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「さて、先ずは身なり……だが」
晴れて自由の身となった私は領地なんぞは早々に抜けて、魔物の森と呼ばれて冒険者も依頼が無ければ近づかない場所を訪れていた。
今の格好はシャツにスラックス、ブーツ、フード付きのマントと申し訳程度の武器としてナイフを装着していた。
布の質はいいものだが、特別な魔法がかかっているわけでもない、なんの変哲も無い攻撃力も防御力もゼロのただの布である。
正直な話、平民でも街の外に出るなら、もっと重装備だ。これはせいぜい安全な街中に出かける程度の服装でしかない。
ここに前世魔王の力を発揮してプレミア価値が付くようにしてもいいのだが、街に着き次第着替える予定なので、一先ずはこのままだ。
皆、魔王と聞けば闇属性魔法だという(まあ、事実、毒無効や呪い無効や精神干渉系魔法といった、魔王が得意とした魔法というのは、総じて闇属性に位置する)が、それ以外の魔法を使えないはずがないだろ。
魔王は実を言えば全ての魔法が使えた。単に勇者と呼ばれる人間が光魔法を多用しまくり、それに対抗するのに闇魔法が1番使い勝手が良かっただけである。なので必然的に闇属性魔法ばかりを使う結果となり、魔王と言えば闇属性!みたいな風潮が出来たのだろ……できちゃったみたいなんだよねー!
……前世魔王として数世紀生きていたせいか、偶に口調が乱れる。というか、魔王口調の方が慣れ親しんでいるので、もうそっちでいいだろうか。いいよね。だってもう貴族じゃないし。
「ふむ……」
鏡を創り出して写った顔をみるが、まあ、悪くはない中性的な顔立ちだ。年齢が年齢なだけに、少年か少女かはこの格好では見分けがつかないだろう。
そして性別が女なのは僥倖だった。生前は配下のバンピールやインキュバス達を着せ替え人形にしてたが、今は人形にして遊ぶ相手も居ない事だし、自分を使うにしろ男の身体では似合わない服があるだろう?
女性物の服にはロマンが詰まっている。どうせなら似合う身体になってみたかったからな。
だが……この森の中では服を買うというのも出来ぬから、今は仕方あるまい。
着ている服に自動修復魔法を、身体には強化魔法をかけてから森の深部へと向かう事にする。
「自分を着せ替えるにも金がいるからな」
身なりを整えるために先ず一仕事と行こうか。
~数時間後~
「うむ。これだけあればまあ、一夜の宿程度ならなんとかなるだろう」
我が目の前には、ウサギの親子から始まり、番いのクマや、テンプレなオークたちが転がっている。
どうやってとったのかといえば簡単で、おすわりと言った(魔法で重力倍加して地面に叩きつけて押さえつけて、さらに……中身をちょちょいとした)だけだ。
欠損や傷もない為、グロ耐性無い人間にも優しい見た目である。えっへん。
魔王として君臨していた頃は、身体が食事を必要としなかった為、オーク肉など食べたことが無かった。聞いた話では美味らしい。と、言うわけで食いたいのだが
「……ふむ、人間はこれをどう捌いてどの部分を食らうというのだ?というか、よく食おうとなど思ったものだ」
二足歩行をして、棍棒や剣を振り回す人型の豚顔という印象しか受けなかった。肌は灰色に近い色をしているし、よくよく考えてもこれを美味そうなどとはかけらも思えないのだが。
仕方がないので、新たに丁度夕陽に向かって飛んでいたトリを手早く石を投げて仕留めて、頭と尾羽は貴族たちにも人気という事で、価値がある為残し、その残りを焼いて食べた。とりの捌き方は料理長から習っていたからな!
うむ。中々美味だった。
それにしても、美味いと言われている肉(オーク)が目の前にあるのに食えないとは、なんという悲劇だ。これは調理できる者の所に弟子入りでもして、腕を磨くか……?
(因みに、前世は色々と規格外な魔王で今世は令嬢として非常識な為、自ら働く事になんの躊躇もありません)
荷物を適当に空間を開いて収納して、我は森を抜けた先を進んでいた。夜だから動かず野営?何を馬鹿なことを。どこの世界にせっかくの夜を楽しまない魔王がいるのだ。(早寝早起きの健康優良児的魔王がいたらごめんなさい)
……どこかに料理人は居ないものか。ん?……誰か野営しているな。人間か。複数人いるな……。1キロほど先にいるのか。成る程成る程。
オーク肉の捌き方知ってるといいな。
「……とは思っていたが、まさかオーク肉を捌く前に人間を裁く事になるとは思わなかったぞ」
野営地をこっそり伺えば、日を囲んで贅を尽くしたような料理を食らっている男たちがいた。そこから少し離れた所に馬と、荷車、そして捕らえられているらしい女性がいた。
……これは、あれだろうか?よくある、商人が道すがら襲われ……みたいなあれだろうか。む。ではヒーローはどこだ。キョロキョロと周りを見渡すが、こんな見渡す限り草原みたいな場所に都合よくヒーローなどいるわけはなかったな。……ちょっと残念。
仕方がないので我が自ら品のない食事をしていた男どもを捕らえて簀巻きにした。
助けてやった女は一部始終を見ていたため、いたく感動した様子で我に感謝を述べた。
……もしかしてこれ、我がヒーロー?
晴れて自由の身となった私は領地なんぞは早々に抜けて、魔物の森と呼ばれて冒険者も依頼が無ければ近づかない場所を訪れていた。
今の格好はシャツにスラックス、ブーツ、フード付きのマントと申し訳程度の武器としてナイフを装着していた。
布の質はいいものだが、特別な魔法がかかっているわけでもない、なんの変哲も無い攻撃力も防御力もゼロのただの布である。
正直な話、平民でも街の外に出るなら、もっと重装備だ。これはせいぜい安全な街中に出かける程度の服装でしかない。
ここに前世魔王の力を発揮してプレミア価値が付くようにしてもいいのだが、街に着き次第着替える予定なので、一先ずはこのままだ。
皆、魔王と聞けば闇属性魔法だという(まあ、事実、毒無効や呪い無効や精神干渉系魔法といった、魔王が得意とした魔法というのは、総じて闇属性に位置する)が、それ以外の魔法を使えないはずがないだろ。
魔王は実を言えば全ての魔法が使えた。単に勇者と呼ばれる人間が光魔法を多用しまくり、それに対抗するのに闇魔法が1番使い勝手が良かっただけである。なので必然的に闇属性魔法ばかりを使う結果となり、魔王と言えば闇属性!みたいな風潮が出来たのだろ……できちゃったみたいなんだよねー!
……前世魔王として数世紀生きていたせいか、偶に口調が乱れる。というか、魔王口調の方が慣れ親しんでいるので、もうそっちでいいだろうか。いいよね。だってもう貴族じゃないし。
「ふむ……」
鏡を創り出して写った顔をみるが、まあ、悪くはない中性的な顔立ちだ。年齢が年齢なだけに、少年か少女かはこの格好では見分けがつかないだろう。
そして性別が女なのは僥倖だった。生前は配下のバンピールやインキュバス達を着せ替え人形にしてたが、今は人形にして遊ぶ相手も居ない事だし、自分を使うにしろ男の身体では似合わない服があるだろう?
女性物の服にはロマンが詰まっている。どうせなら似合う身体になってみたかったからな。
だが……この森の中では服を買うというのも出来ぬから、今は仕方あるまい。
着ている服に自動修復魔法を、身体には強化魔法をかけてから森の深部へと向かう事にする。
「自分を着せ替えるにも金がいるからな」
身なりを整えるために先ず一仕事と行こうか。
~数時間後~
「うむ。これだけあればまあ、一夜の宿程度ならなんとかなるだろう」
我が目の前には、ウサギの親子から始まり、番いのクマや、テンプレなオークたちが転がっている。
どうやってとったのかといえば簡単で、おすわりと言った(魔法で重力倍加して地面に叩きつけて押さえつけて、さらに……中身をちょちょいとした)だけだ。
欠損や傷もない為、グロ耐性無い人間にも優しい見た目である。えっへん。
魔王として君臨していた頃は、身体が食事を必要としなかった為、オーク肉など食べたことが無かった。聞いた話では美味らしい。と、言うわけで食いたいのだが
「……ふむ、人間はこれをどう捌いてどの部分を食らうというのだ?というか、よく食おうとなど思ったものだ」
二足歩行をして、棍棒や剣を振り回す人型の豚顔という印象しか受けなかった。肌は灰色に近い色をしているし、よくよく考えてもこれを美味そうなどとはかけらも思えないのだが。
仕方がないので、新たに丁度夕陽に向かって飛んでいたトリを手早く石を投げて仕留めて、頭と尾羽は貴族たちにも人気という事で、価値がある為残し、その残りを焼いて食べた。とりの捌き方は料理長から習っていたからな!
うむ。中々美味だった。
それにしても、美味いと言われている肉(オーク)が目の前にあるのに食えないとは、なんという悲劇だ。これは調理できる者の所に弟子入りでもして、腕を磨くか……?
(因みに、前世は色々と規格外な魔王で今世は令嬢として非常識な為、自ら働く事になんの躊躇もありません)
荷物を適当に空間を開いて収納して、我は森を抜けた先を進んでいた。夜だから動かず野営?何を馬鹿なことを。どこの世界にせっかくの夜を楽しまない魔王がいるのだ。(早寝早起きの健康優良児的魔王がいたらごめんなさい)
……どこかに料理人は居ないものか。ん?……誰か野営しているな。人間か。複数人いるな……。1キロほど先にいるのか。成る程成る程。
オーク肉の捌き方知ってるといいな。
「……とは思っていたが、まさかオーク肉を捌く前に人間を裁く事になるとは思わなかったぞ」
野営地をこっそり伺えば、日を囲んで贅を尽くしたような料理を食らっている男たちがいた。そこから少し離れた所に馬と、荷車、そして捕らえられているらしい女性がいた。
……これは、あれだろうか?よくある、商人が道すがら襲われ……みたいなあれだろうか。む。ではヒーローはどこだ。キョロキョロと周りを見渡すが、こんな見渡す限り草原みたいな場所に都合よくヒーローなどいるわけはなかったな。……ちょっと残念。
仕方がないので我が自ら品のない食事をしていた男どもを捕らえて簀巻きにした。
助けてやった女は一部始終を見ていたため、いたく感動した様子で我に感謝を述べた。
……もしかしてこれ、我がヒーロー?
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