【完結】マリナの再婚

maruko

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元夫の事情

テーラー子爵

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「お父様、取り敢えず私の育った環境のみ伝えます。別に伝えるつもりはなかったのですけれど叔母の所業を解ってもらわないとお母様を手放してはくれないでしょう?」

「話しは聞く!だがソフィアはソフィアと離さないでほしい」

それを何故娘にしてくれなかったのかと、ちょっと年甲斐もなくいじけそうになった。

複雑な気持ちがモヤモヤと出てきた時に客の訪いを告げられた。

伝えに来たのは兄の奥様だった。
昨日初めて会った義姉である。

「誰だ!今日の訪問の約束などないぞ」

「それが⋯テーラー子爵と仰っていてマリナ様にお取り次ぎをお願いされたの」

義姉の言葉にテーラー子爵とは?と考えてもしかして嘗ての上司ではないかと思った。

「⋯⋯会いますわ、ありがとうございます」

義姉は私がお礼を言うと吃驚した顔をされています。
なぜかしら?

父の執務室の隣に応接室があった事を初めて知ったなぁと思いながら部屋に入るとやはりテーラーだった。
降格されたのだろうか?
聞いていないのでこういった場合、失礼のない態度とは等と考えながら会釈をした。

何故か父が付いてくるのだが邸の主なので文句が言えない。

「お久しぶりですテーラー様」

「マリナ嬢お久しぶりです」

お互いの挨拶に始まったが、それから直ぐに彼の訪問の意図が解った。
テーラー子爵は立ち上がり深々と頭を下げて私へと謝罪をした。

「愚息の行いで大変迷惑をかけてすまなかった」

テーラー子爵の謝罪は親の当然の行いだと理解して、私は謝罪を受け入れた。
彼は私が居なくなったあと探していたそうだ。
今回何故ここに来たかというとカイルに聞いたらしい。

「謝罪を受け入れましたので、そんなに頭を下げないで下さい。嘗ての上司に下げられると変な気持ちになりますし」

「だが君達は結局離婚してしまった」

「それは子爵のせいではないです、子息様の行いはきっかけにはなったのでしょうが最終的にはカイルが望んだことでもあったのですから」

「それなんだが⋯君は聞いていないだろう?」

「?」

「私はカイル殿から君が誤解をしている事を昨日聞いたんだ」

「誤解ですか?」

「あぁ彼は自分で話すと言ったが君の気性を考えたらきっともう会わないと思っていると私は考えた、だからせめて愚息のした行いは話しておこうと思って慌ててきたので先触れさえも出さずに申し訳ない」

そう言ってテーラー子爵は父にも頭を下げました。

「君はカイルの噂を私の甥から聞いたのだろう?」

「えぇ街でばったりあってその時に聞きました。カイルが女性と子供と暮らしていると、しかも辺境の騎士団の寮で、そう聞きました」

「それは全て愚息が甥に流した嘘なんだ」

「えっ?でも⋯昨日カイルは否定しませんでしたけど⋯」

「中身は嘘でもそういう噂があったのは本当なんだ、だが実情は違う」

何がなんだかわからなくなってきた。
でも昨日は親子で街を歩いていた、何よりも考えたのは、ではなぜ離婚なのか?

私が離婚に同意したのはカイルの心変わりを確信したからだ。
あの離婚届で自分は捨てられたのだ、他の女にカイルを取られたのだと感じたからだ。

それが全て⋯⋯嘘?

ではなぜ離婚を⋯⋯?

私は疑問しか頭の中には浮かばなかった。

「でも、ではなぜ。いえ昨日も親子連れでしたし」

「その件も聞いているがこの先は私が話すべきではないし、カイル殿も自分で話したいだろう。だから知っているけど話さない、それでも君の希望であれば私は話すのは厭わない、君の望むことをするのが少しでも役に立つなら償いをしたいと思っている」

テーラー子爵は本当に責任を感じていることはひしひしと私には伝わりました。

何か理由があるなら聞きたいという衝動もあります。
何よりロイドの為に聞くべきなのも解る。
でも子爵が言うように聞くならばカイルから聞かなければ意味がないように思えた。

その後、子爵は近況を報告してくれた。

新聞にも載っていないけれど隣国との戦は鎮圧してきたそうで、そろそろ終結する運びになりそうだと言った。

子爵は今騎士団で以前の部署と違う部署で働いているそうだ。
かなりの降格をしたみたいで彼の苦労は計り知れないだろうと思った。

でも子爵は子息の罪を己の罪として甘んじて勤めているのだろう。

表情には一切の曇りがないように見受けられた。

私は子爵にロイドと会ってもらいたいという衝動に何故か駆られた。
父の侍従にお願いして連れてきてもらう。

ロイドは母に手を引かれて入ってきた。

「ははうえ~」

そう言って私の膝に耳をにつけながら言う。
これはロイドが甘えたい時の仕草だ。

「ロイド紹介したい人がいるの」

「ちょうかい?」

「そうよお母様の知り合いでテーラー子爵よ」

テーラー子爵はロイドを見てカイルを思い出したのだろう、目を細めていたがニコニコし始めた。

「初めましてロイド君、テーラー子爵ですよろしく」

「りょいどでしゅちぇーらーちちゃく」

ロイドは姿勢を正して昨日のように深々と頭を下げ、昨日と同じ様に頭突きをする勢いであった。

それにしても“ち”が多いなと思いながら未だ下げたままのロイドの頭を起こして上げた。




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