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保留期間(元夫の奮闘と母子の変化)
親子で散歩 sideカイル
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「ロイド今日は港に行かないか?」
「はい!」
手をあげて返事をするロイドは少し背が伸びたように思う。気のせいか?
マリナと再会してもうすぐ3ヶ月が経つ。
仕事をしているマリナからロイドを預かるのも段々と慣れてきたつもりだが、まだ二人になるのをロイドは緊張しているように感じている。
俺の浅慮な行動でマリナを傷付けて、そのつもりはなかったけれど結果的には二人を捨てたと思われてもしょうがない。
それでも俺は二人と一緒にいたい。
ロイドにも俺といる時にもマリナといる時みたいに安心して欲しいと思うが、それは俺の我侭だ。
自然とそうなるように俺が頑張らなければ!
手を繋いで港までの道を歩く。
ロイドに合わせてゆっくり歩くのがこんなに至難の業だと思わなかった。
ホテルで再会した時に庭を散歩したのだが、あの時は早すぎたのだと今更の反省をする。
ロイドは時折、俺を見上げている。
だけど俺にはロイドの訴えが言葉にされないとよく解らない。
ロイドはとてもいい子だ。
いい子に育ってくれた。
だけど俺は、困る癖にロイドに我儘をちょっとでもいいから言って欲しいと思ってしまう。
3年も離れていた父親に、そんな事が言えるほど心を開いてもらえていない事は、ルーマン夫婦を見ていてわかる。
そんな資格もないくせにルーマン夫婦に嫉妬している俺は最低だ。
そんな時ルーマン夫婦から二人で歩いたらどうかとアドバイスを受けた。
それで誘ってみたのだが⋯⋯。
「ロイドどうした?」
また下から見上げているロイドに何度目かの声掛けをしてみる。
見上げるたびに聞くけれど首を振るばかりで教えてもらえない。
今度は立ち止まってロイドに目線を合わせてみた。
「これぇ」
俺の肩を叩いて言われたが何だろう?
首を撚る俺にロイドが「はぁ」と言った、はぁ?溜息か?俺は息子に溜息を吐かれたのか?
ショックを受けてる俺に今度は肩を擦っていう。
「こぉこ」
ロイドの擦る手に合わせて俺も擦ってみた。
自分の子供の時の事を思い出してヒントを探るが全く解らない。
そんな俺に痺れを切らしたのかロイドが大きな声で「こぉこ」と繰り返す。
その時にさっきまで片手でしていたのに今度は両手で両肩を擦ったので、俺はやっと気付いた。
肩車だ!
ロイドは肩車をして欲しかったのだと漸く解った。
ロイドを抱き上げて肩に乗せる
前回はホテルの時だったから左肩にだけ乗せていたが、今回は両肩に乗せた。
頭を持つように言うと「ひゃあ」と言いながらしっかりと掴んだ。
落ちないようにロイドの小さな足を握る。
これで正解か?
ロイドの表情が見えないから正解かどうかは解らない。
でも喜んでいるようなので正解だと思うことにした。
ロイドは時折「あっちぃ」とか言いながら指を指すのでその方向に行くと段々と港から離れて行ってしまう。
頭の中でこの近辺の地図を広げて考えながらロイドに言われるがまま進んだ。
「あっちぃ」「しょっちぃ」「こっちぃ」
ロイドの指示が細かい。
すると一軒の花屋に着いた。
「こぉこ」
とロイドが俺の髪をグシャグシャにする。
「待ってロイド、髪は止めてくれ」
つい悲鳴を上げたらロイドが「ごめんなちゃい」と謝ったので肩から降ろして「いいよ」と頭を撫でると嬉しそうに俺を見上げた。
その時に俺は初めてロイドが本当に笑ったように見えた。
子育てをしてないから俺の感覚なので正解か如何かは解らない、でもその時にそう俺は感じたんだ。
「ここに来たかったのか?」
そう聞くとロイドは頷いた。
そして花屋の店先に近付いてキョロキョロとしている。
その様子を眺めていたが、何をしているかさっぱり解らない。
他人の子と比べたらいけないのは解っているが、エルザは如何だったかな?と考えたが、あの娘ともそんなに会えていないから、ただ顔を思い浮かべただけで終わった。
中から店員が出てきてロイドに話しかけていた。
「あらいらっしゃい、今日は出して無かったの。ちょっと待ってて」
「はい!」
店員とロイドの様子を見てよく来ているのだと理解した。
「はいこれ」
「ありがちょ」
ロイドが何かの鉢植えを見て、そして話しかけていた。態々鉢植えに話しかけている事の意味が解らなかった。ただ⋯⋯可愛い、俺の息子。
「お父さんですか?」
「へ?あっ⋯⋯はい」
「ロイド君ここで何故かあの鉢植えで言葉の練習をしているみたいです」
「言葉の練習?」
「お母さんが言ってました、何故あの鉢植えなのか、何故言葉の練習なのかはお母さんにもわからないそうです」
「そうですか」
ロイドが何かずっと言ってるがよく聞き取れない。
「ロイド」
声をかけるとロイドが振り向いたので
「持って帰るか?」
と聞いてみた、少し考えている様に首を捻ってから
「いいにょ?」
と言ったので直ぐにその鉢植えを買った。
何の植物かは敢えて聞かずに、自分で調べようと心の中で思った。
ロイドよりも少しだけ小さい背丈のその鉢植えは絶対持てないのに持とうとするロイドが可愛い。
踏ん張っているロイドに「任せろ」と言って鉢植えを持つとロイドがキラキラとした目を向けてきた。
ひょっとして今尊敬されたのでは?
希望的観測で思ったが、希望だからいいかな。
片手に鉢植えを持ち片手はロイドがギュッと手を繋いでくれた。
二人で帰る道程で俺にロイドがスキップを初めて披露してくれた。
その日の夕方ロイドを迎えに来たマリナに俺は無茶苦茶拗ねられた。
何故なら以前マリナが買うと言ったときはロイドに断られたそうだ、調子に乗った俺は少しだけマリナに「勝った!」と思った。
「はい!」
手をあげて返事をするロイドは少し背が伸びたように思う。気のせいか?
マリナと再会してもうすぐ3ヶ月が経つ。
仕事をしているマリナからロイドを預かるのも段々と慣れてきたつもりだが、まだ二人になるのをロイドは緊張しているように感じている。
俺の浅慮な行動でマリナを傷付けて、そのつもりはなかったけれど結果的には二人を捨てたと思われてもしょうがない。
それでも俺は二人と一緒にいたい。
ロイドにも俺といる時にもマリナといる時みたいに安心して欲しいと思うが、それは俺の我侭だ。
自然とそうなるように俺が頑張らなければ!
手を繋いで港までの道を歩く。
ロイドに合わせてゆっくり歩くのがこんなに至難の業だと思わなかった。
ホテルで再会した時に庭を散歩したのだが、あの時は早すぎたのだと今更の反省をする。
ロイドは時折、俺を見上げている。
だけど俺にはロイドの訴えが言葉にされないとよく解らない。
ロイドはとてもいい子だ。
いい子に育ってくれた。
だけど俺は、困る癖にロイドに我儘をちょっとでもいいから言って欲しいと思ってしまう。
3年も離れていた父親に、そんな事が言えるほど心を開いてもらえていない事は、ルーマン夫婦を見ていてわかる。
そんな資格もないくせにルーマン夫婦に嫉妬している俺は最低だ。
そんな時ルーマン夫婦から二人で歩いたらどうかとアドバイスを受けた。
それで誘ってみたのだが⋯⋯。
「ロイドどうした?」
また下から見上げているロイドに何度目かの声掛けをしてみる。
見上げるたびに聞くけれど首を振るばかりで教えてもらえない。
今度は立ち止まってロイドに目線を合わせてみた。
「これぇ」
俺の肩を叩いて言われたが何だろう?
首を撚る俺にロイドが「はぁ」と言った、はぁ?溜息か?俺は息子に溜息を吐かれたのか?
ショックを受けてる俺に今度は肩を擦っていう。
「こぉこ」
ロイドの擦る手に合わせて俺も擦ってみた。
自分の子供の時の事を思い出してヒントを探るが全く解らない。
そんな俺に痺れを切らしたのかロイドが大きな声で「こぉこ」と繰り返す。
その時にさっきまで片手でしていたのに今度は両手で両肩を擦ったので、俺はやっと気付いた。
肩車だ!
ロイドは肩車をして欲しかったのだと漸く解った。
ロイドを抱き上げて肩に乗せる
前回はホテルの時だったから左肩にだけ乗せていたが、今回は両肩に乗せた。
頭を持つように言うと「ひゃあ」と言いながらしっかりと掴んだ。
落ちないようにロイドの小さな足を握る。
これで正解か?
ロイドの表情が見えないから正解かどうかは解らない。
でも喜んでいるようなので正解だと思うことにした。
ロイドは時折「あっちぃ」とか言いながら指を指すのでその方向に行くと段々と港から離れて行ってしまう。
頭の中でこの近辺の地図を広げて考えながらロイドに言われるがまま進んだ。
「あっちぃ」「しょっちぃ」「こっちぃ」
ロイドの指示が細かい。
すると一軒の花屋に着いた。
「こぉこ」
とロイドが俺の髪をグシャグシャにする。
「待ってロイド、髪は止めてくれ」
つい悲鳴を上げたらロイドが「ごめんなちゃい」と謝ったので肩から降ろして「いいよ」と頭を撫でると嬉しそうに俺を見上げた。
その時に俺は初めてロイドが本当に笑ったように見えた。
子育てをしてないから俺の感覚なので正解か如何かは解らない、でもその時にそう俺は感じたんだ。
「ここに来たかったのか?」
そう聞くとロイドは頷いた。
そして花屋の店先に近付いてキョロキョロとしている。
その様子を眺めていたが、何をしているかさっぱり解らない。
他人の子と比べたらいけないのは解っているが、エルザは如何だったかな?と考えたが、あの娘ともそんなに会えていないから、ただ顔を思い浮かべただけで終わった。
中から店員が出てきてロイドに話しかけていた。
「あらいらっしゃい、今日は出して無かったの。ちょっと待ってて」
「はい!」
店員とロイドの様子を見てよく来ているのだと理解した。
「はいこれ」
「ありがちょ」
ロイドが何かの鉢植えを見て、そして話しかけていた。態々鉢植えに話しかけている事の意味が解らなかった。ただ⋯⋯可愛い、俺の息子。
「お父さんですか?」
「へ?あっ⋯⋯はい」
「ロイド君ここで何故かあの鉢植えで言葉の練習をしているみたいです」
「言葉の練習?」
「お母さんが言ってました、何故あの鉢植えなのか、何故言葉の練習なのかはお母さんにもわからないそうです」
「そうですか」
ロイドが何かずっと言ってるがよく聞き取れない。
「ロイド」
声をかけるとロイドが振り向いたので
「持って帰るか?」
と聞いてみた、少し考えている様に首を捻ってから
「いいにょ?」
と言ったので直ぐにその鉢植えを買った。
何の植物かは敢えて聞かずに、自分で調べようと心の中で思った。
ロイドよりも少しだけ小さい背丈のその鉢植えは絶対持てないのに持とうとするロイドが可愛い。
踏ん張っているロイドに「任せろ」と言って鉢植えを持つとロイドがキラキラとした目を向けてきた。
ひょっとして今尊敬されたのでは?
希望的観測で思ったが、希望だからいいかな。
片手に鉢植えを持ち片手はロイドがギュッと手を繋いでくれた。
二人で帰る道程で俺にロイドがスキップを初めて披露してくれた。
その日の夕方ロイドを迎えに来たマリナに俺は無茶苦茶拗ねられた。
何故なら以前マリナが買うと言ったときはロイドに断られたそうだ、調子に乗った俺は少しだけマリナに「勝った!」と思った。
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