17 / 53
元夫の事情
テーラー子爵
しおりを挟む
「お父様、取り敢えず私の育った環境のみ伝えます。別に伝えるつもりはなかったのですけれど叔母の所業を解ってもらわないとお母様を手放してはくれないでしょう?」
「話しは聞く!だがソフィアはソフィアと離さないでほしい」
それを何故娘にしてくれなかったのかと、ちょっと年甲斐もなくいじけそうになった。
複雑な気持ちがモヤモヤと出てきた時に客の訪いを告げられた。
伝えに来たのは兄の奥様だった。
昨日初めて会った義姉である。
「誰だ!今日の訪問の約束などないぞ」
「それが⋯テーラー子爵と仰っていてマリナ様にお取り次ぎをお願いされたの」
義姉の言葉にテーラー子爵とは?と考えてもしかして嘗ての上司ではないかと思った。
「⋯⋯会いますわ、ありがとうございます」
義姉は私がお礼を言うと吃驚した顔をされています。
なぜかしら?
父の執務室の隣に応接室があった事を初めて知ったなぁと思いながら部屋に入るとやはりテーラー伯爵だった。
降格されたのだろうか?
聞いていないのでこういった場合、失礼のない態度とは等と考えながら会釈をした。
何故か父が付いてくるのだが邸の主なので文句が言えない。
「お久しぶりですテーラー様」
「マリナ嬢お久しぶりです」
お互いの挨拶に始まったが、それから直ぐに彼の訪問の意図が解った。
テーラー子爵は立ち上がり深々と頭を下げて私へと謝罪をした。
「愚息の行いで大変迷惑をかけてすまなかった」
テーラー子爵の謝罪は親の当然の行いだと理解して、私は謝罪を受け入れた。
彼は私が居なくなったあと探していたそうだ。
今回何故ここに来たかというとカイルに聞いたらしい。
「謝罪を受け入れましたので、そんなに頭を下げないで下さい。嘗ての上司に下げられると変な気持ちになりますし」
「だが君達は結局離婚してしまった」
「それは子爵のせいではないです、子息様の行いはきっかけにはなったのでしょうが最終的にはカイルが望んだことでもあったのですから」
「それなんだが⋯君は聞いていないだろう?」
「?」
「私はカイル殿から君が誤解をしている事を昨日聞いたんだ」
「誤解ですか?」
「あぁ彼は自分で話すと言ったが君の気性を考えたらきっともう会わないと思っていると私は考えた、だからせめて愚息のした行いは話しておこうと思って慌ててきたので先触れさえも出さずに申し訳ない」
そう言ってテーラー子爵は父にも頭を下げました。
「君はカイルの噂を私の甥から聞いたのだろう?」
「えぇ街でばったりあってその時に聞きました。カイルが女性と子供と暮らしていると、しかも辺境の騎士団の寮で、そう聞きました」
「それは全て愚息が甥に流した嘘なんだ」
「えっ?でも⋯昨日カイルは否定しませんでしたけど⋯」
「中身は嘘でもそういう噂があったのは本当なんだ、だが実情は違う」
何がなんだかわからなくなってきた。
でも昨日は親子で街を歩いていた、何よりも考えたのは、ではなぜ離婚なのか?
私が離婚に同意したのはカイルの心変わりを確信したからだ。
あの離婚届で自分は捨てられたのだ、他の女にカイルを取られたのだと感じたからだ。
それが全て⋯⋯嘘?
ではなぜ離婚を⋯⋯?
私は疑問しか頭の中には浮かばなかった。
「でも、ではなぜ。いえ昨日も親子連れでしたし」
「その件も聞いているがこの先は私が話すべきではないし、カイル殿も自分で話したいだろう。だから知っているけど話さない、それでも君の希望であれば私は話すのは厭わない、君の望むことをするのが少しでも役に立つなら償いをしたいと思っている」
テーラー子爵は本当に責任を感じていることはひしひしと私には伝わりました。
何か理由があるなら聞きたいという衝動もあります。
何よりロイドの為に聞くべきなのも解る。
でも子爵が言うように聞くならばカイルから聞かなければ意味がないように思えた。
その後、子爵は近況を報告してくれた。
新聞にも載っていないけれど隣国との戦は鎮圧してきたそうで、そろそろ終結する運びになりそうだと言った。
子爵は今騎士団で以前の部署と違う部署で働いているそうだ。
かなりの降格をしたみたいで彼の苦労は計り知れないだろうと思った。
でも子爵は子息の罪を己の罪として甘んじて勤めているのだろう。
表情には一切の曇りがないように見受けられた。
私は子爵にロイドと会ってもらいたいという衝動に何故か駆られた。
父の侍従にお願いして連れてきてもらう。
ロイドは母に手を引かれて入ってきた。
「ははうえ~」
そう言って私の膝に耳をにつけながら言う。
これはロイドが甘えたい時の仕草だ。
「ロイド紹介したい人がいるの」
「ちょうかい?」
「そうよお母様の知り合いでテーラー子爵よ」
テーラー子爵はロイドを見てカイルを思い出したのだろう、目を細めていたがニコニコし始めた。
「初めましてロイド君、テーラー子爵ですよろしく」
「りょいどでしゅちぇーらーちちゃく」
ロイドは姿勢を正して昨日のように深々と頭を下げ、昨日と同じ様に頭突きをする勢いであった。
それにしても“ち”が多いなと思いながら未だ下げたままのロイドの頭を起こして上げた。
「話しは聞く!だがソフィアはソフィアと離さないでほしい」
それを何故娘にしてくれなかったのかと、ちょっと年甲斐もなくいじけそうになった。
複雑な気持ちがモヤモヤと出てきた時に客の訪いを告げられた。
伝えに来たのは兄の奥様だった。
昨日初めて会った義姉である。
「誰だ!今日の訪問の約束などないぞ」
「それが⋯テーラー子爵と仰っていてマリナ様にお取り次ぎをお願いされたの」
義姉の言葉にテーラー子爵とは?と考えてもしかして嘗ての上司ではないかと思った。
「⋯⋯会いますわ、ありがとうございます」
義姉は私がお礼を言うと吃驚した顔をされています。
なぜかしら?
父の執務室の隣に応接室があった事を初めて知ったなぁと思いながら部屋に入るとやはりテーラー伯爵だった。
降格されたのだろうか?
聞いていないのでこういった場合、失礼のない態度とは等と考えながら会釈をした。
何故か父が付いてくるのだが邸の主なので文句が言えない。
「お久しぶりですテーラー様」
「マリナ嬢お久しぶりです」
お互いの挨拶に始まったが、それから直ぐに彼の訪問の意図が解った。
テーラー子爵は立ち上がり深々と頭を下げて私へと謝罪をした。
「愚息の行いで大変迷惑をかけてすまなかった」
テーラー子爵の謝罪は親の当然の行いだと理解して、私は謝罪を受け入れた。
彼は私が居なくなったあと探していたそうだ。
今回何故ここに来たかというとカイルに聞いたらしい。
「謝罪を受け入れましたので、そんなに頭を下げないで下さい。嘗ての上司に下げられると変な気持ちになりますし」
「だが君達は結局離婚してしまった」
「それは子爵のせいではないです、子息様の行いはきっかけにはなったのでしょうが最終的にはカイルが望んだことでもあったのですから」
「それなんだが⋯君は聞いていないだろう?」
「?」
「私はカイル殿から君が誤解をしている事を昨日聞いたんだ」
「誤解ですか?」
「あぁ彼は自分で話すと言ったが君の気性を考えたらきっともう会わないと思っていると私は考えた、だからせめて愚息のした行いは話しておこうと思って慌ててきたので先触れさえも出さずに申し訳ない」
そう言ってテーラー子爵は父にも頭を下げました。
「君はカイルの噂を私の甥から聞いたのだろう?」
「えぇ街でばったりあってその時に聞きました。カイルが女性と子供と暮らしていると、しかも辺境の騎士団の寮で、そう聞きました」
「それは全て愚息が甥に流した嘘なんだ」
「えっ?でも⋯昨日カイルは否定しませんでしたけど⋯」
「中身は嘘でもそういう噂があったのは本当なんだ、だが実情は違う」
何がなんだかわからなくなってきた。
でも昨日は親子で街を歩いていた、何よりも考えたのは、ではなぜ離婚なのか?
私が離婚に同意したのはカイルの心変わりを確信したからだ。
あの離婚届で自分は捨てられたのだ、他の女にカイルを取られたのだと感じたからだ。
それが全て⋯⋯嘘?
ではなぜ離婚を⋯⋯?
私は疑問しか頭の中には浮かばなかった。
「でも、ではなぜ。いえ昨日も親子連れでしたし」
「その件も聞いているがこの先は私が話すべきではないし、カイル殿も自分で話したいだろう。だから知っているけど話さない、それでも君の希望であれば私は話すのは厭わない、君の望むことをするのが少しでも役に立つなら償いをしたいと思っている」
テーラー子爵は本当に責任を感じていることはひしひしと私には伝わりました。
何か理由があるなら聞きたいという衝動もあります。
何よりロイドの為に聞くべきなのも解る。
でも子爵が言うように聞くならばカイルから聞かなければ意味がないように思えた。
その後、子爵は近況を報告してくれた。
新聞にも載っていないけれど隣国との戦は鎮圧してきたそうで、そろそろ終結する運びになりそうだと言った。
子爵は今騎士団で以前の部署と違う部署で働いているそうだ。
かなりの降格をしたみたいで彼の苦労は計り知れないだろうと思った。
でも子爵は子息の罪を己の罪として甘んじて勤めているのだろう。
表情には一切の曇りがないように見受けられた。
私は子爵にロイドと会ってもらいたいという衝動に何故か駆られた。
父の侍従にお願いして連れてきてもらう。
ロイドは母に手を引かれて入ってきた。
「ははうえ~」
そう言って私の膝に耳をにつけながら言う。
これはロイドが甘えたい時の仕草だ。
「ロイド紹介したい人がいるの」
「ちょうかい?」
「そうよお母様の知り合いでテーラー子爵よ」
テーラー子爵はロイドを見てカイルを思い出したのだろう、目を細めていたがニコニコし始めた。
「初めましてロイド君、テーラー子爵ですよろしく」
「りょいどでしゅちぇーらーちちゃく」
ロイドは姿勢を正して昨日のように深々と頭を下げ、昨日と同じ様に頭突きをする勢いであった。
それにしても“ち”が多いなと思いながら未だ下げたままのロイドの頭を起こして上げた。
1,739
あなたにおすすめの小説
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
あなたに嘘を一つ、つきました
小蝶
恋愛
ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…
最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ
結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?
秋月一花
恋愛
本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。
……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。
彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?
もう我慢の限界というものです。
「離婚してください」
「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」
白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?
あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。
※カクヨム様にも投稿しています。
立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
幼馴染か私か ~あなたが復縁をお望みなんて驚きですわ~
希猫 ゆうみ
恋愛
ダウエル伯爵家の令嬢レイチェルはコルボーン伯爵家の令息マシューに婚約の延期を言い渡される。
離婚した幼馴染、ブロードベント伯爵家の出戻り令嬢ハリエットの傍に居てあげたいらしい。
反発したレイチェルはその場で婚約を破棄された。
しかも「解放してあげるよ」と何故か上から目線で……
傷付き怒り狂ったレイチェルだったが、評判を聞きつけたメラン伯爵夫人グレース妃から侍女としてのスカウトが舞い込んだ。
メラン伯爵、それは王弟クリストファー殿下である。
伯爵家と言えど王族、格が違う。つまりは王弟妃の侍女だ。
新しい求婚を待つより名誉ある職を選んだレイチェル。
しかし順風満帆な人生を歩み出したレイチェルのもとに『幼馴染思いの優しい(笑止)』マシューが復縁を希望してきて……
【誤字修正のお知らせ】
変換ミスにより重大な誤字がありましたので以下の通り修正いたしました。
ご報告いただきました読者様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
「(誤)主席」→「(正)首席」
私のことを愛していなかった貴方へ
矢野りと
恋愛
婚約者の心には愛する女性がいた。
でも貴族の婚姻とは家と家を繋ぐのが目的だからそれも仕方がないことだと承知して婚姻を結んだ。私だって彼を愛して婚姻を結んだ訳ではないのだから。
でも穏やかな結婚生活が私と彼の間に愛を芽生えさせ、いつしか永遠の愛を誓うようになる。
だがそんな幸せな生活は突然終わりを告げてしまう。
夫のかつての想い人が現れてから私は彼の本心を知ってしまい…。
*設定はゆるいです。
旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?
白雲八鈴
恋愛
我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。
離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?
あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。
私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる