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12話 アラガミ様
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「あー、アイツがアラガミ本人か……」
ヴィルヘルムはばつが悪そうにそう言って頭を掻いた。
「左様です。ご辞退されますか……?」
「……いや、一つ確認させてくれ。そいつの討伐依頼とのことだが、召喚士がテイムをしても依頼の達成にはなるのか?」
ヴィルヘルム……! アラガミ様って聞いても、僕にテイムをさせる事を諦めてなかった!
「テイム……まさかアラガミ様を手懐けるとでも仰るのか……!?」
「そうだ。土地神だかなんだか知らねぇが、討伐しようとしてたんだから、手懐けたって文句はねぇだろ」
「は、はぁ……」
村長は呆然としていた。
「あの、村長さん、アラガミ様って一体何なのでしょう?」
僕が一先ず話をそらすと、村長は息を吹き返したように話し出した。
「ええ、はい。少々驚きましたもので、すみません。アラガミ様は、昔からこのレスト大森林を守って下さっていた、聖獣様なのです」
「聖獣……!? 魔物じゃない……!?」
「はい……ですが、最近になって我々の信仰が薄れた故か、魔物と対峙し過ぎた故か……どういう訳か、アラガミ様は魔物のように目が赤く光り、理性を失われてしまわれたのです」
「魔物になっちゃったの……!?」
「聖獣の力は魔物を喰らった数、制御はその地の信仰。この2つの天秤が傾いたとき、聖獣は闇堕ちする。土地の守り神である聖獣が魔物化するなんて話はよくある話だ。俺は嫌というほどそれを見てきた」
ヴィルヘルムはそう言って小さくため息を吐いた。
「そうなんだ……じゃぁそのアラガミ様は、今は理性を失って、デタラメにそこら中の魔物を退治しまくってるって事……?」
「ルカ様の仰る通りで……」
「それってさ……まだこの村のみんなを助けようって想いは残ってるのに、魔物化したからって討伐するって事?」
僕が少し強めにそう言うと、村長は「ええ、ですが……理性を失ってしまった以上、この村に被害が出るとも限りませんので……」と、遠慮気味に返してきた。
「そんなの間違ってる! それじゃ、使い潰されたただの奴隷じゃないか……!」
都合が悪くなったら途端に切り捨てる。この人たちのやってる事は、僕の元養父や元婚約者と一緒だ。
「だから、テイムして解放してやるんだよ。もうこんな森の鎖からはてめぇが外してやるんだ」
と、ヴィルヘルム。はっとして、彼と顔を見合わせると、彼は小さく頷いた。
「うん、分かった。僕、アラガミ様をテイムするよ。村長さんもそれで良いですね」
「……ええ、はい……。もしそんな事が可能なのであれば、こちらはそれで構いません。こちらへの脅威がなくなればそれで依頼達成としましょう」
「だって、ヴィルヘルム。早速アラガミ様を探しに行こう」
「おし、良い目になってきたじゃねぇか。で、アラガミは今どの辺りに」
「はい、昨日訪れた冒険者の方は、北の祠付近で遭遇したと言っておりました」
僕とヴィルヘルムは、早速大森林の北の祠を目指した。
ヴィルヘルムはばつが悪そうにそう言って頭を掻いた。
「左様です。ご辞退されますか……?」
「……いや、一つ確認させてくれ。そいつの討伐依頼とのことだが、召喚士がテイムをしても依頼の達成にはなるのか?」
ヴィルヘルム……! アラガミ様って聞いても、僕にテイムをさせる事を諦めてなかった!
「テイム……まさかアラガミ様を手懐けるとでも仰るのか……!?」
「そうだ。土地神だかなんだか知らねぇが、討伐しようとしてたんだから、手懐けたって文句はねぇだろ」
「は、はぁ……」
村長は呆然としていた。
「あの、村長さん、アラガミ様って一体何なのでしょう?」
僕が一先ず話をそらすと、村長は息を吹き返したように話し出した。
「ええ、はい。少々驚きましたもので、すみません。アラガミ様は、昔からこのレスト大森林を守って下さっていた、聖獣様なのです」
「聖獣……!? 魔物じゃない……!?」
「はい……ですが、最近になって我々の信仰が薄れた故か、魔物と対峙し過ぎた故か……どういう訳か、アラガミ様は魔物のように目が赤く光り、理性を失われてしまわれたのです」
「魔物になっちゃったの……!?」
「聖獣の力は魔物を喰らった数、制御はその地の信仰。この2つの天秤が傾いたとき、聖獣は闇堕ちする。土地の守り神である聖獣が魔物化するなんて話はよくある話だ。俺は嫌というほどそれを見てきた」
ヴィルヘルムはそう言って小さくため息を吐いた。
「そうなんだ……じゃぁそのアラガミ様は、今は理性を失って、デタラメにそこら中の魔物を退治しまくってるって事……?」
「ルカ様の仰る通りで……」
「それってさ……まだこの村のみんなを助けようって想いは残ってるのに、魔物化したからって討伐するって事?」
僕が少し強めにそう言うと、村長は「ええ、ですが……理性を失ってしまった以上、この村に被害が出るとも限りませんので……」と、遠慮気味に返してきた。
「そんなの間違ってる! それじゃ、使い潰されたただの奴隷じゃないか……!」
都合が悪くなったら途端に切り捨てる。この人たちのやってる事は、僕の元養父や元婚約者と一緒だ。
「だから、テイムして解放してやるんだよ。もうこんな森の鎖からはてめぇが外してやるんだ」
と、ヴィルヘルム。はっとして、彼と顔を見合わせると、彼は小さく頷いた。
「うん、分かった。僕、アラガミ様をテイムするよ。村長さんもそれで良いですね」
「……ええ、はい……。もしそんな事が可能なのであれば、こちらはそれで構いません。こちらへの脅威がなくなればそれで依頼達成としましょう」
「だって、ヴィルヘルム。早速アラガミ様を探しに行こう」
「おし、良い目になってきたじゃねぇか。で、アラガミは今どの辺りに」
「はい、昨日訪れた冒険者の方は、北の祠付近で遭遇したと言っておりました」
僕とヴィルヘルムは、早速大森林の北の祠を目指した。
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