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第4章 たいせつな人を守りたい
115 どうしよう、バレたら恥ずかしい ※
しおりを挟む悶えそうなほどに恥ずかしかったのに、すごく興奮した。
お仕置きだという、赤いリボンで根元を縛られてイケないようにされた時も、放置されただ見つめられていた瞬間も、ぞくぞくしてたまらなかった。
イきたくて、俺から「飲んで」とお願いして……。
ヴァンが、誰にも触らせないで、と言う。
嫉妬深いから、また誰かに触らせたら次はもっといじめてしまうよ……と。
どんなことされるんだろう……と思うだけで、少し期待してしまう俺がいる。けれどわざと、ヴァンが悲しむことはしたくない。
ヴァンを嫉妬させるようなことをしなくても、俺が「お願い」すれば、きっとたくさん気持ちよくしてくれると……思う。
「は……ぁ、あ、ぅぅ……ぁ……」
めちゃくちゃにされたい。食べられたい。
恥ずかしいの……嫌だけど、好き。ヴァンだから。
たくさん気持ちよくされたくて、ヴァンのことも気持ちよくしたい。あの大きく逞しいものを、舐めて、咥えた時のように……。
「……んんっ……」
髪の色と同じ下生えのくすぐったさを感じながら、根元から舐め上げた。
俺の中に挿れられたことは数え切れないほどで触ったこともあっても、こんなにまじまじと見たことなんかない。
色や硬さやエラの張り具合とか、浮かび上がった血管、とか……濃い、雄の匂い……。
ヴァンにやってもらったみたいに裏筋を舐めあげた。
あんなに汚いから止めてい言ったくせに、ヴァンのを汚い、なんて思わなかった。ただ愛しくて、俺の動きじゃ満足させられないって分かっていても、どうにかイかせたくて。
両手で包みながら先っぽを舐めて、先端の穴に舌先をくりくりしてみる。
ヴァンから……熱っぽい息が漏れて視線を感じた。
見上げるように視線を向けると、本当に気持ちいい……っていう、頬の赤らんだ、高揚したとろける緑の瞳にぞくりとした。
ヴァンの大きな手のひらが、俺の耳や髪を撫でる。
微笑みながら「リクのこんな姿、興奮……するね」と囁いた。「気持ちいい」って。
もう……それを聞いたらたまらない。
大きくて全部は収まらないそれを、口の中に咥えこむ。
飴を舐めるみたいに舌を絡めて、転がして、上顎でこするようにして。軽く口をすぼめて吸うと、すこし苦いとろりとしたものが溢れる。まだ白濁はしていないそれも、舐めて……気が付いたら飲み込めきれない俺の唾液が、唇からしたたり落ちいた。
「ん……んんっ……ん……」
ヴァンが俺のを舐めていた時も、こんなふうに興奮、していたのかな。
気持ちいいっていう顔が嬉しくて。あぁ……もぅ、好き。何度も同じ言葉が頭の中をぐるぐるしていく。
好き。すごい、ヴァンが好き。
テクとか何もない。
ただ舐めてしゃぶって、両手で根元からしごき上げて、そんな単調な動きでもヴァンが気持ちいいっていうのが……胸が、苦しくなるぐらい嬉しくて、夢中になる。
「ヴぁ……ん、らし、て……」
俺の口に出して。
全部飲めるか分からないけど、俺も飲みたい。ヴァンの精液を。取り込みたい。ヴァンのものでどろどろになりたい。
苦し気な呼吸で、ヴァンが俺の名前を囁く。「リク……」と。
俺は咥えたまま繰り返す。
「……くひの、なかに……らして……」
びくん、とヴァンの猛りがふるえた。
俺の頭を両手で包みながら、ヴァンの腰がゆっくりと揺れ始める。
熱っぽい声で「イキそう、だ……」とこぼす。
絶頂まで近い。
俺は歯を立てないように口を大きく開いて、しごき、舐めながらヴァンの熱を待ち受ける。呻きに似た声が、ヴァンから漏れる。
口の中を掻きまわす動きが……俺の、腹の奥での動きを思い出させてぞくぞくした。
気持ちいい。
時々、喉の奥まで突かれて苦しくなるのに、それすらも気持ちいい。
腰の動きが細かくなる。ヴァンが再び「イく……」と呟く。その声に合わせて俺は、口をすぼめて吸い上げた。
「うっ……く……」
ぐんっ、と両手で包んだ陰茎が、膨張したような感じた。
次の瞬間、どぷっ、と濃い粘つく苦いものが口の中に溢れた。どぷ、どぷっ……と、断続的に吹き出す。その量と匂いに驚いて、俺の口から飛び出してしまう。
それでも勢いは止まらなくて、俺の顔や胸に振りかかった。
「……あ……」
振りかかり、出し尽くしたと同時に、ヴァンが大きく息を吸う。
俺は口の中に残っていた白濁を、こくり、と一口、飲み込んだ。
「リク……」
「う……すご……」
ヴァンの指が、吐き出された精でべたべたになった俺の顔を撫でる。
「すご……い、濃くて多くて、全部、飲み込めない、や……」
えへへ、と笑って返した。
その時のヴァンの、欲に濡れた獣のような緑の瞳に、ぞくりとした。起き上がり、押し倒されて熱い口づけを受ける。貪り喰われる。そのまま――。
ガチャ、という音が遠くでした。
ハッ、と意識を戻す。
自宅のベッドの中で丸まりながら、俺のは自分のものをさすり、あの晩のことを思い出しては耽っていた。硬くなったものからまだ自分の精は吐き出していなくても、滲みだした滴で指先は軽く濡れている。
階下でドアが閉まり、動いている人の気配と音が……かすかに、する。
ヴァンが帰って来たんだ。
今は何時だろう。まだ暗い……夜明けには、遠い頃だ。帰りは明け方になると思っていたのに……。
ど、どうしよう……。
一階でに荷物を置いたような間があってから、ごっごっごっと重い靴音を鳴らして階段を上ってくる音がする。俺はやや俯せるようにして瞼をぎゅっと閉じた。
どうしよう。
ヴァンがいないからって、自分で慰めていたなんてバレたら恥ずかしい。
もうここは、寝たふりをするしかない!
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