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終章 その湖畔のコテージで僕らは熱を分け合う
184 僕を見てごらん ※
しおりを挟む「扉……?」
「そう、僕がたどり着ける一番奥。そこを……突いて、開いて、訳が分からないほどにとろとろにしてから、僕の熱いものをたっぷりと注ぎ込む。身体の中まで僕の匂いで満たされるように……」
「んっ……」
今の言葉だけで感じたのか、仰向けで横たわるリクは、ぴくん、と身体を震わせて頬を染めた。
潤む瞳を伏せて、臍のあたりを撫でる僕の手のひらに自分の手を重ねる。
吐く息が熱を帯びる。
「こんなに、奥……?」
「そう……僕を根元まで飲み込んで、ひとつになって熱を……分け合おう。リク」
囁きながらシャツを脱がしていく。
されるがままに力を抜くリクは、期待と強い羞恥に瞼を閉じた。軽く自分の指を噛む仕草は、まるで初めて身体を開くかのようだ。
あれほど重なってきたのに、この初々しさはなくならないのが不思議だよ。
……可愛くて、仕方がない。
「恥ずかしい、の?」
「……んぅ……だって、ヴァンが……」
「ん?」
「かっこ、よ……すぎて……」
「ふふ……」
ぶるっ……と震えるリクの耳たぶを軽く口に含む。
そこから細い首と鎖骨に舌を這わせていく。
「リクは……綺麗だよ」
染み一つない白く滑らかな肌。
左右の胸に並ぶ、小さな花の蕾のような淡い色をのせた尖り。そのひとつを指の腹で押し撫で、もう片方を唇でつまんだ。
舌先で転がし、ゆっくりと舐めまわす。
熱と動きを感じて喉をを反らすリクは、熱い息を吐きながら、快楽から逃げるように肩をよじった。
それまでの暮らしが悪かったせいか、初めて出会った時の肌はかさついて髪の艶も無かった。けれどこの三年、僕の手でリクはどんどん美しくなっていた。
元々そういう素質があったのだろう。
けれどリクの美しさはそれだけではない。
僕を見上げる瞳が、嬉しい、嬉しい、と輝く。
真っ直ぐ、一途に、僕を欲しがり側にいたいと願う。その想いに応えると、リクはさらにこぼれんばかりの笑顔で僕を求める。
「ヴァン……」
腕を伸ばしてくる。
その指先……爪から手の甲、手のひらまで、どれほど口づけを落としても足りない。味わい尽くしたい。食べてしまいたい。
「……リク、可愛い、かわいい……リク」
「んっ……」
はやる気持ちを押さえながら下着ごと脱がして落とす。
リクの片膝が軽く上がる。その腰から尻、太ももへと、ゆっくり手のひらを這わせた。かるく芯を保っていたリクの中心が、勢い形を主張して勃ち上がっていく。
「は……ぁ、あ……」
「気持ちいいんだね」
「まだ、撫でられてる……だけ、なのに……」
「……ここ、すっかり大きくなっている」
「んんっ!」
つつましく色づく僕よりはこぶりなソレを、柔らかく手のひらで包み込む。それだけで先端からとろりと蜜が溢れた。その先の部分に親指の腹をあて、くにくにと撫でこする。
指の動きに合わせて、リクの呼吸が早く浅くなる。
頬を赤くしながら、切なげに眉根を寄せる。
「……ぁ、そんな、もぅ……」
「イキそう?」
軽くしごき上げるだけで、喘ぎがこぼれた。
もともと感じやすいリクだけれど、あの出来事があってから可哀想なほど感度が良くなっている。軽い刺激にすら快感を拾い、苦しいのだろう。
「いつでもイっていいよ」
「……んっ、ぅ……あ……」
いやいやをするように首を横に振る。
「ヴァン……と、いっしょが……いい……」
「……そこまで、我慢できないと思うな」
「っあ!」
軽く乳首に歯を立てると同時に濡れた陰茎をしごく。それだけでリクの先端から、濃い精がこぽりとあふれた。
まだ緊張が勝っているのか量は少ない。
明日の朝までには空になるほどイかせるつもりだから、今はこれでいい。
「……あぁ……ぁ……」
「ちゃんとここでも、イケるね」
「う、ぁ……んんっ……」
「でも、ナカが一番感じるのは、よくわかっている」
ゆっくりと身体を起こし、ベッドサイドボードの引き出しに収めていた瓶を取り出す。久々になるリクに少しの痛みも感じさせないよう、特別に調合した潤滑液だ。それを手に取り、秘部にも垂らし蕾に馴染ませる。
リクの下肢に緊張が走る。
僕は下腹部に手を当て、その内部、奥の方まで念入りに浄化魔法をかけた。洗浄するより楽なはずだ。
「ゆっくり、ほぐそう……ね」
腰に片手を回し軽く尻を浮かせてから、蕾の縁をゆっくりと撫でる。
瞼を閉じて、枕の縁をキュッと握るリクの指に力が入った。僕に全てを任せ、ただ与えられる快感だけに意識を向けようとしている。
「リク……僕を、見てごらん」
「……ん、ぅ……」
ゆっくりと瞼を開いて見上げる。
その動きに合わせて、つぷりと指先を入れた。「ひぅ!」と小さく声が漏れて、締め付ける。
抱かれたい。気持ちよくなりたい。でも……怖い。
囚われて以来、催淫の香の影響が無い状態で抱かれるのは初めてだろう。頭では分かっていても、身体は戸惑っている。
「僕を見て……」
「……ヴァ、ン……」
「そう」
くりっ、くりっと、蕾の縁を内側から広げる。
それだけでリクの腰は動いてしまう。
「僕になら、どんなことをされても……平気?」
「……ん」
こくこくと頷く。
「へ、いき……」
「そう……だったら、ずっと僕を見ていて。怖いことも苦しいことも、この僕が与えているのだから、心配しなくていい」
「……ヴァンが、くれる……」
「そう、この快感も」
ぐいいぃぃぃと一気に指を挿し入れた。
「あ、ぁああ!」
リクがよがり狂う一点。そこをダイレクトに刺激していく。
びくびくと身体が震えて、勃ちあがった陰茎からまた白濁の精がこぼれ出た。ナカの刺激だけでイクことを覚えたリクに、堪えることなどできない。
頭をふり、喉を反らして快感を逃がそうと必死になっている。
「ああっ! ぁ、あっ! ひぁ! ぁ」
「リク……僕を埋める前に何度でもイかせてあげる。ほぐして、とろとろにしてから……」
くちゅくちゅと、ことさら大きな音を立てながら、指を増やしていく。
僕自身も痛いぐらい張り詰めているけれど……だからこそ、ここで焦ってはいけないと深く息を吸う。
気持ちよくさせたい。
幸せの中に溺れさせたい。
この腕の中が一番安らげる場所だと。
何度でも。何度でも。
この幸せな時間を……。
「――僕で、いっぱいにしてあげるよ」
涙に濡れ、とろりと蕩けた瞳が僕の姿を捕らえる。このまま、リクの理性を吹き飛ばしてしまおう。
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