにノルティやセレビアンと共にナリシティへ出発している。
誰が何の為に。
大陸の二大国が事件を速やかに知る事が叶わないほど謎に包まれていた。
国王は騎士団に応援を指示したが元よりユメールの護衛には大人数登用されており、あまり多くを派遣できない。
王都が手薄になっては本末転倒の恐れもあるからだ。
モンマルトル国王の疲労は尋常ではなかった。
目に入れても痛くない程にユメールを愛していたから。
国の有り様に拠って幼い頃から蜜に交流を持てないひとり娘に、可愛がりたくても可愛がれない大人の事情が邪魔をしていた。
本来なら国内の有力貴族に嫁がせて無理やり叙爵させて公爵にしてしまおうと考える位には、愛を手向けていた。
その娘の“命はある”という事しか解っていない今の現状に、人知れず苦悩していた。
一度は手放したが戻ってきた事により、二度と手放さぬという誓いも第一王子により却下されて意気消沈していた後の出来事なのだ。
国王は気丈にしてはいたが心の中では急ぎナリシティに旅立ちたかった。
アルフォンスもまた、こんな時にのんびりと会議など出来るかと言わんばかりに、騎士団に赴きセレビアンの代わりに陣頭指揮を取っていた。
面倒くさい会議など国内に任せておけば良いという考えだ。
兎に角情報、情報が足りない。
王家の“鷹”を空からも陸からも飛ばしていた。
其処へ待望の報せがあった。
先日城を出発した第二王子からだった。
その報告の紙を見て急ぎ会議室へ向かう。
会議室では異様な空気の中、何時もの活発な議論は見受けられなかった。
誰もが黙りを決め議会が討論を放棄してる現状であった。
そんな中アルフォンスは中に進み皇帝にその紙を見せると、皇帝の口が歪む。
「軍隊派だ」
一言漏らすと彼は怒りを顕にする。
「帝国軍を動かす」
そうアルフォンスに言ったが、彼が其れを止めた。
「其れは今は必要ない」
「何?」
「おそらく軍隊派だけではないでしょう。このメルナールと言う者の立ち位置は?」
「下っ端だな、そういえばユメが帝国に来た早々揉めた男だ」
「なるほど」
アルフォンスと皇帝は二人にしか聞こえない音量で話していた為、参加していた貴族は訝しんでいたが、不意に国王が皆に議会の散開を申し渡した。
「陛下!まだ何も話し合われていないです!」
「此れからどうすれば⋯」
口々に不満を漏らす貴族達を残し国王は大会議室を離れ自分の執務室へ向かう。
皇帝とアルフォンスは連れ立って別室へ向かった。
大会議室では未だに口々に叫ぶ声が廊下にまで漏れていた。
その中を縫って二人の貴族が別室に向かった。
アーマリー公爵と宰相。
4人の密談が始まった。
国王以下皆が焦燥に駆られモンマルトルの議会は混乱を極めている。
混乱は襲撃の事だけではなかった、その会議に大陸筆頭のサザン帝国皇帝が出席している事も皆一様に焦りを覚える。
先日同盟が結ばれたばかりで、議会に参加している貴族の末端には、その同盟自体が初耳の者もいた。
国王のその強引な進め方が今迄無かった事も貴族達の混乱には一役買っている。
其れを追求したくても国で人気の高いユメールが襲撃された対策会議で、口にするのは憚られた。
藪蛇で逆に追求されてしまうからだ。
勿論この会議にアントリックの姿はない。
報告を受けて直ぐにノルティやセレビアンと共にナリシティへ出発している。
誰が何の為に。
大陸の二大国が事件を速やかに知る事が叶わないほど謎に包まれていた。
国王は騎士団に応援を指示したが元よりユメールの護衛には大人数登用されており、あまり多くを派遣できない。
王都が手薄になっては本末転倒の恐れもあるからだ。
モンマルトル国王の疲労は尋常ではなかった。
目に入れても痛くない程にユメールを愛していたから。
国の有り様に拠って幼い頃から蜜に交流を持てないひとり娘に、可愛がりたくても可愛がれない大人の事情が邪魔をしていた。
本来なら国内の有力貴族に嫁がせて無理やり叙爵させて公爵にしてしまおうと考える位には、愛を手向けていた。
その娘の“命はある”という事しか解っていない今の現状に、人知れず苦悩していた。
一度は手放したが戻ってきた事により、二度と手放さぬという誓いも第一王子により却下されて意気消沈していた後の出来事なのだ。
国王は気丈にしてはいたが心の中では急ぎナリシティに旅立ちたかった。
アルフォンスもまた、こんな時にのんびりと会議など出来るかと言わんばかりに、騎士団に赴きセレビアンの代わりに陣頭指揮を取っていた。
面倒くさい会議など国内に任せておけば良いという考えだ。
兎に角情報、情報が足りない。
王家の“鷹”を空からも陸からも飛ばしていた。
其処へ待望の報せがあった。
先日城を出発した第二王子からだった。
その報告の紙を見て急ぎ会議室へ向かう。
会議室では異様な空気の中、何時もの活発な議論は見受けられなかった。
誰もが黙りを決め議会が討論を放棄してる現状であった。
そんな中アルフォンスは中に進み皇帝にその紙を見せると、皇帝の口が歪む。
「軍隊派だ」
一言漏らすと彼は怒りを顕にする。
「帝国軍を動かす」
そうアルフォンスに言ったが、彼が其れを止めた。
「其れは今は必要ない」
「何?」
「おそらく軍隊派だけではないでしょう。このメルナールと言う者の立ち位置は?」
「下っ端だな、そういえばユメが帝国に来た早々揉めた男だ」
「なるほど」
アルフォンスと皇帝は二人にしか聞こえない音量で話していた為、参加していた貴族は訝しんでいたが、不意に国王が皆に議会の散開を申し渡した。
「陛下!まだ何も話し合われていないです!」
「此れからどうすれば⋯」
口々に不満を漏らす貴族達を残し国王は大会議室を離れ自分の執務室へ向かう。
皇帝とアルフォンスは連れ立って別室へ向かった。
大会議室では未だに口々に叫ぶ声が廊下にまで漏れていた。
その中を縫って二人の貴族が別室に向かった。
アーマリー公爵と宰相。
4人の密談が始まった。
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