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しおりを挟むもちろんそんな事は問屋が卸さないようだ。問屋って何か知らんけどな。
元の大きさのリィの腹借りて寝に入る前に速やかにルナに捕まった。というか抱きしめられた。魔法使いであって肉体労働系では無いはずなのだが、なぜミエラやコリーより早く我の所まで来れるのだ?まさかと思うが、転移の魔法か?
『いや、その子単純にエゲツない速度でアナタの所まで跳んで来たわヨ』
魔王であった我に攻撃を仕掛ける勇者の足より速いとかどういう事だ。…いや実際そうでもないのかもしれない。アリスは人間だからな。人間が認識できるギリギリと、魔族が認識できるギリギリの速度は天と地ほどの差があるからな!……だとすると勇者クラスと殴り合いになったら我、負けちゃう?嫌だな。腹立つ。右ストレートを綺麗に決めたい!
「あ、あのー。アリス、ちゃ…さん?」
アリスの肉体は中々の素材だからな。できる事ならサイボーグ化とか、もしくは魔族化させて半永久的に永遠の少女(又の名を合法ロリ)を続けてもいいが、人間の女性の歳をおいるからこその美しさというのも捨てがたい。幼女か、童女か、少女か淑女。どれも良いものだろう?
今からできるお手軽改造ならやはり魔力による常時全身強化だろうか?
「ハァ、スゥ…。スゥ…。すぅううううー!…しあわせ」
「ルナが倒れた!早くアリスちゃんから引き剥がすんだミエラ!」
「やってるよ!」
この体の強化方法を考えながら現実逃避をしていた我が結果、童女と淑女で結論を保留にしたところで気がつけば、我に引っ付いていたルナがいつの間にか剥がれていて、心臓マッサージをミエラに受けながら、コリーに回復薬をぶっかけられて戻ってこーいされてる所だったので、大人しく待つ事にした。
「______...つまり、アリスちゃ、…さん「ちゃんで構わんぞ」…アリスちゃんがさっきの超大型魔物を追い払った。そちらの…その魔獣は、リィーリィーちゃん。ペットではなく、従魔だった…?」
「うむ」
「そして、その口調…」
「こちらのほうが馴染みがあってな。…気になるだろうとおもいまして、変えていました。それから、リィに関しては従魔と説明する前にペットと勘違いして撫で回していたので、いっそ言わないほうがいいかなと思いまして」
全部私たちへの配慮だったんだね…。と、勘違いしてくれたのでそのままにしておこう。バレたからには口調を偽らずとも、残った負い目が勝手に我にとっていい方向に働くやもしれんからな。
「可憐なのに強いアリスちゃん…!見た目と能力、口調のギャップ…萌え…!!大きな魔獣と戯れついてるアリスちゃん可愛い…!」
鼻息荒く我ににじり寄ってこようとするルナは最早何か状態異常なのではないか?いくら我が可愛いからと言って、この狂い具合はおかしい。絶対。簀巻きにされた状態でなお我の方ににじり寄ってくるので、ミエラによってその辺の大岩に括り付けられた。迷宮に入る直前まではそのままにしておくらしい。チームメイトの扱い雑だがいいのだろうか。我、安心だけど。
「…うん、私たちもルナがここまでとは思ってなかったよ…。……ルナが見つけてくる宿には、いつも大抵アリスちゃんくらいの歳の女の子がエプロン着けて親のお手伝いとして働いていたけど」
……何ともいえないが、今まで特に問題は起きていなかったのだな。
「まあ、とりあえず…一応、チームとして組むには問題ない人材には間違いないから…。今更だけど、今回一緒に行ってもらっても大丈夫?」
基本ルナを近づけない事を条件に了承した。直ぐにでも迷宮へと踏み入れるのかと思いきや、コリー達は遠目に魔物達がぶっ飛んだり暴れたりするのが見えて、偵察の為に急いで来ただけであって、やはり本当はあと数刻してから到着予定だったらしい。
「迷宮に入る前に簡単にご飯だけでも食べてからと思ってね。食材を持ってきたんだ。アリスちゃんも一緒に食べよう?」
大きめの平な岩をミエラが持ってきて、手早くコリーが綺麗な布を引き、大きな葉を並べる。調味料セットに干しボグ肉、パンとハーブ、あとミルク。
……たしかに、食材そのままだな。肉はハーブで焼くとしても、これを飯と呼べるかと聞かれたら我は口が裂けてもイェスなどとは言えない。料理長に泣かれる。
「コリー、少々待て。我も食材を出すので、調理を任せてくれないか」
「アリスちゃんに?」
「うむ。ここ数日ずっとバイトなるものをしていてな。店主達からの評判も上々ゆえ、味は悪く無いと思うぞ」
さあ。料理の時間だ。
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