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第6話 はじめての攻撃系魔法演習は波乱の予感?
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絵本で見ていた魔法使いが、夢を叶えてくれるって本当に信じていた。だから、魔術師になるには、たくさん勉強しないとダメだよと言われた通り、ひたすら学んだわ。
父は、私が諦めると思っていたんでしょうね。
そこに多額の費用がかけられてきたと知ったのは、もう少し大きくなってからよ。
思えば、金で貴族の仲間入りをしているって言われるのは、あながち嘘じゃないのよね。
嘘じゃないけど、買えるのは環境まで。
人脈作りは私の手でやらないと意味がない。それに、友達は金で買えるものじゃないって、最近、つくづく思うの。
「ミシェル、どうしたら火の構文に大地の文字が混ざり込むのよ」
「え、間違えてた?」
「ほら、ここの単語、直してみて。それとパークス! あなたはまず、提出物を溜めないこと!」
「いや、ほら、やることがあって──」
「口答えしない! どうしたらこんなに溜められるのよ」
問題児二人に、宿題を見てほしいと言われ、今日も私はパークスの部屋で勉強を教えている。
ミシェルは基本的なことを分かっているんだけど、構文に単語の間違いが多く見られるのよね。テスト用紙を見せてもらったら、記入欄を間違えるなんてヘマまでやる始末。意外と落ち着きがなくて、おっちょこちょいな子だ。
「そもそも、二人して休みがちなのが問題よ」
「そ、それはいろいろ事情があってだな……」
「どんな事情よ」
「それは……」
「どうせ寝坊していく気が失せた、とかでしょ」
「まぁ、それもある」
目を逸らすパークスにため息をついていると、ミシェルが私の肩を叩いた。
「アリシア、出来たよ。これで良い?」
「見せて。どれどれ──」
肩を寄せ合いながら教本に書き込まれた解答をチェックしながら、私はまた単語のミスを発見した。
「ミシェル。あなたは、綺麗な文を書くのに、どうしてこう単語を間違えるの?」
「うぅ……詠唱はぱっと頭に浮かぶんだよ」
「それをきちんと説明できないと。それに、単語の間違いは減点対象よ」
定型文とは少し違う綺麗な言葉の並びを見て、私はため息をつく。これがぱっと思い浮かぶだなんて、天性のものよね。
だから、ミシェルは演習で常に成績優秀なのよね。毎回、先生に呼ばれてお手本を見せるほどだ。
「そう言えば、明日は初めての攻撃系魔法の演習があったわね。パークス、詠唱は大丈夫?」
「あー、魔法弾の基礎演習だったね」
「実践なら私に任せて!」
「うん、ミシェルのことは心配してないよ」
両手を合わせて笑うミシェルは、ふわふわの赤毛を揺らした。明日が楽しみで仕方ないといった表情だ。
*
演習場に集まった学生たちはそわそわとしていた。
流れるような艶やかな金髪に、濃紺の瞳を持つアデル先生が姿を現すと、男子たちが明らかに色めきだった。それを感じた女子からは、ため息がこぼれる。
私たちの実習を担当するアデル先生は、女の子も憧れる美脚の持ち主だ。さらさらの金髪が風に揺れると、キラキラと光を反射して輝くから、まるで女神が現れたかのようだ。
恋心を抱く男子も少なくないと聞いたこともあるが、それも致し方ないかもしれない。
でも、アデル先生って厳しいのよね。
「先日の座学で、魔法弾は無詠唱で連続発動が出来るようになることを目標とするよう説明したこと、皆さん、覚えていますね」
演習が始まり、先生は案の定ミシェルを手招いた。
「あなたたちは、様々な魔法、魔術を実践で使うことになります。その基本となる魔力のコントロールに、魔法弾の練習は最適です」
アデル先生が指さした先に、二つの石柱が現れた。
「ミシェル・マザー、一つは複数の魔法弾、もう一つは単体の魔法弾で砕いてみせなさい」
石柱は大人の男ほどの大きさがある。あれを砕くには、相当の魔力が必要だろう。私の今の魔力だと、一つを砕くのも精一杯だと思うわ。
「どちらも、同量の魔力でね」
「はい!……えっと、右が複数で、左が単体。同量の魔力で複数と単体……」
「それと、あなたの筆記試験、あまりにも酷かったわよ。これは追試験です。この場で、きちんと詠唱を唱えてごらんなさい」
「うぅっ、分かりました」
手厳しい一言に、クラスメイトからくすくすと笑い声が上がった。だけど、ミシェルはそんな笑い声を一切、気にした様子もなく石柱に集中していた。
杖が構えられた。青い瞳が真っすぐに的へ向けられる。
「深淵に眠る赤き血潮、輝く命の光。この手に集まりて我が声に応えよ!」
ミシェルは両手で持った杖を地面と平行にすると、ぐるりとそれを一回転させた。直後、二つの魔法陣が彼女の前に展開される。
「まさか同時に発動するつもり?」
思わず私が声に出すと、周囲の学生たちがざわつき出した。おそらく、私も含めて魔法陣の同時展開が出来る学生は、この学年にいない。そんなこと、まだ誰も教わっていないもの。
驚愕に口を開けていると、魔法陣が眩い輝きを放った。
「我が敵を貫き、砕け!」
ミシェルの詠唱が終わると同時に、右の魔法陣には胡桃の殻ほどの大きさをした塊が無数現れ、左には人の頭頂部ほどの大きさをした魔力の塊が出現した。
「いっけー!」
可愛らしい号令が発せられた直後、魔法陣が輝きを増し、魔法弾は二つの石柱に向かって発射された。
激しい粉砕音が響き渡り、土埃が巻き上がった。
ミシェルが杖をくるりと回して、ふうっと息を吐いた。
アデル先生は目を見開き、私とクラスメイトも一同に言葉を失っていた。
今までも、ミシェルの演習の場で見せる魔法のセンスは凄かったけど、攻撃魔法の威力はケタ違いだわ。
「ミシェル・マザー、少々威力が強すぎですよ……あなたはもう少し、魔力のコントロールを学びなさい」
一つ咳払いをしたアデル先生は、新たにクラスメイト分の石柱を呼び出すと、まずは一点集中で的に当てる訓練から始めるよう告げ、この日の実習が始まった。
この日を境に、ミシェルに絡む男子がいなくなったのは言うこともないだろう。
父は、私が諦めると思っていたんでしょうね。
そこに多額の費用がかけられてきたと知ったのは、もう少し大きくなってからよ。
思えば、金で貴族の仲間入りをしているって言われるのは、あながち嘘じゃないのよね。
嘘じゃないけど、買えるのは環境まで。
人脈作りは私の手でやらないと意味がない。それに、友達は金で買えるものじゃないって、最近、つくづく思うの。
「ミシェル、どうしたら火の構文に大地の文字が混ざり込むのよ」
「え、間違えてた?」
「ほら、ここの単語、直してみて。それとパークス! あなたはまず、提出物を溜めないこと!」
「いや、ほら、やることがあって──」
「口答えしない! どうしたらこんなに溜められるのよ」
問題児二人に、宿題を見てほしいと言われ、今日も私はパークスの部屋で勉強を教えている。
ミシェルは基本的なことを分かっているんだけど、構文に単語の間違いが多く見られるのよね。テスト用紙を見せてもらったら、記入欄を間違えるなんてヘマまでやる始末。意外と落ち着きがなくて、おっちょこちょいな子だ。
「そもそも、二人して休みがちなのが問題よ」
「そ、それはいろいろ事情があってだな……」
「どんな事情よ」
「それは……」
「どうせ寝坊していく気が失せた、とかでしょ」
「まぁ、それもある」
目を逸らすパークスにため息をついていると、ミシェルが私の肩を叩いた。
「アリシア、出来たよ。これで良い?」
「見せて。どれどれ──」
肩を寄せ合いながら教本に書き込まれた解答をチェックしながら、私はまた単語のミスを発見した。
「ミシェル。あなたは、綺麗な文を書くのに、どうしてこう単語を間違えるの?」
「うぅ……詠唱はぱっと頭に浮かぶんだよ」
「それをきちんと説明できないと。それに、単語の間違いは減点対象よ」
定型文とは少し違う綺麗な言葉の並びを見て、私はため息をつく。これがぱっと思い浮かぶだなんて、天性のものよね。
だから、ミシェルは演習で常に成績優秀なのよね。毎回、先生に呼ばれてお手本を見せるほどだ。
「そう言えば、明日は初めての攻撃系魔法の演習があったわね。パークス、詠唱は大丈夫?」
「あー、魔法弾の基礎演習だったね」
「実践なら私に任せて!」
「うん、ミシェルのことは心配してないよ」
両手を合わせて笑うミシェルは、ふわふわの赤毛を揺らした。明日が楽しみで仕方ないといった表情だ。
*
演習場に集まった学生たちはそわそわとしていた。
流れるような艶やかな金髪に、濃紺の瞳を持つアデル先生が姿を現すと、男子たちが明らかに色めきだった。それを感じた女子からは、ため息がこぼれる。
私たちの実習を担当するアデル先生は、女の子も憧れる美脚の持ち主だ。さらさらの金髪が風に揺れると、キラキラと光を反射して輝くから、まるで女神が現れたかのようだ。
恋心を抱く男子も少なくないと聞いたこともあるが、それも致し方ないかもしれない。
でも、アデル先生って厳しいのよね。
「先日の座学で、魔法弾は無詠唱で連続発動が出来るようになることを目標とするよう説明したこと、皆さん、覚えていますね」
演習が始まり、先生は案の定ミシェルを手招いた。
「あなたたちは、様々な魔法、魔術を実践で使うことになります。その基本となる魔力のコントロールに、魔法弾の練習は最適です」
アデル先生が指さした先に、二つの石柱が現れた。
「ミシェル・マザー、一つは複数の魔法弾、もう一つは単体の魔法弾で砕いてみせなさい」
石柱は大人の男ほどの大きさがある。あれを砕くには、相当の魔力が必要だろう。私の今の魔力だと、一つを砕くのも精一杯だと思うわ。
「どちらも、同量の魔力でね」
「はい!……えっと、右が複数で、左が単体。同量の魔力で複数と単体……」
「それと、あなたの筆記試験、あまりにも酷かったわよ。これは追試験です。この場で、きちんと詠唱を唱えてごらんなさい」
「うぅっ、分かりました」
手厳しい一言に、クラスメイトからくすくすと笑い声が上がった。だけど、ミシェルはそんな笑い声を一切、気にした様子もなく石柱に集中していた。
杖が構えられた。青い瞳が真っすぐに的へ向けられる。
「深淵に眠る赤き血潮、輝く命の光。この手に集まりて我が声に応えよ!」
ミシェルは両手で持った杖を地面と平行にすると、ぐるりとそれを一回転させた。直後、二つの魔法陣が彼女の前に展開される。
「まさか同時に発動するつもり?」
思わず私が声に出すと、周囲の学生たちがざわつき出した。おそらく、私も含めて魔法陣の同時展開が出来る学生は、この学年にいない。そんなこと、まだ誰も教わっていないもの。
驚愕に口を開けていると、魔法陣が眩い輝きを放った。
「我が敵を貫き、砕け!」
ミシェルの詠唱が終わると同時に、右の魔法陣には胡桃の殻ほどの大きさをした塊が無数現れ、左には人の頭頂部ほどの大きさをした魔力の塊が出現した。
「いっけー!」
可愛らしい号令が発せられた直後、魔法陣が輝きを増し、魔法弾は二つの石柱に向かって発射された。
激しい粉砕音が響き渡り、土埃が巻き上がった。
ミシェルが杖をくるりと回して、ふうっと息を吐いた。
アデル先生は目を見開き、私とクラスメイトも一同に言葉を失っていた。
今までも、ミシェルの演習の場で見せる魔法のセンスは凄かったけど、攻撃魔法の威力はケタ違いだわ。
「ミシェル・マザー、少々威力が強すぎですよ……あなたはもう少し、魔力のコントロールを学びなさい」
一つ咳払いをしたアデル先生は、新たにクラスメイト分の石柱を呼び出すと、まずは一点集中で的に当てる訓練から始めるよう告げ、この日の実習が始まった。
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