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28話 邪竜降臨
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⸺⸺ジルディス火山洞窟⸺⸺
ルガナの洞窟の最深部にギルド本部のテントが設営され、僕たちはギルド本部の全面的なバックアップ体制の下、ジルディス活火山の洞窟へと入った。
「うぅ……暑い……」
「いくら耐火性の装備を着ていても、暑いものは暑いね」
と、アルフレッド兄様。
火山洞窟は暑すぎて通常装備で火口付近に近付くと、人間もろとも蒸発してしまうため、専用の装備が必要となる。もちろんギルド本部が全て用意してくれたのだが、それでもサウナの中を進んでいるようだった。
「それにしても兄様が弓の名手だなんて、驚きました……」
「一応もう引退して委員の仕事に集中していたんだけどね。ルガナの洞窟でリハビリは完了かな」
「すごかったです。ヴィリーとの息もピッタリで、これで後衛もバッチリですね」
「前はパーティ組んでたからね~。兄様のすごさが分かってハグしたくなったかな? 私はいつでもいいよ、ほら」
兄様はそう言って両腕を広げてくる。
「うぅ……想像しただけで暑いんで止めて下さい……」
「がーん……!」
そんな冗談を言いながら火口付近へと近付いていくと、パーティを先導していた白虎がピタリと歩みを止めた。
『皆、前方にとてつもない魔物の気配を感じる。恐らく今回の魔障の原因とみて間違いない』
「そうだな……この気配、2年ぶりだ」
ヴィルヘルムは大剣の柄に手をかけた。
「以前は相討ちになったのだったね。ではリベンジを果たし、完全勝利を目指そう!」
「はい!」
『御意!』
『きゅぅ!』
⸺⸺火口の広間⸺⸺
『グアァァァァッ!』
全身真っ黒で巨大な竜が、凄まじい咆哮で出迎える。
「うわ……今まで見た魔物の中で一番大きくて……禍々しい気配……」
怖い。足がすくんでしまいそうだ。でも、僕には素晴らしい仲間がいる。僕はその仲間を信じて、ペンダントを握りしめて祈りを捧げた。
ペンダントが強く光り出し、白虎とすらにゃんに力を与える。道中で必死に覚えた召喚士のバフ能力。どうやら上手くいったみたい。
『きゅっきゅーぅ!』
更にすらにゃんがパーティ全体に防御の魔法。僕もすらにゃんも、もうただ守られるだけじゃない。
ヴィルヘルムはいきなりフルスロットルで全ての暗黒の力を解放した。かなりの邪気を抑えなきゃいけないと思うけど、大丈夫だ、いつも通りの彼だ。
⸺⸺
邪竜との激しい戦闘が幕を開け、両者ともに疲弊していく。しかし、みんなのチームワークはバッチリで、確実に邪竜を追い詰めていった。
邪竜ももう倒れるんじゃないか。そう思った時だった。
『貴様は……あの時の召喚士なのか……?』
邪竜が声を発して……!? 体力と共に邪気も弱まってきたから自我を取り戻したのか。
「てめぇ……自我を……!?」
『いや違う。姿はあの時の召喚士そのものなのに、気配や能力はまるで違う。やはりワシはあの時、あの召喚士を殺してしまったのじゃな……』
「そうだよ。てめぇが契約破棄したからな。アイツは最後まで、てめぇを救おうとしていた。なのに、てめぇは……!」
『そうであったか……では貴様は……あの時召喚士と共にいた……。貴様に殺されるのであれば本望じゃ。すまな、かった……』
邪竜はそう言うと攻撃を止め、ゆっくりと翼をたたみ、地面に寝そべった。
契約破棄、救おうとしていた……。そうか、ヴィルヘルムが仕えていた召喚士様は、この邪竜をテイムしようとしていたのか。
『この邪竜もまた、我と同様、闇落ちした聖竜であったのだな。ヴィリーよ、救うことは出来ぬであろうか』
と、白虎。
「……けど、コイツは……! クソッ、今更自我を取り戻して謝るなんて卑怯だろ!」
ヴィルヘルムはその場に崩れ落ち、地面をガツンと殴った。
彼は暗黒の力をまとったまま、とても動揺している。このやり取りがあまり長引くのは良くなさそうだ。
「ルカ!? 前へ行ってはダメだ!」
僕は兄様の静止も無視して走ってヴィルヘルムの前へと躍り出る。
「ルカ!? 出てくんじゃねぇ、下がれ!」
「ヴィリー! 僕はこの邪竜をテイムする! 今は許せなくてもいい。でも、ゆっくり時間をかけて、分かり合ってほしい」
「ダメだ! 契約破棄をされたら、反撃が来る!」
「契約破棄なんてさせるものか! みんなが力を合わせてこの邪竜の自我を取り戻してくれた。後は、僕に任せて」
「ルカ……」
『貴様も、召喚士か……ならば、急いでくれ……邪気がまた、ワシを支配しようと……』
「うん。⸺⸺汝、我と契約し、我と共に歩まん事を誓え⸺⸺」
ペンダントから放たれた光が、大きな邪竜をまるまる包み込んでいった。
ルガナの洞窟の最深部にギルド本部のテントが設営され、僕たちはギルド本部の全面的なバックアップ体制の下、ジルディス活火山の洞窟へと入った。
「うぅ……暑い……」
「いくら耐火性の装備を着ていても、暑いものは暑いね」
と、アルフレッド兄様。
火山洞窟は暑すぎて通常装備で火口付近に近付くと、人間もろとも蒸発してしまうため、専用の装備が必要となる。もちろんギルド本部が全て用意してくれたのだが、それでもサウナの中を進んでいるようだった。
「それにしても兄様が弓の名手だなんて、驚きました……」
「一応もう引退して委員の仕事に集中していたんだけどね。ルガナの洞窟でリハビリは完了かな」
「すごかったです。ヴィリーとの息もピッタリで、これで後衛もバッチリですね」
「前はパーティ組んでたからね~。兄様のすごさが分かってハグしたくなったかな? 私はいつでもいいよ、ほら」
兄様はそう言って両腕を広げてくる。
「うぅ……想像しただけで暑いんで止めて下さい……」
「がーん……!」
そんな冗談を言いながら火口付近へと近付いていくと、パーティを先導していた白虎がピタリと歩みを止めた。
『皆、前方にとてつもない魔物の気配を感じる。恐らく今回の魔障の原因とみて間違いない』
「そうだな……この気配、2年ぶりだ」
ヴィルヘルムは大剣の柄に手をかけた。
「以前は相討ちになったのだったね。ではリベンジを果たし、完全勝利を目指そう!」
「はい!」
『御意!』
『きゅぅ!』
⸺⸺火口の広間⸺⸺
『グアァァァァッ!』
全身真っ黒で巨大な竜が、凄まじい咆哮で出迎える。
「うわ……今まで見た魔物の中で一番大きくて……禍々しい気配……」
怖い。足がすくんでしまいそうだ。でも、僕には素晴らしい仲間がいる。僕はその仲間を信じて、ペンダントを握りしめて祈りを捧げた。
ペンダントが強く光り出し、白虎とすらにゃんに力を与える。道中で必死に覚えた召喚士のバフ能力。どうやら上手くいったみたい。
『きゅっきゅーぅ!』
更にすらにゃんがパーティ全体に防御の魔法。僕もすらにゃんも、もうただ守られるだけじゃない。
ヴィルヘルムはいきなりフルスロットルで全ての暗黒の力を解放した。かなりの邪気を抑えなきゃいけないと思うけど、大丈夫だ、いつも通りの彼だ。
⸺⸺
邪竜との激しい戦闘が幕を開け、両者ともに疲弊していく。しかし、みんなのチームワークはバッチリで、確実に邪竜を追い詰めていった。
邪竜ももう倒れるんじゃないか。そう思った時だった。
『貴様は……あの時の召喚士なのか……?』
邪竜が声を発して……!? 体力と共に邪気も弱まってきたから自我を取り戻したのか。
「てめぇ……自我を……!?」
『いや違う。姿はあの時の召喚士そのものなのに、気配や能力はまるで違う。やはりワシはあの時、あの召喚士を殺してしまったのじゃな……』
「そうだよ。てめぇが契約破棄したからな。アイツは最後まで、てめぇを救おうとしていた。なのに、てめぇは……!」
『そうであったか……では貴様は……あの時召喚士と共にいた……。貴様に殺されるのであれば本望じゃ。すまな、かった……』
邪竜はそう言うと攻撃を止め、ゆっくりと翼をたたみ、地面に寝そべった。
契約破棄、救おうとしていた……。そうか、ヴィルヘルムが仕えていた召喚士様は、この邪竜をテイムしようとしていたのか。
『この邪竜もまた、我と同様、闇落ちした聖竜であったのだな。ヴィリーよ、救うことは出来ぬであろうか』
と、白虎。
「……けど、コイツは……! クソッ、今更自我を取り戻して謝るなんて卑怯だろ!」
ヴィルヘルムはその場に崩れ落ち、地面をガツンと殴った。
彼は暗黒の力をまとったまま、とても動揺している。このやり取りがあまり長引くのは良くなさそうだ。
「ルカ!? 前へ行ってはダメだ!」
僕は兄様の静止も無視して走ってヴィルヘルムの前へと躍り出る。
「ルカ!? 出てくんじゃねぇ、下がれ!」
「ヴィリー! 僕はこの邪竜をテイムする! 今は許せなくてもいい。でも、ゆっくり時間をかけて、分かり合ってほしい」
「ダメだ! 契約破棄をされたら、反撃が来る!」
「契約破棄なんてさせるものか! みんなが力を合わせてこの邪竜の自我を取り戻してくれた。後は、僕に任せて」
「ルカ……」
『貴様も、召喚士か……ならば、急いでくれ……邪気がまた、ワシを支配しようと……』
「うん。⸺⸺汝、我と契約し、我と共に歩まん事を誓え⸺⸺」
ペンダントから放たれた光が、大きな邪竜をまるまる包み込んでいった。
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